オリンピックなどスポーツの大きな大会でメダルを獲った選手が、写真撮影の際に、メダルを噛むのが慣習のようになっている。このメダルを噛む行為は、そもそも誰が始めたのだろうか。


オーストラリアのイケメン選手が最初だった!?


最初に誰がメダルを噛んだか、説はいくつかあるが、最初にメディアにメダルを噛む写真が出たのは1988年のソウルオリンピックの時という説が有力だ。
男子水泳200メートル自由形で優勝した、オーストラリアのイケメン、ダンカン・ジョン・アームストロング選手。白い歯でがりっとメダルを噛んだ写真についた見出しは「勝利ガリガリ」だった。

メダルを噛んだ最初の日本人は?


その後、90年代からメダルを噛むポーズをとって写真撮影をすることが世界的な流行として広がった。
日本で最初にメダルを噛んだのは、1996年開催のアトランタオリンピックで金メダルを獲った柔道の野村忠宏選手と言われている。しかし野村自身は、同じく柔道選手としてアトランタオリンピックで金メダルを獲った中村兼三選手の方が先に噛んでいたと語っており、誰が最初かであるかはっきりとしていない。


メダルを噛む理由とは


このメダルを噛むポーズは何故とるのだろうか。本物の金は純度が高いほど柔らかく、合金は硬いことから、純金かどうか確かめるために噛んだとする説がある。実際、時代劇には金が本物かどうか判定する方法として、しばしば使われている。また、「勝利の味を噛みしめる」意味だとする説がある。
最初に噛んだジョン・ダンカン・アームストロング選手に、10年後の1998年、ロイター通信とAP通信が何故噛んだか取材したところ「よくわからない」と答えたという。

但し、その後は本人が自ら噛むのではなく、カメラマンがリクエストするのが定番になった。メダルを噛むことで笑顔のような嬉しそうな表情が撮れる、顔とメダルの両方のアップが撮れると、写真が売れるということだろう。


メダルを噛むのを拒否した選手も


印象的なのは、2000年、シドニーオリンピックの女子マラソンの高橋尚子選手。笑顔で金メダルを噛む姿が可愛くて、たちまち人気者になった。
重圧からも開放され、勝利を勝ち取った選手は、最高に嬉しい瞬間、リクエストをむげに断ることもできず、応じているのが現実だろう。

しかし過去には噛むのを拒否した選手も。
2006年のトリノオリンピックで五輪フィギュア史上初の金メダルを獲った荒川静香選手は、「噛む理由がわからない」と拒否。代わりにメダルにキスをした。

また、2014年のソチオリンピックの男子複合ノルディックで銀メダルを獲得した渡部暁斗選手は、要求に応えず、「監督から『メダルを噛んではだめ』と言われたから」と噛むのを拒否。「メダルを噛んで写真を撮ることにのり気ではなかったので拒否できて良かった」とツイッターでもつぶやいた。

相変わらず、オリンピックのメダルは噛むのがお約束のようになっているが、メダルを噛むのはいいか悪いか、たびたび議題にあがる。メダルを噛むことに対して、良い感情を抱かない人がいることも事実であるようだ。
(佐藤ジェニー)

※イメージ画像はamazonより金メダルへの道