今なお猛威を振るう【新型コロナウイルス】が与えた影響をまとめてチェック
2019年末に発生し、またたく間に世界中に拡大した新型コロナウイルス。感染力や致死率だけでなく、感染防止のためのさまざまな「措置」や「自粛」が、日常生活や経済活動に大きな影響を与えてきました。いまだ収束の見通しが立たない新型コロナウイルスについて、これまでのニュースから振り返ります。
【新型コロナウイルス】とは?
新型コロナウイルスは、2019年12月末に初めて確認された「7番目のコロナウイルス」です。
実はコロナウイルスと呼ばれるものはすでに6種類が確認されていて、そのうち4つは、いわゆる「普通の風邪」の原因とされています。2002年に中国で流行したSARS(サーズ)、2012年にサウジアラビアで流行したMERS(マーズ)もコロナウイルスで、それぞれ数千人の感染者と数百人の死者を出しました。
新たに発生した新型コロナウイルスは「COVID-19」と呼ばれ、発生当初は中国や韓国、日本などを中心に、その後はヨーロッパやアメリカでも爆発的に拡大しています。すでに世界中の189の国と地域で30万人以上の感染者と1万人以上の死者を出しており(記事執筆時点)、感染拡大の勢いはなお衰えていません。
主な症状は高熱と肺炎で、致死率は現在のところ2%程度とされています。接触感染や飛沫感染に加え、霧状に漂う「エアロゾル感染」も疑われるなど、感染力の高さも特徴の一つです。感染者はあらゆる年代に渡り、一般に持病を持っている人や高齢の人ほど重症化する傾向があります。
新型コロナウイルスの影響は、日常生活や企業の経済活動にも見られます。イベントや旅行などの自粛が相次いだ結果、観光産業や外食産業の中には売上が落ち込んだり経営破綻に追い込まれたところも少なくありません。今後は「都市封鎖」や「渡航禁止」に踏み切る国も増えると予想され、さらなる影響の拡大が懸念されています。ここでは過去に掲載されたニュースから、新型コロナウイルスをめぐるトピックのいくつかを振り返ってみましょう。
参考:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A」
武漢で発生した「原因不明の肺炎」
連日、世界で取り上げられている新型コロナウイルス。最初に重症化した例が約7件ほど、中国の湖北省武漢市で確認された。2019年12月30日に現地当局が「華南海鮮市場で原因不明の肺炎に罹患した患者が相次いでいる」と発表し、その後武漢市を中心に感染が拡大することとなりました。
世界中で33万人以上が新型コロナウイルスに感染
2020年に入り、新型コロナウイルスは短期間で世界中に拡大しました。世界保健機関(WHO)の統計データによると、3月23日時点(中部ヨーロッパ時間)の感染者数は33万4981人で、死者は累計1万4510人にのぼるとのことです。今のところ感染拡大が収まる気配はなく、今後しばらくの間は感染者・死者ともに大きく増えると考えられています。
日本国内でも2000人以上の感染者を確認
3月25日の時点で、日本国内の新型コロナウイルス感染者の数が2000人を超えました。各地区の感染者、重症患者の中には、クルーズ船の乗船者、直近で欧州などの帰国者が目立った。さらに国内では、空港検疫で海外渡航歴のある人に陽性反応が出ており、また医師や看護師の病院内感染の発生も報告されている。全国の感染による死亡者も55人となり、今後の感染拡大や感染者の重症化が懸念されています。
新型コロナウイルスでイベント自粛が相次ぐ
新型コロナウイルスの拡大を受けて、2月26日に「2週間程度の期間においてスポーツや文化的イベントの開催を自粛」よう呼び掛けた安倍首相。これにより、PerfumeとEXILEがそれぞれ26日に予定していたコンサートを中止するなど、国内各地でイベント中止が相次いでいます。
ちなみに1回のドーム公演中止の損害額は数億円から十数億円とのこと。「ウイルス拡散防止のための中止は保険の対象ではない」といい、一連のイベントの中止は、それぞれの主催者にとって死活問題となりかねない状況です。
一斉休校の決定で教育現場にも大きな影響
安倍首相が全国の小中高校、特別支援学校に3月2日からの「臨時休校」を要請しました。実際に休校をするかどうかは、学校や地方自治体の判断に任せられるというものの、突然の要請に教育現場や保護者の混乱が続いています。
例えば、教員からは次のような不安の声が相次いでいる。
「授業カリキュラムが終わらないまま春休みに入る。学年が変わるので授業できなかった部分をどう補填するのか」
「学校でしかできない書類作成などをやらないといけない。休校になって教員も学校に来てはいけないというのなら、すべての作業が後ろにずれ込む。そのしわ寄せで、夏休み返上になる可能性もある」
一斉休校というニュースが突然流れたことで、休校になることを教員側も十分に把握していない状況であったため、保護者からの電話が鳴りやまなかったという。
全国でトイレットペーパーが品薄に
新型コロナウイルスは一般の生活にも大きな影響を及ぼしています。その一つがトイレットペーパーやマスク、消毒用品の買い占め。ドラッグストアなどでは紙製品が軒並み売り切れで、まるで「集団パニック」を思わせる状況です。SNSでの情報共有がパニックに拍車をかけているという声もあり、今後ほかの製品にも買い占めが広がる可能性があります。
マスクの転売が禁止される
3月5日、安倍首相が「国民生活安定緊急措置法」の適用によりマスクの転売禁止を表明しました。これまでオークションサイトやフリマサイトなどで高額転売が相次ぎ、品薄状態が続いていました。今回の措置に加え、増産要請や輸入によって品薄が解消されるかどうか注目が集まっています。
参考記事:ヤフオク!ガイドライン細則の改定について(マスク等の出品について)
参考記事:メルカリ(新型コロナウイルス感染拡大に伴う衛生マスクの出品禁止について)
新型コロナウイルスが経済に与える影響
新型コロナウイルスは企業の経済活動にも影響を与えています。特に深刻なのはインバウンド向けのサービスを提供している観光産業や外食産業などで、すでに着物のレンタル会社やクルーズ会社の倒産、バス会社の営業停止などが報道されました。
こうした事態を受け、政府は5000億円規模の資金繰り支援や雇用調整助成金などの特例措置を決定。金融機関にも返済猶予などの条件変更対応を求める方針ですが、このまま新型コロナウイルスの影響が長引けば他の業界にも「新型コロナウイルス関連倒産」が広がると懸念されています。
東京オリンピックが「延期」に
3月24日、2020年夏に開催予定だった東京オリンピックの延期が発表されました。安倍首相は「遅くとも21年の夏までには開催したい」と話す一方で「中止はない」と明言。史上初となるオリンピックの延期は、大会関係者や選手たちに大きな波紋を広げています。
参考記事:東京五輪、安倍首相とバッハ会長が1年程度の延期で一致「21年の夏までに開催」
最後に
最初の発生確認からわずか3ヶ月足らずで、世界中に広がった新型コロナウイルス。
現時点で特効薬や有効な治療法は確立されておらず、感染拡大が収まる見通しは立たないのが現状です。各国で都市の封鎖や渡航制限などの対策が続く中、今後の推移から目が離せません。