大手企業のインフラエンジニアになって活躍したいと考えている人は多いでしょう。大手への転職を成功させるためには、IT業界で評価されやすい資格や、転職に適したタイミングを知っておくことが大切です。IT業界に特化した転職エージェントを知り、効果的に利用することもキャリアアップの近道となるでしょう。
この記事では、インフラエンジニアに求められるスキルや大手への転職を成功させるコツ、おすすめの転職エージェントなどを紹介します。
目次
- インフラエンジニアとは?
- インフラエンジニアが転職する際に考えたい大手と中小の違い
- インフラエンジニアが大手の転職を成功させるコツ
- 大手に転職したい経験者は必見!転職サイト・転職エージェントのおすすめ9選
- キャリアアップを目指している人は大手への転職に挑戦してみよう!
インフラエンジニアとは?
ITインフラとは、サーバーやネットワークなどのシステム利用に必要な基盤のことです。インフラエンジニアは、こうしたITインフラの設計や運用などを行い、円滑にシステムが利用できる環境を整えます。
ところで、インフラエンジニアと混同されやすい職種がシステムエンジニアです。システムエンジニアはソフトウェアなどのシステム全般を開発するのが仕事で、そのためにはインフラの整備が欠かせません。システムエンジニアが安心して活躍するために、縁の下で支えるのがインフラエンジニアの役割といえます。
ここからは、インフラエンジニアの種類や業務内容、平均年収、必要とされるスキルなどを紹介します。
インフラエンジニアの種類
インフラエンジニアは以下の3種類に大きく分けられます。
- サーバーエンジニア
- セキュリティエンジニア
- ネットワークエンジニア
ここからは、それぞれの特徴について解説します。
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアは、社内業務で必要なサーバーの設計や運用、保守を担当します。サーバーとは、利用者のリクエストに応じたデータを提供するハードウェアまたはソフトウェアのことです。Webサイトの閲覧やメールの送受信など、コンピューターで業務を行ううえでサーバーは欠かせません。
サーバーにはWebサーバーやメールサーバー、アプリケーションサーバーなど、さまざまな種類があります。物理サーバーの管理では、他の機器との配線といった業務も行う必要があります。サーバーや、サーバーが作動するOSに関する幅広い知識が必要とされる職種です。
セキュリティエンジニア
企業のネットワークやシステムを外部のサイバー攻撃から守るのがセキュリティエンジニアの役割です。社会的に情報セキュリティへの意識が高まっていることもあり、セキュリティエンジニアの注目度は上がってきています。ファイアウォールの導入で不正アクセスを防ぐ、セキュリティパッチを設置してシステムの脆弱性を解消するといった業務を主に行います。
ネットワークエンジニア
社内ネットワークの設定や構築、運用などを担うのがネットワークエンジニアです。ルーターなどのネットワーク機器をつなぎ、安定したネットワーク環境を保持します。安全にネットワークを使うための設定をすることもネットワークエンジニアの重要な仕事です。
インフラエンジニアの業務内容
インフラエンジニアの業務は大きく5つの工程に分類できます。
- 要件定義
- 設計
- 構築
- テスト
- 運用・保守
ここからは、それぞれの業務内容について簡単に紹介します。
要件定義
インフラエンジニアの業務における第一段階は要件定義書の作成です。インフラ構築のために必要と思われる業務を想定し、すべての工程を文書に起こします。インフラエンジニアはヒアリングを通して現状の課題や目標を明確にしなくてはなりません。そのうえで、どのような性能や機能があれば課題を解決できるのか考え、要件定義書に落とし込みます。
設計
次に、要件定義書に示された指示に従って設計書を作成します。課題解決を第一として、必要な機能を備えたインフラ設計を目指します。必要なコストやスケジュールについて明確にしておくことも設計業務の一環です。
構築
設計書の内容に基づいてインフラの構築を進めるのが次の段階です。ネットワーク回線やサーバーの設置もこの構築段階で行うことになります。インフラの用意が整ったら、実際にソフトウェアをインストールしていきます。
テスト
構築したインフラの動作確認、および負荷テストを行います。テストの結果に問題が見つかれば、問題が解決できる形で再度構築を試みます。
運用・保守
構築まで完了したら、実際にインフラを運用しながら保守業務を行います。構築までの業務が「上流工程」と呼ばれるのに対し、運用・保守業務は「下流工程」と呼ばれます。インフラエンジニアになったばかりの人は、まず下流工程を通じて経験を積むことになるでしょう。
インフラは24時間作動させるものですが、アップデートやトラブルなどのときはメンテナンスも行わなくてはなりません。下流工程の担当者には、なるべくインフラを止めずに運用を行う体制の構築が求められます。
インフラエンジニアの平均年収
インフラエンジニアの平均年収は、求人ボックスの調査によると約546万円です。ボリュームゾーンは500万~600万円で、日本の平均年収に比べるとやや高めです。
インフラエンジニアの年収は幅があり、勤務先の地域や経験、役職などによって変動します。例えば、関東地方は北陸地方などに比べて平均年収が高い傾向にあります。平均年収が最も高い県と最も低い県では200万円近い差があるので、転職先を選ぶときは地域も考慮に入れるとよいでしょう。
その他、企業規模が大きいほど年収は高い傾向にあり、マネージャーなどの役職につくことで給与が上がる場合もあります。求人情報を比較するときは、平均年収のデータも参照することをおすすめします。
インフラエンジニアに求められるスキル
インフラエンジニアには以下のようなスキルが求められます。
- サーバースキル
- セキュリティスキル
- ネットワークスキル
- プログラミングスキル
- 設計スキル
- マネジメントスキル
ここからは、それぞれのスキルについて簡単に紹介します。
サーバースキル
インフラエンジニアは、サーバーOSの王道であるWindowsやLinuxなどに関する知識を身に付けておく必要があります。AWSやAzureなどのクラウドサーバーも主流になりつつあるので、扱い方を心得ておくことが大切です。トラブルが起こった際も、迅速なリカバリーで業務に支障をきたさないようにする能力が求められるでしょう。
セキュリティスキル
セキュリティ設定もインフラエンジニアの業務の一環です。特に、インフラの設計においてセキュリティ対策は重要なポイントとなります。シマンテックをはじめとするセキュリティ製品に関する知識を身に付けておくと、業務が進めやすくなるでしょう。
ネットワークスキル
ネットワークスキルも習得しておくと役に立つスキルの一つです。ネットワーク技術の全体像を理解すれば、業務が円滑に進められるインフラの構築に役立つでしょう。シスコなどのネットワーク機器を適切に扱うスキルも求められます。
プログラミングスキル
サーバーに関する業務で、インフラエンジニアはシェルスクリプトなどのプログラムを使用します。サーバー上で作動するアプリケーションについても、プログラムについての知識があれば設定しやすくなります。プログラミングスキルを身に付けることでインフラエンジニアとして対応できる業務の幅が広がるでしょう。
設計スキル
上流工程に携わるインフラエンジニアにはインフラ設計スキルが必要です。下流工程に携わる場合は必要ありませんが、キャリアアップを目指すなら積極的に習得することをおすすめします。
マネジメントスキル
インフラエンジニアの業務は基本的にチームで進めるため、チームを束ねるマネジメントスキルはキャリアアップに役立ちます。新人の育成やQCD管理に携わった経験があれば、転職市場での評価も高まるでしょう。
インフラエンジニアが転職する際に考えたい大手と中小の違い
一般的に、中小企業に就職してから大手へ転職するのがインフラエンジニアのキャリアパスとなります。いきなり大手を目指すのではなく、まずは中小企業で基本的な業務経験を身に付ける必要があるでしょう。
インフラエンジニアとしてキャリアを積むうえで知っておきたいのは、大手と中小では業務内容が異なるということです。大手の場合、業務はディレクションが中心となり、主にインフラの要件定義や設計を担当します。一方、中小ではインフラの構築や運用・保守を行う下請け業務が中心となります。
中小は大手よりも収入が少なく、残業時間も多い傾向があるので、ゆくゆくは大手への転職を目指すのが賢明です。ただし、中小は自分の裁量で決められることも多く、幅広い業務に携わって経験を積むことができます。中小でインフラエンジニアとしての実力をつけ、大手に転職してキャリアアップを狙うのが王道ルートだといえます。
インフラエンジニアが大手の転職を成功させるコツ
インフラエンジニアが大規模なプロジェクトのディレクションを担当するためには、大手に転職することが必要不可欠です。中小から大手に転職するためのポイントを押さえ、順調なキャリア形成を目指しましょう。
ここからは、インフラエンジニアが大手への転職を成功させるコツを紹介します。
実務経験があり即戦力がついたタイミングで転職する
インフラエンジニアが大手への転職を目指すときは、最低でも3~5年程度の実務経験が求められます。特に、インフラの設計段階から携わった経験がある場合は優遇されやすいでしょう。
1~2年程度の経験しかない状態で大手への転職を狙うのは難しいです。まずは今の会社に腰を据え、インフラエンジニアとしての基本的な業務を一通りこなすことをおすすめします。中小では幅広い業務を担当できる場合が多いので、積極的に挑戦して即戦力として活躍できる能力を鍛えましょう。
転職活動を始める前に資格を取る
インフラエンジニアの転職の成否は、資格の有無に大きく左右されます。大手は求人倍率の高さが特徴ですが、仕事に役立つ資格を取得することでライバルに差が付けられるでしょう。インフラエンジニアの転職で評価されやすい資格としては、以下のものが挙げられます。
- 応用情報技術者試験
- データベーススペシャリスト試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- LinuC
- シスコ技術者認定
「応用情報技術者試験」は高度なIT技術者であることを証明できる試験です。応用的なシステム開発技術や品質管理、経営戦略における提案力などが問われます。インフラエンジニアとして上流工程で活躍したい人は取得を目指すとよいでしょう。
「データベーススペシャリスト試験」はデータベースシステムの構築や管理に関する知識およびスキルを問われる試験です。難易度は高いものの、年々複雑になるデータ分析の分野で存在感を示せるので、取得する価値はあります。
「ネットワークスペシャリスト試験」では、ネットワークシステムについての高度な知識や技術が問われます。インフラ設計でもネットワークに関する知識は重宝されるので、ぜひ取得を目指したいところです。
「LinuC」は、大きなシェアを誇るLinuxシステムの構築力や運用力が試される民間資格です。3つのレベルがありますが、高度なスキルを証明したい場合は最も難易度の高いLinuC-3の取得を目指してください。
「シスコ技術者認定」は、世界最大手のネットワーク機器であるシスコ製品に関する知識やスキルが問われる民間資格です。エントリー(CCT)・アソシエイト(CCNA)・プロフェッショナル(CCNP)といったレベルに分かれますが、CCNAでも十分評価の対象になります。
リファラル採用で転職する
効率よく転職するために、トレンドの採用手法である「リファラル採用」を活用する方法もあります。リファラル採用は、社員の紹介を通して人材を確保する採用手法です。従来の採用手法よりもマッチングの精度が高く、慢性的な人材不足の影響もあって導入する企業が増えてきています。
働きたい大手に勤めている知人がいる場合は、自分をその企業に紹介してくれるかどうか打診してみるとよいでしょう。採用基準をクリアした場合、効率よく大手に転職できる可能性があります。
ただし、リファラル採用では待遇などの条件交渉を自分で行わなければなりません。不利な条件で雇用契約を結んでしまう可能性もあるため、転職の経験が少ない人は注意が必要です。
転職サイトや転職エージェントを活用する
転職活動をサポートしてくれる転職サイトや転職エージェントを活用するのもおすすめの方法です。転職サイトは自分の条件に合った求人情報を探せるWebサイトで、転職エージェントは適切な求人情報を紹介してくれるサービスです。
転職エージェントに登録すると、担当がついて転職に関する相談ができます。カウンセリングを通して求職者の希望を正確に把握し、非公開の求人情報も教えてもらえるでしょう。また、面接対策の指導や条件交渉など、手厚いサポートが受けられることも転職エージェントのメリットです。
一方、自分で情報を探しながら条件を検討したい人には転職サイトが向いています。自分に合った方法を選び、大手への転職を目指すとよいでしょう。
大手に転職したい経験者は必見!転職サイト・転職エージェントのおすすめ9選
転職サイトや転職エージェントを選ぶときは、扱っている求人の数と質に注目しましょう。求人数が多いサービスなら選択肢も増え、自分に合った求人が見つかりやすくなります。特定の業種や職種に特化して質の高い求人を用意している場合もあります。
なお、転職エージェントの場合はサポートの細かい内容が異なるため、登録の前に確認が必要です。キャリアアドバイザーとの相性も転職の成否にかかわるので慎重に検討しましょう。
レバテックキャリア
「レバテックキャリア」はITエンジニアとWebデザイナーに特化した転職支援サービスです。IT業界ではよく知られた転職エージェントで、求人数や提案力、サポートの手厚さなどで高く評価されています。
求職者に最適な求人を見つけ出し、さらに応募先企業の選考基準に合わせた対策をぬかりなく行うことで、初回提案内定率90%の実績を上げています。マンツーマンで徹底的にサポートしてくれるので、転職の初心者も安心して利用できます。
IT業界の転職に強い、安定感のあるエージェントを求めている人にはレバテックキャリアがおすすめです。
マイナビIT
出典:マイナビIT公式サイト
「マイナビIT」は、マイナビグループが展開する、IT業界に特化した転職支援サービスです。取り扱っている求人の量・質ともに優れ、非公開求人も豊富にそろっています。
サポート体制が充実しており、履歴書の書き方や面接対策など、転職で役立つアドバイスが受けられるのも特徴です。丁寧なカウンセリングも人気の理由の一つで、希望を細かくリサーチしてくれるので心強く感じる人が多いようです。
優秀なキャリアアドバイザーの手厚いサポートが受けたい人や、幅広い求人の中から自分に合ったものを見つけたい人には、マイナビITを利用してみると良いでしょう。
転職ドラフト
出典:転職ドラフト公式サイト
「転職ドラフト」は、エントリーしたITエンジニアを企業が指名する形式の、スカウト型の転職サイトです。ITエンジニアを指名する企業は、人材の経験やスキルに見合った年収を提示しなければなりません。競争入札型なので、IT業界における自分の市場価値がはっきりわかります。
あらかじめ年収や業務内容を知ったうえで選考に進めるのは大きなメリットだといえます。自分からアプローチをかける必要がなく、転職活動の手間が省けることもメリットの一つです。ただし、企業にとって魅力的な経験やスキルがないと審査に通過できないというデメリットもあります。
自分の能力に自信があり、現職よりも高い年収を望んでいる人は転職ドラフトを利用してみるとよいでしょう。
IT求人ナビ
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ウィルオブ・テックキャリア
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多角的な視点から転職をサポートしてほしい人には、ウィルオブ・テックキャリアの利用をおすすめします。
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全業種に強いグループ企業の強力なバックアップを受けたい人は、リクルートエージェント×ITを利用してみましょう。
dodaエンジニアIT
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「dodaエンジニアIT」も大手転職エージェントが提供しているIT業界の転職支援サービスです。取り扱い求人数はリクルートと並んで多く、丁寧なカウンセリングを通して希望に合った企業を紹介してくれます。キャリアアドバイザーとオンライン上でコミュニケーションを取ることができ、アプリなどの転職支援ツールも豊富に揃っています。
幅広い求人情報の中から最適なものを紹介してほしい人はdodaエンジニアITがおすすめです。
Tech Clipsエージェント
「Tech Clipsエージェント」は高年収かつ好待遇の求人に特化したITエンジニア向けの転職エージェントです。地域を首都圏に絞り、年収500万円以上の求人情報のみを取り扱っています。
現役エンジニアがコンサルタントを務めており、現場の視点からアドバイスをしてくれるのも魅力的なポイントです。「コンサルタントが現役エンジニアだから、技術的な話が通じて安心した」という声も寄せられています。
首都圏で待遇のよい求人を探している人は、Tech Clipsを利用してみてはいかがでしょうか。
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出典:Geekly公式サイト
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非公開求人の取扱数も多いため、Geeklyならではの求人情報を教えてくれるでしょう。公式サイトでは転職に役立つ豊富な情報を紹介しており、履歴書のテンプレートなどを無料でダウンロードできます。
転職して年収を上げたい人や、非公開求人に興味がある人はGeeklyを利用してみるとよいでしょう。
キャリアアップを目指している人は大手への転職に挑戦してみよう!
インフラエンジニアとしてキャリアアップを目指している場合、大手への転職を狙うのが賢明です。大手と中小では業務の領域が異なり、中小企業に勤めていると大規模プロジェクトのディレクションなどに関われないためです。
大手への転職を成功させるコツとしては、市場で評価されやすい資格を取得することなどが挙げられます。また、転職エージェントを利用するのも効果的な方法です。IT業界での転職に強いエージェントの力を借りて、能力が最大限に発揮できる職場を探してみてはいかがでしょうか。