全額自己負担の先進医療、保険でカバーすべきか

全額自己負担の先進医療、保険でカバーすべきか
全額自己負担の先進医療、保険でカバーすべきか(写真=PIXTA) (ZUU online 編集部)

保険加入を検討する際に、必ずと言っていいほど勧められる「先進医療特約」。高額な治療費をわずかな掛け金でカバーできるというのがうたい文句だ。確かにそうなのだろうが、付加するべきかどうか賛否両論あり、判断が難しいところである。そこで今回は、保険でカバーするべきか、また、がん保険に加入する際に注意しておきたいことについても考えたい。

■先進医療とはどういうものか

先進医療とは、厚生労働大臣が認めた高度の医療技術を用いた治療や手術のことで、安全性や有効性を実際の診療の中で検証し、将来的に保険診療へ移行できるかを確認している。2016年1月1日現在、対象となるのは114種類で、重粒子線治療など技術費が高額な治療だけでなく、白内障などの治療もある。

ただし、先進医療は厚生労働省の指定を受けた医療機関でのみ実施することができるとされており、該当しない病院での治療は対象とならないため、必ず事前に確認しておこう。また、先進医療に係る部分の費用は全額自己負担となる

■特約付加の魅力とは?

検査でがんが見つかった場合、標準治療として、まず手術でその部分を切除することを考える。だが、頭頂部など手術が難しい部位や、持病等があり手術に耐えられないような場合には放射線や抗がん剤での治療を検討することとなる。

例えば、子宮がんで入院し、重粒子線治療を行うことになった場合を考えてみよう。先進医療と認められる重粒子線治療を行える施設は、国内に4施設しかない。関東では千葉県と群馬県、あとの2施設は兵庫県と佐賀県だ。筆者は奈良に住んでいるので近くは兵庫になるが、現在子宮がんを対象としているのは群馬のみだ。そのため技術料の300万円に加え、群馬までの交通費も全額自己負担となり、かなりの出費を覚悟しなければならない。全額自己負担となる分は高額療養費制度の対象外になるのも痛いところだ。特約の保険料が月100円とすると、10年で1万2000円。これで技術料をカバーできるなら、たしかに魅力的かもしれない。

先進医療特約をつける場合は、医療保険やがん保険に特約として付加するが、がん以外の病気までカバーするためには、医療保険に先進医療特約を付加する必要がある点に注意されたい。

■デメリットはある?

厚生労働省の先進医療会議で、小児がんの陽子線治療と手術が難しい骨や筋肉のがんについて保険診療に移行する見込みとなった。治療の実績から有効性が示されたためで、4月から保険適用となる見通し。先進医療は定期的に見直しがあるため、技術数や内容など固定をしていない。保険は後追いになりがちなので、すべてを網羅できないところがデメリットである。

また、先進医療特約は一般的に後払いとされている。そのため先にお金を用意し、支払うこととなる。カードを利用することもできるだろうが、限度額が300万円を超えるカードを持つ人はそう多くない。保険会社に医療機関へ直接支払いを行うサービスが利用できるか確認しておこう。

厚生労働省によると、先進医療を受ける患者は年々増えており、2010年7月からの1年間で1万4505人だったのに対し、2014年7月からの1年間では2万8153人と約2倍となっている。また、先進医療の総額は同じく約98億円から約205億円と、こちらも5年で約2倍となっている。今後も増加が見込まれるため、保険料が上がる可能性がある。先進医療特約は10年更新なので、更新時に確認し貯蓄で賄えるなら特約を外すことも考えよう。

■見落としがちな、がん保険の注意点

せっかく「がん保険」に加入しているのに、保険がおりないことがある。トラブルにつながりかねないので、いくつか事例を挙げておこう。

まず「上皮内新生物」と「悪性新生物」で診断給付金や手術給付金に差があるケースだ。「上皮内新生物」は初期のがんとみなされるため、「悪性新生物」より給付金が低い場合や、給付の対象外となることがある。

次に、入院をした後の通院のみ給付金が出るケース。最近は、抗がん剤や放射線など治療のための入院をしないことが増えている。その場合、入院をした後の通院治療ではないため、通院給付金が出ないこととなる。比較的多いケースである。

緩和治療は治療とみなさないケースもある。終末期など痛みをコントロールするために入院していることがあるが、その場合は治療のための入院とみなされず、入院費が出ないことがある。

また、がん保険特有の決まりだが、加入して90日の間にがんに罹患していると分かった場合に保険料は支払われない。がん保険を切り替える場合には、免責期間を考慮して加入しよう。

以上の事を確認したうえで、万が一の時に困らない程度に必要な備えをしておきたい。医療の進化は目覚ましいものがある。がん経験者として、がんに負けないためにいろんな手を打っておきたいと思うようになった。先進医療特約の付加もそのひとつとなるのではないだろうか。

辻本 ゆか 夫婦ふたりの暮らしとお金アドバイザー 
大手金融機関にて個人向け営業に従事。その後、乳がんを発症した経験から、備えることの大切さを伝える活動を始める。現在は、子どものいないご夫婦やシングルの方への相談業務も行っている。FP Cafe登録FP。

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2016年2月13日の経済記事

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