レンツィ首相が憲法改正否決で辞意表明 EU離脱も視野?イタリアの今後とは

レンツィ首相が憲法改正否決で辞意表明 EU離脱も視野?イタリアの今後とは

イタリアで5日、レンツィ首相が憲法改正を巡る国民投票の惨敗を受けて、辞意を表明したと報道各局が報じた。今回の憲法改正に関して、法案制定の簡略化が焦点だったものの上院と下院のパワーバランスが崩れる懸念があったことから反対票が集まったようだ。今、イタリアの政治に起きていることや今後の見通しについてまとめた。

イタリア、史上最年少で話題になったレンツィ首相が辞任の意向を表明

12月5日、イタリアで首相のレンツィ氏が辞任する意向を表明したとNHKをはじめとする報道各局が伝えた。
NHKロイターによると、レンツィ首相は「私の政権はきょう終わる」と述べ、5日の午後にでも閣議を招集し、その後辞表を提出する方針としたという。

辞意表明の背景にある「憲法改正」を巡る国民投票での惨敗

39歳で就任し、イタリア史上最年少首相としても注目されてきたレンツィ首相が、突然辞任を表明した背景にはなにがあるのだろうか。

日本経済新聞が伝えたところによれば、レンツィ首相は4日に行われたイタリアでの憲法改正の是非を巡った国民投票に合わせて「負けたら辞任」と公言していたという。憲法の改正案は、主にねじれの起きやすい今の議会制度の改革を推し進める内容であり、レンツィ首相は賛成の立場をとっていた。
憲法改正が達成されれば、議会運営がスムーズになることがメリットとしてあげられていた。その一方で、現状の仕組みを変えることで下院の優越が増え、下院選挙で勝利すれば政権を握ることができるため、上院と下院のパワーバランスが崩れるという動きが進む懸念も出ていて、選挙結果には多くの注目が集まっていた。

そして、開票作業の進んだ5日、改憲反対派勝利という結果になったため、レンツィ首相は辞任の意向を表明したという。

詳しく知りたい!イタリアの政治体制

レンツィ首相が辞任の意向を表明したことで、今後が注視されているイタリアの政治情勢を知るために、ここではイタリアの政治体制がどのようなものであるのかおさらいしていきたい。

外務省によると、イタリアには首相とは別に国家元首として大統領が存在している。
大統領は、例えるなら、王様のようなもので国事行為が職務の中心であるが、内閣や議会への関与手段として、首相任命権や議会解散権などを持っている。これらを通じてイタリア政治に実権を発動する可能性を秘めている。一方の首相は、主にアメリカ大統領や日本の総理大臣のような職務をこなす。

イタリアは、日本と政治的な共通点も少なくない。
通常、行政が首相と内閣に統括されているイタリアでは日本と同じで、首相が頻繁に変わる傾向にある。イタリアの首相経験人数は、1990年1月-2013年4月現在の間で9人(延べ13人)で、日本は15人(延べ16人)である。また日本と同じ二院制の議会システムで、それぞれ上院(元老院)と下院(代議院)に分かれているが、イタリアでは、憲法によって上院も下院も完全に対等だと定められている。

日本では、衆議院で可決された法案が参議院で否決された場合も、再度衆議院で2/3以上の賛成が得られた場合は法案が通る「衆議院の優越」と呼ばれる制度があるがイタリアには存在しない。そのため、イタリアでは議会があまりうまく機能せず、なかなか法案が通らないという事態がおこっている。そのため、今回レンツィ首相は、下院に優越をもたせる形にし、法案制定の迅速化を目的とした憲法改正の国民投票を行ったのである。しかし、レンツィ首相が景気を満足に改善できていないことへの不満や、パワーバランスの崩れによる不安などから改正反対の票数が上回る結果になってしまった。

今後どうなる? イタリアに起こりそうな変化とは

改憲を巡って行われた国民投票の結果を受けてレンツィ首相が示した辞任の意向を受けて、イタリアは今後どうなるのだろうか。

朝日新聞が報じたところによると、イタリア内部でレンツィ首相がたとえ辞任しても、混乱が生じる可能性は低いという。それは、大統領であるマッタレッラ氏が解散総選挙などの方法ではなく、レンツィ内閣の閣僚を首相とする選挙管理内閣を検討しているからである。もし、この通りに事が進めば、レンツィ氏が再指名されることもありうるようだ。

一方で、ロイターによれば、EU離脱を公言したこともあるイタリアの新興野党「五つ星運動」が政権を担う準備ができていると発表し、国内に混乱が起こる可能性は捨て切れない
イタリアの国内情勢がどうなるかは、マッタレッラ大統領にかかっているといえそうだ。

「EUに影響は?」 ネット上でも遠くイタリアを憂う声

日本からは、約9870kmも離れているイタリアのニュースだが、日本のネット上では多くのコメントが挙がっていた。
中には、イギリス離脱で注目されているEUとの関わり方や金融危機が起こる可能性に言及する意見もあった。






日本でも様々な意見や憶測を生む、今回のレンツィ首相辞意表明のニュースだが、今後イタリアはどのように動いていくのだろうか。

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