【宅建士監修】基本的な不動産投資用語22選!初心者向け用語を解説

コラム
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不動産投資を始めたい方は、書籍やインターネットで情報収集に励んでいることが多いでしょう。

しかし、不動産投資に関わる用語は専門的なことも多く、スムーズに情報収集できないこともあるかもしれません。

そこでこの記事では、不動産投資初心者向けに、基本的な不動産投資用語を22個紹介します。

どれも最低限知っておくべき用語ですので、ご自身の知識を試してみてください。

この記事の監修者
宅建士 門傳 義文
宅建士 門傳 義文

メディア実績:日本経済新聞、朝日新聞、テレビ東京「WBS」、TBS「NESW23」、雑誌「プレジデント」など

「不動産をわかりやすく伝える」をコンセプトに、不動産会社「ラインズマン」を設立。メディア「暮らしっく不動産」を運営するほか、相談者とともに悩み、考える住まい選びの“プロ”として活動している。

門傳 義文のプロフィール

監修者門傳 義文先生の解説コメント

カタカナで見慣れない言葉が多く、不動産投資初心者の方は困惑することがあるでしょう。不動産投資はテストではありませんので、分からない言葉はその都度検索して調べることが良いと思います。

不動産投資初心者が最初に抑えておきたい用語として、「実質利回り(ネット利回り)」があります。その内容もしっかり理解しておくことが重要です。実質利回りとは、実際の収益を表す言葉です。しかし、不動産投資の場合、入居率も関係してきます。選ぶ物件によっては、実質利回りを下回ることもあります。

「実質」という言葉が含まれているものの、それが約束されないのが不動産投資の奥深い部分です。この用語をはじめ、少しずつ内容を深く理解していくことが、不動産投資成功への道につながると思います。参考になれば幸いです。

収益計算に関わる不動産投資用語

最初に、物件購入前の収益計算、物件の収益性評価を調査する際に必要な用語を6つ解説します。

  • 表面利回り(グロス利回り)
  • 実質利回り(ネット利回り)
  • キャッシュフロー
  • インカムゲイン(Income gain)
  • キャピタルゲイン(Capital gain)
  • 収益還元法

どんな物件を買うか検討する際は、これらの言葉を意識しましょう。

表面利回り(グロス利回り)

ほとんどの不動産投資用物件には、「利回り」という数字で表される指標があります。

利回りを簡単に言い換えると、「投資額に対する、収益の割合」です。例えば、100万円投資して、5万円の収益があれば、利回りは5%です。

利回り(%)の計算

利回り(%) = 収益(金額) ÷ 投資額(金額) × 100

これを不動産投資に置き換えると、投資額は「物件購入額(取得費)」、収益は「家賃収入」ということになります。そのため、投資用不動産の利回りは次のように計算します。

投資用不動産の表面利回り(グロス利回り)

表面利回り(%) = 家賃収入(金額) ÷ 物件取得費(金額) × 100

(家賃収入は1年分で計算することが一般的です)

例えば、年間家賃収入が300万円のアパートを5,000万円で取得すれば、利回りは6%です。

ただし、実際に不動産経営をする場合には、固定資産税や修繕費など様々な経費(ランニングコスト)がかかります。そのため、単純な「家賃収入(金額) × 物件取得費(金額) × 100」という利回り計算は、あくまでもグロス値です。

グロス値とは

「総量」「合計」という意味のGross(グロス)から、「無負荷」での数値という意味で使われる。

そのため不動産投資におけるグロス利回りは、ランニングコスト(負荷)を無視した「表面的な利回り」という意味。

ほとんどの場合、不動産投資サイトや不動産会社が案内している利回りは「表面利回り」です。そのため、表面利回りだけで判断すると、物件購入後に思わぬ赤字経営を強いられることもあります。

物件購入を検討する際は、次に紹介する「実質利回り(ネット利回り)」を計算しましょう。

実質利回り(ネット利回り)

実質利回り(ネット利回り)は、表面利回りでは考慮されていなかった固定資産税や修繕費、管理費、入居者集めにかかる費用などのランニングコストを含めた利回りです。

投資用不動産の実質利回り(ネット利回り)

実質利回り(%) ={ 家賃収入(金額) ー ランニングコスト(金額)} ÷ 物件取得費(金額) × 100

例えば先ほど紹介した「家賃収入300万円・取得費5,000万円・表面利回り6%」のアパートを経営するために、ランニングコストが年間で100万円かかるとします。

すると、このアパートの実質利回りは、「(家賃収入300万円 ー ランニングコスト100万円) ÷ 取得費5,000万円 × 100 = 4%」です。

この実質利回り4%という数字が、この物件から生み出される収益のネット値であると言えます。

ネット値とは

「正味」「純量」という意味のNet(ネット)から、「実際に機能する」数値という意味で使われる。

そのため不動産投資におけるネット利回りは、ランニングコストを考慮した「実際に手元に残る収益の利回り」という意味。

購入物件を検討する際は、必ず実質利回りを確認しましょう。

キャッシュフロー

キャッシュフローは、「収入(家賃など)」や「支出(経費)」を差し引きしたお金の動きを指します。

表面利回り・実質利回りは共に「投資額」と「家賃収入」を比べることで投資判断に役立つ数字だとすると、キャッシュフローは日々のお金の動きを管理することで不動産経営に役立つ数字です。

不動産経営を含めたビジネスでは、会計帳簿上の利益と、実際に手元にある利益が異なる動きをする場合があります。

例えば、毎月の家賃収入が100万円・経費が50万円の場合、1か月の利益は50万円です。ただし、経費は月末締め請求翌月末払いのことが多いので、実際に50万円を支払うのは翌月になります。

この場合、会計帳簿上の利益は50万円ですが、手元に残っている現金は100万円です。

さらに、会計帳簿上は経費となる減価償却費も、実際には支払いが発生する訳ではないので、キャッシュフローに影響する数字です。(減価償却費の詳細はこの記事の後半で詳しく解説します)

例えば年間の収入が500万円、ランニングコストが100万円、減価償却費が200万円だとすると、会計帳簿上の利益とキャッシュフローは次の様になります。

会計帳簿上の利益とキャッシュフローの違い

会計帳簿上の利益:収入500万円 ー ランニングコスト100万円 - 減価償却費200万円 = 200万円

キャッシュフロー:収入500万円 ー ランニングコスト100万円 = 400万円

このように実際のお金の動きで収支を考えると効率よく経営できますし、反対に必要な時に現金が足りないという状況も防げます。

不動産経営を開始した直後は手元資金も多くないため、特にキャッシュフローを意識しましょう。

インカムゲイン(Income gain)

インカムゲイン(Income gain)は、家賃収入など継続的に得られる利益のことを指します。

例えば実質利回りの項目で紹介した「家賃収入300万円・ランニングコスト100万円」のアパートの場合、インカムゲインは200万円です。

なお、インカムゲイン自体は他の投資でも使われる言葉で、株主投資の場合は配当金による収入などが該当します。

キャピタルゲイン(Capital gain)

キャピタルゲイン(Capital gain)は、物件を売却した時に得られる利益です。

例えば取得費5,000万円のアパートを6,000万円で売却すれば、キャピタルゲインは1,000万円になります。

キャピタルゲインは一度に多額の収益が狙えますが、その分、税金も高くなります。キャピタルゲインは譲渡所得税が課税されますが、税率は物件の所有期間に合わせて次の通りです。

譲渡所得税率

短期譲渡所得税(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下):課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)

長期譲渡所得税(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える):課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)

※それぞれ、令和19年までは上記に加えて復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)もかかります。

キャピタルゲインを狙って不動産投資をする場合は、物件の保有期間も意識すると良いでしょう。

収益還元法

収益還元法も、投資用物件の価値を測る指標の1つです。

純利益をもとに物件価値を計算し、物件取得費が適正なのか(投資コストを回収できるのか)を計算します。

収益還元法には「直接還元法」と「DCF(ディスカウントキャッシュフロー)還元法」の2種類があり、それぞれの特徴は次の通りです。

直接還元法とは

簡易的に物件価値を測る方法で、計算式は次の通り。

不動産価格 = 1年間の純利益(収入からランニングコストを引いた額) ÷ 実質利回り(還元利回り)

DCF還元法とは

詳細に物件価値を測る方法。「不動産を所有する期間の純利益」と「予想売却価格」を現在価値に直して計算する。「割引キャッシュフロー法」とも呼ばれる。計算式は次の通り。

不動産価格 = 年間純利益の現在価値 + 予想売却額現在価値

現在価値を計算を含めた式は次の通り。

不動産価格=「年間純利益 ÷(1 + 割引率) + 年間純利益 ÷ (1 + 割引率)2乗 + … + 年間純利益 ÷(1 + 割引率)n乗」+「予想売却額 ÷(1 + 割引率)の n乗」

なお、現在価値を求める際の割引率は、借入利率やインフレ率などを考慮して決定する。

なぜDCF還元法で現在価値を考慮するかと言うと、お金の価値は現在と未来で異なるからです。

例えば100万円の現金がある場合、運用すれば1年後には1万円の利息や配当を受け取って101万円にすることができます。この場合、「現在の100万円」と「1年後の101万円」は同じ価値であると考えられます。逆に考えると、「現在の100万円」は「1年前の100万円」ほどの価値はありません。

このような「価値」と「時間軸」をクロスさせて投資判断できるのが、DCF還元法です。

より詳細に投資判断を行いたい場合は、DCF還元法で計算することをオススメします。ただし、計算式は複雑なので、専用のツールを利用するか専門家に相談した方が良いでしょう。

物件購入に関わる不動産投資

つづいて、物件購入時の相場把握に役立つ用語として、次の8つを解説します。

  • 路線価
  • 地価公示価格
  • 基準地標準価格
  • 固定資産税評価額
  • 相続税評価額
  • 実勢価格(時価・取引価格)
  • 一物五価
  • レバレッジ効果

路線価

路線価とは、路線(道路)に接する宅地1㎡当たりの評価額を指します。路線価にはこの後紹介する「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2つがありますが、一般的に「路線価」という場合は相続税路線価を指すことが多いです。

地価公示価格

地価公示価格(公示地価・公示価格)は、国土交通省が公示する土地価格です。

毎年3月に1月1日時点の価格が発表され、各種不動産取引の指標として使われます。ただし、地価公示価格では土地のみが評価されており、建物価値は評価されていません。あくまでも「土地」の目安価格ということを覚えておきましょう。

また、調査対象は都市計画区域内のみです。

基準地標準価格

基準地標準価格(基準地価)は、都道府県が公表する土地価格です。

毎年9月に、7月1日時点のの価格が発表されますが、数値は地価公示価格とほぼ同じであることが多いです。ただし、基準地標準価格は地下公示価格と異なり、「都市計画区域内」と「都市計画の区域外」の土地価格が公表されます。

また、地価公示価格の発表とは半年ずれていることから、地価公示価格の数値を補完的に確認する際にも役立ちます。

固定資産税評価額

固定資産税評価額は地方税である固定資産税を徴収するために各市区町村が決定する土地価格で、数値は公示価格の約7割であることが多いです。

固定資産税評価額は「1月1日時点の所有者」に送られる「固定資産税課税明細書」で確認できます。

ただし、更新は3年に1回のみです。

相続税評価額

相続税評価額は国税庁が発表する土地評価額です。相続税と贈与税を計算するときの基準になります。

相続税評価額は公示価格の約8割になることが一般的です。

相続税評価額は、路線価が定められている「路線価地域」と路線価が定められていない「倍率地域」で計算方法が異なります。それぞれの計算式は次の通りです。

路線価地域

相続税評価額 = 路線価(/㎡)×土地の面積(㎡)

倍率地域

相続税評価額 = 固定資産税評価額×倍率

実勢価格(時価・取引価格)

実勢価格(時価・取引価格)は、実際に取引された不動産価格です。

ここまで4種類の不動産価格を紹介してきましたが、各土地の収益性、市場動向、売主買主の状況に応じて、取引価格は様々です。

そのため、実際に不動産売買をする際は、相場を知るために周辺の取引事例を探ることも必要になります。

一物五価

ここまで紹介してきたように、1つの不動産に対して「地価公示価格」「基準地標準価格」「固定資産税路線価」「相続税路線価」「実勢価格」の5種類の価格が存在します。

このような不動産ならではの状況を、1つの物に5つの価格があることを一物五価(イチブツゴカ)と表すこともあります。

レバレッジ効果

さて、様々な価格が存在する不動産ですが、購入時にはローン(融資)を組むことが多いです。つまり、他人資本を活用することになります。

自己資本ではなく他人資本で投資することで、少ない元手で多くの利益を得ることが可能です。このような効果を「レバレッジ効果」と呼びます。

レバレッジとは

レバレッジ(Leverage)とは「てこの原理」のこと。少ない力で大きな物を動かす「てこの原理」に由来して、少ない自己資本で大きな利益を狙うことを指す。

入居者集めに関する不動産投資用語

物件を購入した後は入居者を集めることになりますが、ここでも専門用語が使われます。

ここからは、入居者集め(客付け)時に必要になる用語を3つ紹介します。

  • 媒介契約(仲介契約)
  • マイソク
  • サブリース(一括借り上げ)

媒介契約(仲介契約)

不動産会社が入居者を集めてくる場合、借主(入居者)と貸主(オーナー)の間を仲介してくれることが多いでしょう。このような形態を、宅地建物取引業法では「媒介契約」と呼びます。

なお、仲介手数料の上限は売買・賃貸それぞれ次の様に定められています。

賃貸仲介手数料の上限

賃貸:家賃の1ヶ月分+消費税

売買仲介手数料の上限

物件価格(税抜)200万円以下の場合:物件価格(税抜)×5%+消費税

物件価格(税抜)200万円~400万円以下の場合:物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税

物件価格(税抜)400万円以上の場合:物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税

マイソク

不動産業界で使用されている物件概要・間取図・写真がまとめられた広告チラシのことを「マイソク」と呼びます。

マイソクには宅地建物取引業法で定められた必須事項も記載することになっているので、1度保有物件のマイソクがどのようになっているかは確認しておくと良いでしょう。

サブリース(一括借り上げ)

サブリース契約(一括借り上げ・一括借上管理契約)は、物件オーナーが管理会社と賃貸契約を結び、管理会社が入居者と賃貸契約を結ぶ契約形態です。

空室でも家賃保証がついている反面、管理費用が高かったり突然の契約解除で赤字になったりするデメリットもあります。

サブリースを利用する時は、事前に管理会社と詳細に打ち合わせるようにしましょう。

物件管理に関する不動産投資用語

入居者を獲得してからの物件管理に関する用語は、次の3つを覚えておきましょう。

  • 管理委託
  • 原状回復
  • 大規模修繕

管理委託

建物の管理や家賃回収業務などは、管理会社と「管理委託契約」を結ぶことが一般的です。(サブリースとは異なり、オーナーと入居者が賃貸契約を結び、オーナーと管理会社は業務委託契約を結びます)

管理費は賃貸家賃の一定割合で設定され、相場は賃料の5%程度です。

原状回復

原状回復は、入居者が退去する際、部屋を「本来あるべき状態」に戻すことを指します。

1つ注意点として、原状回復は「賃借人が借りた当時の状態に戻すこと」ではありません。国土交通省は原状回復について、次の様に定義しています。

「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について|国土交通省

つまり、通常の経年劣化による損耗は「本来あるべき状態」なので、修繕はオーナー負担です。貸主に原状回復費用を請求するためには様々な指針が示されているので、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」をご覧ください。

大規模修繕

大規模修繕とは、物件の安全性や耐久性を保つために行う工事です。資産価値を維持することはもちろん、入居者や入居希望者に価値を提供するために、10年~15年周期で行います。

大規模修繕では建物の基本となる外壁、屋根、基礎はもちろん、給排水設備など目に見えない部分まで工事することになります。

大規模修繕の工事費は高額なので、予め資金繰りを考えておきましょう。

税金に関わる不動産投資用語

最後に、不動産投資に関わる税金用語を2つ解説します。

  • 耐用年数
  • 減価償却

耐用年数

耐用年数とは、税務上定められている「その資産の使用可能期間(法定耐用年数)」のことです。

使用可能期間とは「実際にどれくらい長く使えるか」ではなく、「何年間にわたって物件取得費を経費計上するか」という期間を表します。

建物の耐用年数は、次の表のとおりです。

建物構造耐用年数
木造22年
金属造(骨格材肉厚が4mmを超える)34年
金属造(骨格材肉厚が3mm~4mm)27年
金属造(骨格材肉厚が3mm以下)19年
れんが造・石造・ブロック造38年
鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造47年
建造物の法定耐用年数一覧 東京都主税局

減価償却

減価償却とは、経年で資産価値が減少する資産(減価償却資産)の取得金額を、その資産の使用可能期間(法定耐用年数)全期間で分割して経費計上するという会計手続きです。

アパートやマンションなどは高額なので、購入年だけの経費にしてしまうと、正確な収益実態が掴めません。そのため、減価償却しながら数十年にわたって経費計上していきます。(ただし、土地は経年劣化しないため、減価償却しません。)

具体的な計算方法については「マンション売却時の減価償却計算について解説!」でも詳しく解説しているため、合わせてご覧ください。

まとめ

不動産投資初心者向けに、基本的な不動産投資用語を22個紹介しました。

この記事で紹介した用語は、どれも不動産投資の現場では頻繁に使われるものです。

これから不動産投資を始められる方は、ぜひこの記事をブックマークして繰り返しご覧ください。

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