社会現象化する「あつまれどうぶつの森」まとめ ブームの背景と影響について
2020年3月の発売以来、日本をはじめ世界中で一大ブームを巻き起こしているゲーム「あつまれ動物の森」。新型コロナウイルスによる「巣ごもり需要」もあって、今なお人気が収まる気配はありません。今回は過去のニュースの中から、「あつまれ動物の森」の人気の秘密、社会に与えている影響について振り返っていきます。
「あつまれどうぶつの森」とは?
2020年のはじめに猛威を振るった新型コロナウイルス。世界的な外出自粛やロックダウン(都市封鎖)が行われる中で、一本のゲームが話題を集めました。
ゲームのタイトルは「あつまれどうぶつの森」。2020年3月に任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」向けゲームとして発売され他ものの、すぐにNintendo Switch本体ごと品薄となり、多くの店舗で予約販売や抽選販売が行われるほどのブームを巻き起こしています。
人気の秘密は独特のゲームシステムです。ほのぼのとした世界観や自由度の高さに加え、ゲーム内で他のプレイヤーと交流できることが大いに受け、新型コロナウィルスによって自宅待機を強いられる人が増える中、爆発的なヒット商品となりました。
「あつまれどうぶつの森」のヒットは、ごく短い期間でさまざまな社会的影響を与えています。販売をめぐる詐欺などの犯罪トラブル、中国での政治的なトラブルなどはその一部にすぎません。一方で「(ゲーム機の)スイッチ史上最大の滑り出し」と言われるほど好調な売り上げにより、メーカーの任天堂は2020年3月期に全面的な増収増益を達成しています。
ここからは「あつまれどうぶつの森」に関するトピックを、過去のニュースを通して見ていきましょう。
「あつまれどうぶつの森」発売!
2020年3月20日に、Nintendo Switch用ソフト「あつまれどうぶつの森」が発売となりました。「あつまれどうぶつの森」は自然あふれる無人島で自由気ままな生活をしたり、インターネット経由で他のプレイヤーとの交流を楽しめるのが特徴です。DIY(Do It Yourself)がひとつのテーマとなっており、レシピ通りに材料を集めれば、木を切るオノやつりざお、家具など、さまざまなものをつくることができるのが魅力。
巣ごもり期間に大ヒットした「あつまれどうぶつの森」
日本では発売3週間で300万本を売り上げた「あつまれどうぶつの森」。ヒットの背景にあるのは、新型コロナウィルス拡大防止のための「巣ごもり」需要の高まりです。
ゲームの内容は、現実の時間と連動する仮想の「無人島」でスローライフを送るというもの。RPGのような「大冒険」はありませんが、プレイヤー同士がオンラインで好きなだけコミュニケーションを取れることが、大人・子供を問わず大勢の人の心を掴んでいます。
現実世界では外に出て、友人と会うことも憚られる情勢ですが、このゲームの中であれば好きなだけ友達と交流することもでき、そうした要素がヒットに結びついているようです。
国内外の有名人たちもゲームに夢中
「あつまれどうぶつの森」を楽しんでいるのは芸能人やセレブたちも同じ。きゃりーぱみゅぱみゅ、指原莉乃、元NHKアナウンサーの登坂淳一氏といった有名人がゲームプレイの様子を次々にSNSで発信し、話題を集めています。
米国、フランス、スペイン、韓国といった国々でもSNSでの発信が相次ぎ、「新作発売前」と比べて投稿数は1000%、投稿者数も400%増えているそうです。
卒業式を「どうぶつの森」で...?
5月が卒業式シーズンとなるアメリカ。新型コロナウイルスの影響で授業がオンラインに移行した学校では「あつまれどうぶつの森」での卒業式がトレンドとなりつつあります。
たとえばジョージア工科大学工学部では、ゲーム内の衣装として卒業式で着るアカデミックドレスを用意、卒業生たちにコードを公開しています。卒業式が中止になったミシガン大学では、生徒たちが「あつまれどうぶつの森」の中にキャンパスを再現。記念撮影をしたり代替の卒業式を行ったそうです。
品薄が続くゲーム機本体
「あつまれどうぶつの森」が世界中でヒットする一方、品薄が続くゲーム機本体。需要に生産が追いつかない中、抽選販売のオンラインショップにアクセスが集中しサーバーに負荷がかかるケースも発生しています。4月14日時点で任天堂が「4月下旬頃の出荷を予定」とツイートしているものの、当面は予約販売が中心となるなど、入手しにくい状況が続くと見られています。
販売をめぐるトラブルも発生
「あつまれどうぶつの森」のプレイに欠かせないゲーム機「Nintendo Switch」の販売をめぐり、世界中でトラブルが発生しています。
たとえば3週間ほどの間に71件の販売詐欺が確認された台湾では、現地の警察が「SNSでの取引をしない」「安すぎる商品には警戒しよう」などと警戒を呼びかける事態にまで発展しました。日本でも通常4万円程度の限定版が7万5000円以上で転売されるなど、混乱が続いているとのことです。
中国当局による発売禁止
中国でも人気を集める「あつまれどうぶつの森」が、中国当局によって発売禁止になりました。その理由は、ゲームの中で「中国当局を批判したり、民主化デモを支援する遊び方」をする人たちがいたためとのこと。
各通販サイトではあの手この手を使って流通が続いていますが、ゲームの世界でも政治の影響を避けられない事態となっています。
日本製品不買運動が続く韓国でも…
4月初めから「Nintendo Switch」の品切れ状態が続き、インターネット上では定価の2倍近い値段で売られている韓国。4月30日には45台のNintendo Switchに対し1000人の客が殺到する事態も発生しました。
日本製品不買運動が続いている中での「混乱」に、韓国のネットユーザーの間からは批判的なコメントも噴出しています。
任天堂は増収増益
スイッチ史上最大の滑り出しとなった「あつまれどうぶつの森」、そして「Nintendo Switch」の売り上げは任天堂の決算にも大きな影響を与えました。
5月7日に発表した2020年3月期決算では売上高、営業利益、経常利益、純利益がすべて上昇し、全面的な増収増益を達成。新型コロナウイルスの影響で「遅延が一部地域で生じた」ものの、業績への影響は限定的でした。
最後に
単なるゲームとしてではなく、コミュニケーションツールとしても人気を集める「あつまれどうぶつの森」。品薄状態が続く「Nintendo Switch」とともに、社会現象と呼べるほどのブームが世界中で続いています。新型コロナウイルスの終息が見通せない中、今後どこまで人気が続いていくか目が離せません。