あなたが英語を聴き取れない「6つの理由」とは?

あなたが英語を聴き取れない「6つの理由」とは?
あなたが英語を聴き取れない「6つの理由」とは?(写真=The 21 online/西蔭浩子(大正大学表現文化学科教授)) (ZUU online)

■「I get off」は「アゲドウフ」でいい!

日本人の多くは、「英語を読めるのに、聴き取れない」という悩みを抱えている。それは、ネイティブが自然なスピードで話すと、単語同士の音がつながったり、消えたりして、スペルとは違う音に聴こえるからだ。「この"音の乱れ"を種類ごとに整理し、方程式として理解すれば、リスニングの苦手意識は克服できる」と話す大正大学教授の西蔭浩子氏に、「聴き取りアレルギー」の原因と治療法をうかがった。

■英語と日本語では音の成り立ちが違う

日本人が英語を聴き取れない大きな理由、それは英語の「音の乱れ」を理解していないからです。

たとえば、What time is it now?は、学校では「ファット・タイム・イズ・イット・ナウ」と1語ずつ読むはずです。ですがナチュラルスピードの英語で、このとおりに発音されることはまずありません。音が連結したり短くなったりして、実際に聴こえる音はまったく違ってくるのです。

「掘ったイモいじるな」と言えば通じる、という冗談がありますが、これは冗談ではなく、本当の話。Whatとtimeがつながって「掘ったイモ」に、isとitとnowがつながって「いじるな」と、それぞれ変化した結果なのです。それぞれの音が連結して、別の語のように聴こえるのです。

英語は話すときのリズム(拍)の取り方が、日本語とまったく異なります。日本人が「私はアメリカに行きます」と言うとき、それを音符にすると図Aのようになります。

同じ長さの音符が並び、音の上下もほとんどありません。一方、英語を母語とする人が話すときは、図Bのようになります。二分音符、四分音符、八分音符などさまざまな長さの音符が並び、音の上がり下がりも大きくなります。

日本語のようにリズムが一定だと、音が消えたり連結したりすることはほとんどありません。一方、英語のように音の高低差が大きいと、高い音は強く長めに発音され、ストレス(アクセント)が生まれます。一方、アクセントのない低い音ははっきり発音されず、流れていってしまう。これが日本人には聴き取れないのです。

■「聴こえたとおり」にカタカナで書き取ればいい

この「音の乱れ」を理解しない限り、何度英語を聴いても聴き取れないのは当然です。そこで私は、日本人が英語を聴き取る上で障害になる音声上の特徴を、以下に紹介する6つに分けました。

これらの法則を知り、注意して聴くことで、英語の聴き取り力は驚くほど向上するはずです。大人の学習のコツは、理屈を知って理解を早めること。そして、理屈がわかって聴き取れるようになると、英語を聴くことがどんどん楽しくなるはずです。

リスニングの練習の際には、スペルからいったん離れ、音を聴くことに集中しましょう。知らない音があったら、聴こえたとおりにカタカナで書き取ってしまってOKです。

たとえば「I get off」が「アゲドウフ」と聴こえたら、そのまま「アゲドウフ」と書けばいいのです。その後、スペルを確認すれば、音の変化をより理解できるはず。それに、法則を知っていれば、カタカナから元の音を再現することも可能になってきます。

まずは自分が「6つのウイルス」のうち、どの分野が苦手か、確認してみてください。

■脱落ウイルス――語末の子音は消えることがある

話すスピードが速いとき、文字では書いてあるのに実際は発音されず、音が「落ちる」ことが頻発します。たとえば「get together (ゲッ・トゥゲザー)」のように同じ子音が続く場合、前の子音が発音されず、そこに一瞬の間が生まれます。また、kやtなどの子音は、語末に来ると聴こえなくなります。

同じ子音が続く場合、前の子音が聴こえない。
例「get together(ゲッ・トゥゲザー)」「take care(テイ・ケア)」

似た子音が続く場合は、前の子音が聴こえない。
例「good time(グッ・タイム)」「hot dog(ホッ・ドッ)」「chill red(チ・レッ)」

子音が連続する場合は、前の子音が聴こえない。
例「beside me(ビサイ・ミー)」「could hear(クッ・ヒア)」

[b][d][g][k][p][t]の6つの子音は、単語や句、文章の最後に来ると聴こえない。
例「I was tired(タイアー)」「Look!(ルッ)」

■短縮ウイルス――パターンを覚え込むのが一番

I amがI 'mに、You areがYou 'reに短縮されるというのは誰でも知っていることでしょうし、文字で見れば一目瞭然です。ただ、これが実際に発音されると、全然違う音に聴こえて意外と聴き取れないもの。以下のようなパターンを覚えてしまうといいでしょう。

am、is、areなどが前の語と結びつく。
例「I am=I'm(アイム)」「You are=You're(ヨーア)」

will、wouldが前の語と結びつく。
例「I will=I'll(アイウ)」「He will=He'll(ヒル)」「I would=I'd(アイドゥ)」

have、has、hadが前の語と結びつく。
例「I have=I've(アイヴ)」「He has=He's(ヒズ)」

will、would、shouldなどがnotと結びつく。
例「will not=won't(ウオウン)」「would not=wouldn't(ウドゥン)」

should、would、must、mightなどがhaveと結びつく。
例「should have=should've(シュダヴ)」

■変形ウイルス――「ベター」は「ベラー」になる

英語の「t」は本来とても強い子音なのですが、母音に挟まれるとやわらかくなり、日本語の「ラ行」の音に聴こえます。「water」が「ワラー」に、「better」が「ベラー」に聴こえるのは、その代表例。「put it(プリッ)」など、2語が続く場合も同様です。また、後ろに「l」(エル)が来た場合も同じ変化が起こります。

[t]が母音に挟まれると、「ラ行」に聴こえる。
例「matter(マラー)」「letter(レラー)」

2語続いている場合も同様に変化する。
例「put it(プリッ)」「get over(ゲローヴァー)」

[t]の後ろに[l]がくると、[t]の音がやわらかくなる。
例「little(リルル)」「settle(セルル)」「subtle(サルル)」「cattle(キャルル)」

■連結ウイルス――「ノット・アット・オール」は「ナラロー」

話すスピードが速くなると、前と後ろの単語の「間」がなくなり、「check out」が「チェッカウッ」のように、くっついて1つの語のように聴こえます。とくに「not at all(ナラロー)」のように3語以上が連結すると、まったく違う音に聴こえます。一つひとつの単語を別々に聴き取ろうとしないのがコツです。

[k][p][t][s][d][g][v][z][ch][sh]などの子音と母音がつながる。
例「check out(チェッカウッ)」「hang up(ハンガッ)」

[r][l]と母音がつながる。
例「far away(ファーラウェイ)」「for a while(フォラワイル)」「tell us(テラス)」

[m][n]と母音がつながる。
例「Join us(ジョイナス)「Come up(カマップ)」

3語以上の音がつながる。
例「in an hour(イナナウア)」「not at all(ナラロー)」

■同化ウイルス――youとyourはやっかいな単語

前の語と結びつくという点では「連結ウイルス」と同じですが、youやyourという語は前の語と「同化」して、音そのものを大きく変えてしまうやっかいな単語です。また、「want to」が「wanna(ワナ)」へと、大きく変化することも。これらは覚え込んでしまうしかありません。

[k][p][s][t]で終わる単語の後にyouが来ると、それぞれ「キュ」「ピュ」「シュ」「チュ」に変わる。
例「thank you(タンキュ)」「miss you(ミシュ)」

[g][v][z][d]で終わる単語の後にyouが来ると、それぞれ「ギュ」「ヴュ」「ジュ」「ヂュ」に変わる。
例「Would you(ウヂュ)」「a s you(アジュ)」

[l][m][n][th]で終わる単語の後にyouが来ると、それぞれ「リュ」「ミュ」「ニュ」「ヅュ/スュ」に変わる。
例「tell you(テリュ)」「with you(ウィヅュ)」

スピードが速くくだけた会話では、2語が結びついて別の音に変わることがある。

例「want to= wanna(ワナ)」「going to= gonna(ガナ)」「got to= gotta(ガタ)」「have to= hafta(ハフタ)」「has to= hasta(ハスタ)」「ought to= oughta(オウタ)」

■弱形ウイルス――「ヒム」は「イム」になる

あまり意味を持たない単語は、弱く、速く、あいまいに発音されます。たとえば「Do you know him?」では、「him」がそれほど重要ではないので、「h」の音が取れて弱くなり、前の単語とつながって「ノウイム」と聴こえます。基本的には代名詞(heやsheなど)、冠詞、前置詞、接続詞は弱くなると思っておきましょう。

代名詞が弱くなる。
例「Will he(ウィリー) show up soon ?」「I miss him(ミシム)」

冠詞が弱くなる。
例「Call a taxi(コーラタクシー)」=aが弱く発音されてあいまいに「Give me the book(ダブック)」=theが弱く発音されて「ダ」に

前置詞や接続詞が弱くなる。
「It 'nice of(ナイソ) you」のof、「I'm from(アイフロ) Japan 」のfromなど。

西蔭浩子(にしかげ・ひろこ)大正大学表現文化学科教授
獨協大学外国語学部英語学科卒。コロンビア大学大学院修士課程修了(英語教授法)。2008年にNHK教育テレビ『英語が伝わる!100のツボ』で講師およびスキットとテキストの執筆を担当。主な著書に『英語リスニングのお医者さん』(ジャパンタイムズ)などがある。

(取材・構成:塚田有香、写真撮影:まるやゆういち)(『The 21 online』2015年7月号より)

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