今月「国立国際医療研究センター」が「コロナ感染者の76%に、後遺症が見られた」という、新しいデータを発表しました。去年から指摘されている後遺症ですが、少しずつ、研究も進んでいます。
まずは改めて、後遺症の症状について、診療を行う渋谷のヒラハタクリニック・院長の、平畑光一さん。
★コロナ後遺症、多数の人に症状アリヒラハタクリニック・院長 平畑光一さん
「後遺症で多い症状は、「倦怠感」。その他、気持ちの落ち込み、息が切れる、胸が痛い、体のあちこちが痛いなど色々あるが、髪の毛が抜けてしまう方もたくさんいる。倦怠感についてはかなりひどい倦怠感の方が多く、例えば10日にいっぺんしかお風呂に入れないとか、お風呂に入ると寝込んでしまう、歯を磨くのもつらい、髪の毛を乾かすことができない、ドライヤー持ってられないから、という方がたくさんいる。短い方で2~3ヶ月。長い方だと1年以上かかっている人も。中には、数年、もしかしたら一生かかるかもしれない方もいる。」
▼ヒラハタクリニック(渋谷)では「後遺症外来」を開設しています。こちらはホームページに掲載されている、よくある症例。
症状は本当にさまざまで、倦怠感、気分の落ち込み、思考力の低下、頭痛、脱毛、嗅覚・味覚障害。多い人だと10個以上の症状が、複合的に見られることも。
そもそも平畑さんが「コロナ後遺症」の存在を疑い始めたのは、昨年3月頃。
中には、後遺症の影響で仕事に行けず、解雇された人。そうでなくても休職状態の人は、200人近く。更に、時短勤務などでギリギリ働いているも大勢いるようで、平畑さんによると、「働く人の6割以上が、仕事に影響が出ている。コロナは仕事に影響が出る病気と捉えて差し支えない」、としています。また、「女性は男性よりも、後遺症が表れるリスクが1.4倍高い」とも指摘していました。
★「倦怠感」、リハビリは逆効果。ただし確立された治療法はないでは、後遺症を改善するために、どのような治療を行っているのか。平畑さんに聞きました。
ヒラハタクリニック・院長 平畑光一さん
「倦怠感は非常に難しい。生活の状態を整えたり、食べ物に気をつけたり、漢方薬使ったり、色々してちょっとずつ治す。
現状は、後遺症の治療法や特効薬はなく、出てきた症状を抑える「対処療法」が中心となっています。ヒラハタクリニックでは漢方なども使うそうですが、例えば「脱毛」の場合、亜鉛のサプリを処方する。血液の状態を調べると、「亜鉛不足」の患者が多いことが分かってきたので、亜鉛を多めに摂ってもらうようで、そうすると、抜け毛の症状は、ゆっくり改善していくということです。
また、厄介なのが「無症状」の感染者。特に若い世代の中で、無症状だったけど、後遺症だけが出てきてしまうケースについては、「何だかわからないけど調子が悪い」と、後遺症だと気づくのが難しい場合もあります。
後遺症については昨年の夏にも、このコーナーで取り上げました。
感染拡大が収まらない以上、今後も後遺症を訴える人は増えそうですが、平畑さんの把握する限りで、いま国内に、後遺症を診察している病院は10件に満たないそうです。そして、そのことも、患者を不安にさせています。
ヒラハタクリニック・院長 平畑光一さん
「なかなか厳しい話だが、実はコロナの後「症状が続いています」と病院にかかろうとすると、「うちではコロナは診ていません」と断られることがある。医学的には、10日も経てば人にうつすことはないと分かっているが、勇気がないのか知識がないのか、診てもらえないことがよくあるよう。症状が辛いからと地元の病院に行くと断られてしまったり、診てもらえても「気持ちの持ちよう」と言われて帰されてしまったり、まだまだ理解が進んでいない、患者さんが辛い思いをしている現状。」
いまだに、「気持ちの問題」と片付ける医者もいるということで、医師も手探りの状態。ただ、「76%に後遺症」という数字をどう受け止めるか。個人の感染対策、改めて重要だと感じました。
◆2月18日放送分より 番組名:「森本毅郎 スタンバイ!」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210218063000