【宅建士監修】マンション売却時の税金の仕組みについて徹底解説

不動産売却
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マンション売却に関することで税金がいくらかかるか知りたい、税金の仕組みがわからない・複雑すぎる、とお困りではないでしょうか?
投資用物件や持ち家などで、マンションを所有している方は多いと思います。そのマンションを売却するときに、利益に対して税金がかかります。この税金の仕組みが非常に複雑です。しかし、知らなければ、数百万単位で損をする可能性があります。
この記事を読んでいただければ、いくらかかるのか、どのような計算になっているのかがわかります!
わかりやすく解説していきますのでぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者
宅建士 門傳 義文
宅建士 門傳 義文

メディア実績:日本経済新聞、朝日新聞、テレビ東京「WBS」、TBS「NESW23」、雑誌「プレジデント」など

「不動産をわかりやすく伝える」をコンセプトに、不動産会社「ラインズマン」を設立。メディア「暮らしっく不動産」を運営するほか、相談者とともに悩み、考える住まい選びの“プロ”として活動している。

門傳 義文のプロフィール

監修者門傳 義文先生の解説コメント

不動産売却に関わる税金の計算は複雑です。所有者が個人か法人によって異なる部分もあります。また、居住用や戸建ての空き家など、特例もいくつか存在します。売却の戦略に影響するケースもありますので、売却の前に税理士へ相談しておくことをおすすめします。

特にマンションの場合は、税の対象は物件の他に、所有者の事情なども関係することから、同じマンションでも同じ税金というわけではありません。「税務相談は、税理士でないと違法」と税理士法で定められています。不動産会社の担当者に任せておけば大丈夫と安心してしまう方もいますが、必ず税理士へ直接相談しましょう。

非税理士により行うことが禁止される税理士業務(国税庁)

マンション売却にかかる税金の種類

売却するのはマンションか戸建か、投資用か、マイホームなのかで細かい計算が変わります。こちらでは、マンションの売却について解説していきます。まずは、売却の際に発生する税金の種類をわかりやすく解説していきます。

税金の種類

  • 所得税
  • 住民税
  • 復興特別所得税
    (上記3つを合わせて譲渡所得税という)
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 消費税

1つずつ解説していきます。

所得税

マンションを売却し、その売却によって生まれた利益に税金がかかります。これは譲渡所得税といわれ、所得税+復興特別所得税+住民税の組み合わせになっています。
その中の所得税は、売却したマンションの所有年数によって税率が変わります。

  • 所有期間5年以上→15%
  • 所有期間5年以下→30%

マンションを売却する場合は、5年以上所有していた方が税率が低くなります。5年という年数が、マンション売却のポイントです。

住民税

サラリーマンの給与所得に住民税が課税されているように、マンションの売却益にも住民税が課税されます。住民税も売却マンションの所有期間によって税率が変わります。

  • 所有期間5年以上→5%
  • 所有期間5年以下→9%

住民税も5年以上所有した後に、マンションを売却した方が税負担は軽くなります。
マンション売却益にかかる4%の差は、大きな金額差です。

住民税を納付するタイミングは、マンション売却の翌年6月から、翌翌年の5月まで給与から天引きされる形式で納めます。
サラリーマンは天引きなので問題ないと思います。個人事業主や、自営業者の方は納付忘れがないように気をつけなければいけません。

復興所得税

復興所得税とは、東日本大震災の復興に充てる財源にするために設定された税金です。個人の所得税に、2.1%が上乗せで課税されます。これは2013年〜2037年までの25年間という、長期間にわたる税金制度です。

【復興所得税の計算】
・5年以上所有したマンションを売却した場合
15%(所得税率)×0.021=0.315%

・5年未満の期間所有したマンションを売却した場合
30%(所得税率)×0.021=0.63%

登録免許税

登録免許税とは、法務局で登記に関する手続きを行う際に必要な税金です。法務局に納める手数料のようなイメージです。
住宅ローンが残っているマンションを売却するときには、売却時に抵当権が外れていなければいけません。登記簿謄本に記載されている抵当権を外すことを、抵当権の抹消といいます。この手続きの際に、登録免許税が発生します。

抵当権とは、住宅ローンを借りる際に銀行がマンションに付けた担保の権利のことです。
抵当権抹消の登録免許税は、1つの不動産にごとに1,000円必要です。
抵当権は土地と建物それぞれに登記が必要です。土地が1つ、建物が1つの場合、登録免許税は2,000円必要になります。

印紙税

印紙税とは、売買契約書に収入印紙を貼り付けて納税するものです。印紙税には軽減税率が適用されます。
下記に当てはまることが条件です。

  • 記載金額が10万を超えるもの
  • 平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるもの

軽減後の税率は下記の通りです。

契約金額本則税率軽減税率
10万以上、50万以下400円200円
50万以上、100万以下1千円500円
100万以上、500万以下2千円1千円
500万円以上、1千万円以下1万円5千円
1千万円以上、5千万円以下2万円1万円
5千万円以上、1億円以下6万円3万円
1億円以上、5億円以下10万円6万円
5億円以上、10億円以下20万円16万円
10億円以上、50億円以下40万円32万円
50億円以上60万円48万円

参考:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)

マンション売却にかかる税金の計算方法

実際にマンションの売却で税金はいくらかかるのでしょうか。ここからは、計算方法と、大体の目安を解説していきます。

譲渡所得(売却益)を計算する

マンションの売却益(譲渡所得)にかかる税金のことを、譲渡所得税といいます。譲渡所得税は譲渡所得に所得税、復興所得税、住民税をかけたものの合計金額です。

【譲渡所得税の計算】
譲渡所得税=所得税+住民税+復興特別所得税

税金を計算していくために、譲渡所得を出すことが必要です。

【譲渡所得の計算】
譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用

譲渡所得を出すために、次の金額が必要です。

  • 譲渡価額
  • 取得費
  • 譲渡費用

それぞれの金額の求め方を解説していきます。

譲渡価額

【譲渡所得の計算】
譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用

こちらの譲渡価額について解説していきます。
売却金額のことになるのですが、正確には少し違います。
「価額」という表記であり、「価格」ではありません。値段ではなく、価値を表すのと同じ言葉です。それに対し、「価格」は「値段」を表します。

【譲渡価額の計算】
譲渡価額 = 売却価格+固定資産税精算金

固定資産税精算金とは、不動産にかかる固定資産税と都市計画税分の金額を、買主が売主へ支払うことです。売主は引渡し日の前日までの金額を支払い、買主は引渡し日から年末までの金額を支払います。

固定資産税精算金は、法律での規定はありません。しかし、多くの不動産取引の契約書に組み込まれています。
売買契約書に固定資産税精算金についての記載がある場合、支払いをしなければ契約解除にもなりかねないので、注意が必要です。法律に規定がなくとも、支払うべきものとして認識しておきましょう。

都市計画税とは、都市計画の地区内に所有している不動産にかかる地方税です。そのため、都市計画の区域外の土地、建物は対象外となります。

取得費

【譲渡所得の計算】
譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用

こちらの取得費について解説していきます。
取得費は、土地と建物の両方のことであり、それぞれ分けて計算します。
土地に関しては、購入代金や購入手数料などの合計額です。
建物に関しては、購入額から減価償却費を控除した金額のことです。

【取得費の計算】
取得費=土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)

取得費計算のため、建物に関して減価償却の計算が必要です。建物は年数の経過によって老朽化などにより、少しずつ価値が減少していきます。そのため、購入代金などから減価償却費相当の金額を差し引く必要があるのです。

【減価償却の計算】
減価償却費=建物購入価額×0.9×償却率×経過年数

経過年数は、所有しているマンションを購入した引き渡し日から、マンションを売却する引き渡し日の期間のことです。築年数ではありません。

償却率は、建物の構造によって変わります。
多くのマンションの構造は、下記の2種類です。

  • 鉄筋コンクリート造
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造

どちらも償却率は0.015です。
アパートでみられる木造建築の償却率は、0.031です。

建物の取得費から減価償却費を差し引く

例として、下記の条件の新築マンションを売却する場合の減価償却費を求めてみます。

マンション購入価額 3,000万円
土地購入価額    2,000万円
建物購入価額    1,000万円
経過年数      10年

減価償却費 = 建物購入価額×0.9×償却率×経過年数
      = 1,000万円×0.9×0.015×10年
      = 135万円

このような計算になります。ここまでわかれば、取得費が計算できます。

取得費=土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)
   =2,000万円+(1,000万円ー135万円)
   =2,000万円+865万円
   =2,865万円

中古マンションの場合

新築ではなく、中古マンションを購入する方も多いです。そのため、次に中古マンションを購入した場合の取得費についても考えていきます。
新築分譲マンションを購入するのではなく、中古マンションを購入したり、中古マンションを購入して新築同様にリフォームする方もいらっしゃいます。中古物件や、リフォームの需要も多くなってます。そのため、中古マンションの取得費の計算方法についても知っておくと、不動産の物件購入について購入・売却を検討する幅も広がります。

中古マンションの場合、個人の売主を通して購入すると、取得費に必要な土地価格、建物価格の内訳がわからない場合があります。
内訳を求める方法は2つあります。

まず税金から逆算する方法から解説します。
不動産における税金は建物にしか課税されません。そのため、売買契約書に以下のような記載があれば建物の代金を算出することが可能です。

【例】
購入金額:3000万円
税額:150万円(10%)
合計金額:3,000万円

この場合、税率が10%で建物のみにかかっているので、
150万円÷0.1=1500万円

このような計算で建物代金は1500万円になります。

次に、国土交通省の「建物の標準的な建築価額表」から算出する方法を解説します。
建物の標準的な建築価額は、当時の新築工事費の相場の単価です。
税額や、合計金額がはっきりしない場合もあり、そのようなときはこの方法を使います。
少し複雑ですが、わかりやすく解説していきます。

国土交通省の「標準建築単価」は、新築当時の工事費の相場単価です。建物価格を出すためには、標準建築単価と床面積を掛け合わせることで求めることができます。標準建築単価とは、1㎡あたりの工事費の平均単価のことです。標準建築単価から計算するためには、下記の順番で必要な価格を計算します。

  • 新築当時の建物の建築費を計算        →「新築時」の建物価格を出す。
  • 建物価格を購入時まで減価償却する      →「購入時」の建物価格を出す。
  • 建物価格を購入時から売却時まで減価償却する →「売却時」の建物価格を出す

上記3ステップで算出します。
例として、下記の条件の中古マンションを売却する場合の取得費を求めてみます。

構造:鉄筋コンクリート
新築年:1989年
購入年:2004年  (経過年数15年の中古マンション)
売却年:2020年  (購入から売却まで16年)
床面積:85㎡   (登記簿謄本に記載)
購入価格3,000万円(中古マンション購入価額)

合計の購入額は分かっても、土地価格と建物価格がわからない状態です。
前述した3ステップで計算します。

1.新築当時の建物の建築費を計算
建物価格を出すためには、標準建築単価と床面積を掛け合わせることで求めることができます。標準建築単価とは、1㎡あたりの工事費の平均単価のことです。国土交通省の「標準建築単価」は、新築当時の工事費の相場単価です。

建物の標準的な建築価額表から、1989年の鉄筋コンクリートの建築費を出します。
1989年(平成元年)の標準的な建築価額は、193.3千円/㎡です。

このことから新築当時の価格は下記となります。
新築当時の建物価格=標準建築費×床面積
         =193.3千円/平米×85㎡
         =1,643.05万円

2.建物価格を購入時まで減価償却する
次に購入時まで減価償却して、購入時の建物価格を計算します。

新築から購入までの経過年数は「15年」でした。
この年数を用いて、購入時の建物価格を求めるために、新築から購入時の建物価格を求めます。

減価償却費=新築建物価格×0.9×償却率×新築から購入までの経過年数
     =1,643.05万円×0.9×0.015×15年
     =3,327,176円

購入時の建物価格は、新築建物価格から減価償却費を控除するものです。以下のように計算します。

購入時の建物価格=新築建物価格-減価償却費
        =1,643.05万円-3,327,176円
        =13,103,324円

これが、購入時の建物価格です。

3.建物価格を購入時から売却時まで減価償却する
購入時の建物価格がわかりましたので、マンション購入価額から購入時の土地価格を計算していきます。

購入時の土地価格=マンション購入価額-購入時の建物価格
        =3,000万円-13,103,324円
        =16,896,676円

購入時の建物価格を売却時まで減価償却します。

減価償却費=購入時の建物価格×0.9×償却率×購入から売却までの経過年数
     =1,310万円×0.9×0.015×16年
     =2,829,600円

減価償却費までわかったため、取得費が計算できます。

取得費=購入時の土地価格+(購入時の建物価格-減価償却費)
   =1,689.6万円+(1,310万円-282.9万円)
   =2,716.7万円

これが取得費です。少し複雑かもしれませんが、1つずつゆっくり確認していけばわかります。

購入価額が不明な場合

購入価額が不明な場合の取得費の求め方は、「概算取得費」を使って計算します。
概算取得費とは、売却価格の5%を取得費とすることです。
実際の取得費が売った金額の5%を下回る金額の場合、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。そのため、取得費が計算できる場合であっても一度検討してみるといいでしょう。
また、5%と決めて計算ができるため、税金の計算が簡単になります。


譲渡費用

【譲渡所得の計算】
譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用

こちらの譲渡費用を解説していきます。
譲渡費用に含むことができるもの、できないものがわかれてます。基本的には、マンション売却の際に直接必要な費用という考え方です。

売却の譲渡費用に計上できるもの

  • 仲介手数料
  • 売買契約時の印紙税
  • 売却に伴い支払った立退料(貸していたマンションを売るため、借家人に家を出てもらうために支払った立退料)※賃貸不動産として使用していたマンションの場合
  • 売却に伴う広告費
  • 売買契約締結後、別の人に売るために、最初の契約者に支払った違約金
  • 地主に支払う名義書換料

仲介手数料
 マンションを売却する際に不動産会社を介して売った場合、手数料が発生します。マンション売却の際に直接必要な費用なので、譲渡費用として計算可能です。不動産会社からもらう領収書は必ず保管しておきましょう。

売買契約時の印紙税
売買契約書に貼り付ける印紙税は、前述のとおり金額が決まっており、前もってわかる金額です。どれくらいの金額が必要になるか分かりやすいのは、メリットの1つです。マンションの売買となると、印紙税の金額も高くなるので無視できない金額です。知識として知っておくことをお勧めします。

売却に伴い支払った立退料(貸していたマンションを売るため、借家人に家を出てもらうために支払った立退料)※賃貸不動産として使用していたマンションの場合

賃貸経営として運用していた物件を売却する場合です。まだ借主が住んでいるときは、立退料を支払うことがあります。借主との立ち退き交渉に必要な費用は、売却に必要な経費として扱うことができます。

立ち退き料の金額に決まりはないため、借主との交渉次第で金額が決まります。多くの場合、新居を探すために必要な費用を負担することが多いです。
売却するマンションに借主が多く残っている場合は、立ち退き料も高額となります。発生した費用はきちんと記録しておきましょう。
具体的な立退料の内容は、次のものが考えられます。

  • 敷金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 引っ越し費用

売却に伴う広告費
自分のSNSで募集をかけ、そこで完結すれば広告費は発生しませんが、それだけでは難しいです。不動産業者などに広告料を払い掲載してもらうことが無難です。ニーズがあり、多くの人の目に触れるように広告を打たなければ、マンションの売却は難しい場合もあります。

売買契約締結後、別の人に売るために、最初の契約者に支払った違約金
売買契約締結後に、新たに高額で購入してくれる人が見つかる場合があります。売主側の都合で、契約後に買主を変更するのであれば、買主から払ってもらった頭金の返金と、それと同額の違約金を支払うことになります。

この場合、違約金として支払った分のみ経費として計上できます。返納した頭金分は含まれませんので注意が必要です。また、支払った違約金も解約しただけであれば譲渡費用には含まれません。次の売主に譲渡する必要があります。

地主に支払う名義書換料
借地の権利を売る際に、地主に名義書換料を支払います。これも譲渡費用に含まれます。名義書換料の金額相場は、借地権価格の約10%になっています。

売却の譲渡費用に計上できないもの
ここからは、譲渡費用に計上できないものを解説します。下記項目が具体例です。

  • 抵当権抹消や相続のための登記費用
  • 司法書士費用
  • 不動産売却までにかかった修繕費や維持費などの管理費
  • 固定資産税
  • 家財処分費用
  • 引越費用
  • 税理士に確定申告を依頼した場合の費用

抵当権の抹消や相続のための登記費用
上述した、抵当権の抹消、相続のための手続きに関することなど、登記において発生する費用は譲渡費用として計上することはできません。

司法書士費用
登記の手続きを司法書士に依頼する場合もあるかと思います。この場合、司法書士に報酬が必要ですが、この費用も譲渡費用として計上することはできません。

不動産売却までにかかった修繕費や維持費などの管理費
修繕費や、維持費などの管理費は、所有期間中に発生した費用なので譲渡費用に含まれません。譲渡費用は、売却の際に必要な費用という考え方のため含まれないのです。
修繕費は、リフォームやクリーニング費用などのことです。少しでも高く売却するために家の中を改善する方も多いですが、その費用は譲渡費用にはならないのです。
しかし、マンション売却の際に、買主からの要請でリフォーム工事を行う場合、その費用が譲渡費用として認められるケースもあります。

固定資産税
固定資産税も所有期間中に発生した費用なので譲渡費用に含まれません。資産を所有している間に発生する税金だからです。

家財処分費用、引越費用
家財処分、引越し、これらの費用も直接的に譲渡に必要な費用として認められてません。そのため、譲渡費用に含むことはできないのです。

税理士に確定申告を依頼した場合の費用
確定申告を税理士へ依頼したときの報酬は、一見譲渡に必要な費用かと思われますが、これも譲渡費用にはなりません。

確定申告は、自分の収入についての申告なので、個人で行うことが前提です。そのため、税理士に依頼した人と、依頼していない人との間に不公平が生じてしまいます。そのようなことが起こってはいけない、という考えから、経費として計上することができないのです。

しかし、税理士に確定申告を依頼したほうが、最終的に税金が安くなる可能性はあります。有利な特例の適用などを確認してもらうことができます。また、経費になるもの・ならないものを確認してもらうことができます。確定申告自体、慣れていない方や、簿記・経理に詳しくない方には難しいものです。そのため、税理士に依頼して確定申告したほうが安心できます。

税理士に依頼した報酬は節税にはできません。ですが、不動産の売却に慣れていない方は、税理士に費用を含めて相談し、確定申告を依頼することを検討することがお勧めです。

マンション売却の譲渡所得税を計算する

長くなりましたが、これで譲渡所得税を計算する準備が整いました。
下記の物件内容で、譲渡所得税の計算を具体的に行っていきます。
【物件内容】

  • 売却価格:2,800万円
  • 固定資産税清算金:4万円
  • 購入価格:3,000万円(土地価格:1,500万円、建物価格1,500万円)
  • 譲渡費用:80万円
  • 経過年数:20年
  • 構造:鉄筋コンクリート造

まずは、税金の計算方法の確認です。

【譲渡所得税の計算】
譲渡所得税=所得税+住民税+復興特別所得税

この譲渡所得税を求めるために、「譲渡所得」を出さなければいけません。
そのために、譲渡所得の計算内容を解説してきました。

【譲渡所得の計算】
譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用

この計算に当てはめ、譲渡所得を求めていきます。
上記の条件から、所有期間が5年以上であるため、所得税率15%・住民税率5%が適用されます。

・所得税
所有期間5年以上→15%
所有期間5年以下→30%

・住民税
所有期間5年以上→5%
所有期間5年以下→9%

●譲渡価額=売却価格+固定資産税精算金
     =2,800万+4万
     =2,804万

●減価償却費=建物購入価額×0.9×償却率×経過年数
      =1,500万円×0.9×0.015×20年
      =405万円

●取得費=土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)
    =1,500万円+(1,500万円-405万円)
    =2,595万円

●譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用
     =2,804万円-2,595万円-80万円
     =129万円

●所得税=譲渡所得×税率
    =129万円×15%
    =19.35万円

●復興特別所得税=所得税×2.1%
        ≒0.4万円

●住民税=譲渡所得×5%
    =129万円×5%
    =6.45万円

●税金=所得税+住民税+復興特別所得税
   =19.35万円+6.45万円+0.4万円
   =26.2万円

以上の計算から、この物件内容の例題の場合、税金は26.2万円でした。物件ごとで税金は大きく金額が変わります。売却時の税金支払いも考慮してマンション売却を行いましょう。

所有期間は5年以下か5年超か

上記の物件の例題は、所有期間が5年超えの物件だったため、所得税・住民税共に低税率でした。仮に5年未満の所有期間だとしたら、税金はいくらになっているでしょうか。検証してみましょう。

●所得税=譲渡所得×税率
    =129万円×30%
    =38.7万円

復興特別所得税=所得税×2.1%
        ≒0.8万円

●住民税=譲渡所得×9%
    =129万円×9%
    =11.61万円

税金=所得税+住民税+復興特別所得税
   =38.7万円+11.61万円+0.8万円
   =51.11万円

例題が、所有年数5年未満の物件だった場合、税金は51.11万でした。
一概にこの部分だけをみて判断するわけにはいかないのですが、1つの要因で税金が大きく変わる可能性がある、ということは参考になったと思います。

所有期間が10年超なら「軽減税率の特例」がある

軽減税率には特例制度があります。マンション売却における特例の1つは、「10年以上の長期間に渡って所有していた居住用の住居を売却する」場合です。居住用、つまりマイホームです。投資用の物件ではないのでご注意ください。
軽減税率の特例とは、長期譲渡所得から、さらに税率を小さくしてくれる制度です。
上記の税金計算の例題では使用しておりません。通常の計算を知っていただくためです。

特例後の税率は下記になります。

譲渡所得金額所得税住民税
6,000万円以下の部分10%4%
6,000万円超の部分15%5%

参考:マイホームを売ったときの軽減税率の特例(国税庁)

所有期間は「売却した年の1月1日時点」でカウント

税率の軽減や特例を受けるにあたって、注意すべき点があります。それは、所有期間は売却した年の1月1日時点でカウントされる、ということです。

例えば、ある年の3月1日にマンションを購入し、10年後の4月1日に売却したとします。この場合、所有期間としては10年を超えています。ですが、売却した年の1月1日時点では10年未満の所有期間であるため、条件を満たしていないことになるのです。
5年で区切られる税率の違いも、同様にカウントされます。
この税率の違いで10万以上や、100万以上の差が出ることもあります。忘れないようにしましょう。

マンション売却時の節税に役に立つ控除とは

マンション売却時に、マイホームであれば軽減税率の他にも役に立つ控除があります。
「3000万円特別控除」という控除です。こちらについて解説します。

「3,000万円の特例控除」について

居住用マンションを売却する際に、「3000万円特別控除」という控除を利用すれば、譲渡所得の計算が下記のように変わります。

【譲渡所得の計算】
譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円

計算の結果、譲渡所得が3000万円以下であれば、譲渡所得税はかかりません。マイナスになれば、ゼロとして扱われ、税金がかからないということです。

譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

マイホームの買い替えで損失が発生した場合、どのように対応すればいいのか解説していきます。
マイホームを買い替える際に、利益が出たのか、損失が出たのかは必ず知る必要があります。ここまで解説してきたように、利益が出た場合は税金の支払いが発生するからです。

【譲渡所得の計算】
譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用

上述してきたのと同様に、上記の計算で譲渡所得がプラスのときは「譲渡益」、譲渡所得がマイナスのときは「譲渡損失」が発生しています。
譲渡損失が出たときは「譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」が利用できます。この特例は、損失が出た年の給与など他の所得と合算し、所得のプラスと譲渡損失のマイナスを相殺します。これで所得を減らすことで、所得税や住民税を減らせます。これを「損益通算」といいます。

その年の所得のみでは相殺しきれない場合、翌年以降3年間にわたり損益通算が可能です。これを「繰越控除」といいます。

特例を受けるためには下記条件が必要です。

  • マイホームであり、住んでいない場合は、住まなくなってから3年後の12月31日までに譲渡すること。
  • 所有期間5年以上
  • 買替え先の家は床面積50㎡以上必要
  • 買替え先の新居に、購入した翌年の12月31日までに引っ越すこと
  • 新居は10年以上のローンを組むこと

参考:マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(国税庁) 

下記項目に当てはまるときは、特例が受けられません。

  • 繰越控除が受けられない
  • 現在のマイホームの面積が500㎡以上
  • 新居を10年以上のローンで組むことができない
  • 所得が3,000万以上ある

下記項目に当てはまるときは、損益通算と繰越控除の両方が受けられません。

  • 売主と買主が家族、親戚である。特殊な関係にある法人なども含まれる
  • 長期譲渡所得の軽減税率や、3,000万特別控除など、なにか特例や控除を受けている
  • 過去3年以内に別件で損益通算の特例を受けている

参考:マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(国税庁) 

相続したマンションを売却した場合の税金

親からマンションを相続する方もいらっしゃると思います。相続によって手に入れたマンションを売却する場合の税金について解説していきます。

相続税を取得費に加算できる

親から相続したマンションにも、売却時に利益が出ると課税されます。
しかし、売却する人が相続税を課税されている人ならば、相続税の一部を取得費に加算し、税金を少なくすることができます。これを「取得費加算の特例」といいます。相続税を納税する人に通常通り課税すると税負担が重くなってしまうためです。
この特例が適用されるには次の条件が必要です。

  • 相続により財産を取得していること
  • その財産に相続税が課税されていること
  • その財産を相続して翌日以降、3年以内に売却すること

【「取得費加算の特例」適用時の計算】
譲渡所得=譲渡価額-取得費-取得費に加算する相続税額-譲渡費用

【取得費に加算する相続税額】
相続税×相続の対象であるマンションの課税価格÷(相続税の課税価格+債務控除額)

上記の計算で、相続したマンションの売却時の税金を求めることができます。

「取得費加算の特例」と「小規模宅地等の特例」、どちらがよいか?

親から不動産を相続する際に「小規模宅地等の特例」を利用できる可能性があります。
この特例は、相続や遺産で住居用の不動産を相続する際に、330㎡までの面積であれば評価額を80%減額する、という特例です。
これは、「小規模宅地等の特例」の「特定居住用宅地等」という種類のものです。

相続したマンションの状況(床面積・築年数・相続して住むのか、売却するのか、その他など)により、個人で状況は異なると思います。
売却する予定があれば、「取得費加算の特例」と、「小規模宅地等の特例」それぞれ売却マンションの状況に合わせてシュミレーションをしたり、税理士に相談して準備をしておくことをお勧めします。

「小規模宅地等の特例」には上記の「特定居住用宅地等」以外に3種類、特例の対象になるものがあります。1つずつ解説します。

  • 特定事業用宅地等     
  • 特定同族会社事業用宅地等
  • 貸付事業用宅地等

特定事業用宅地等
特定事業用宅地等は、相続人が事業用に使用していた住宅が対象です。400㎡までが限度面積で、評価額を80%減額する特例です。

特定同族会社事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等は、特定同族会社の事業用に使用していた住宅が対象です。同じく、400㎡までが限度面積で、評価額を80%減額する特例です。

貸付事業用宅地等
貸付事業用宅地等は、被相続人の貸付事業用(不動産貸付)に使用されていた住宅が対象です。200㎡が限度面積で、評価額を50%減額する特例です。

不動産を相続する際には、上記で紹介したような特例もあります。税金の金額をみるだけでなく、負担を減らせる方法がないか、公的機関や税理士も活用していきましょう。

マンション購入価格が不明な場合

相続でマンションを受け取った場合、取得費に必要な土地価格、建物価格の内訳がわからない場合があります。
この場合、前述している中古マンションの売却のときと同じ方法で、土地価格、建物価格の内訳を求めることが可能です。

  • 税金から逆算する方法
  • 国土交通省の「建物の標準的な建築価額表」から算出する

上記2つに加えて、相続したマンションならば、土地価格、建物価格がわかる可能性が高い方法があります。

  • 事前に家族内で話合う
  • 遺品整理

相続について、早めに話し合うことを不謹慎だと考える方もいらっしゃると思います。
しかし、人はいつ事故に合ったり、事件に巻き込まれたりして亡くなってしまうか分かりません。早めに話し合うからこそ、後に残る不安が消えます。家族間の不安を無くすコミュニケーションの場にもなります。話し合いがしっかりしていれば、その分家族内の絆も深まるため、非常に重要なことではないでしょうか。

遺族も、相続について後々争いが起こることは避けたいはずです。そのためにも、早めに話し合い、相続マンションの内容、詳細資料と共に、土地価格・建物価格の内訳がわかるようにしておくことがお勧めです。

また、話合いをする前に不慮の事故で相続が発生することもあると思います。マンションの売買に関する書類・資料は重要なものなので、破棄していることは考えにくいです。そのため、遺品整理の際に資料が見つかることも考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。マンション売却に関する税金について、細かいところまでまとめて解説しました。
税金の計算や、考え方は複雑に見えますが、1つずつ紐解いていき、理解しようという目で見るとわかるものです。

譲渡所得税の計算方法を知ることで、マイホーム購入を検討している方や、不動産投資に興味をもっている方は、資産価値を残せる家かどうかを検討しながら購入できます。マンション売却のときに役に立つだけではなく、購入の際にも役に立つのです。

不動産に関する税金の知識は知っているだけで得をする、知らないだけで損をする、ということがよくあります。
マンションを5年以上所有しているのか、10年以上なのか、それぞれで課税される税率が違います。「3000万円特別控除」など知らないと使いようがありません。

税理士に依頼するとしても基礎知識・予備知識をもっているかどうかで、税理士が話す内容の理解度が変わります。税理士の対応を試すわけではないのですが、丁寧に対応してくれている税理士かどうか、全く知識のない状況より分かってくると思います。

売却マンションの税金の計算式の一部が変わるだけで、支払う税金が10万単位や100万単位で大きく変わりかねません。大きな出費になれば、人生の資産計画にも大きく影響します。そのため、正確な知識を身につけていただきたいと思います。

この記事の全てを一度で覚えるのは難しいと思います。

  • 不動産売却に関する読み物にする
  • 必要なときに必要な情報を得るための、1つの武器にする

このような使い方をしていただければと思います。
「家」「税金」に関することは、誰もが知っておくべきことです。この記事を読んでいただくことで、不動産に関するマネーリテラシーを高め、少しでも読者の皆様のお役に立てればと思います。

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