全国各地の味覚を気軽に食べることのできる昨今、日本の食べ物から国境線は消えた……と思っていた。
ところが関西では関東名物でもある“ちくわぶ”の存在がまだまだ希薄だ。
以前よりはスーパーなど店頭で見かけるようになったものの、まだどこか、肩身の狭そうな様子で隅っこに置かれていることが多い。
食べたことのない人にとって、ちくわぶは未知の存在だ。チクワ? はんぺん? と、味さえイメージできないと言う声も聞く。
しかしちくわぶは小麦粉が主成分。粉物文化の関西にはすんなり浸透しそうなものだが、関西風の薄味にちくわぶが馴染まないのだろうか。それとも、食感が馴染まないのか。
そこで、練り物やちくわぶなどを手がける紀文食品さんに、ちくわぶの美味しい食べ方を伺ってみた。
まず、ちくわぶの定番メニューと言えばおでん。
そしておでんだけでなく、味が染み込みやすい煮物もちくわぶには合うそう。5分、10分煮込むのではなく30分ほどしっかり煮込むのが美味しく食べるポイント。
今の季節ならお節の煮しめや、ちょっと変わったところではぜんざいのお餅代わりに使うやり方も。ぜひお正月などに試してみたい味のひとつだ。
紀文さんによる2008年度の調査では、ちくわぶは“好きなおでん種”東京で第10位。“よく入れるおでん種”東京で第9位と、関東では定番中の定番食品であることがうかがえる。
しかし、東京以外の地域を見てみれば、ちくわぶはほとんどランク外。関西だけでなく全国的にちくわぶの影は薄い。
それでもここ10年ほどの間で、ちくわぶは広まりつつあると、紀文さんは言う。
その支えとなったのが、実はおでん。
90年代初頭のおでん、と言えばスタンダードなおでん中心だった。しかし97年くらいから野菜を使った”野菜おでん”が登場。
最近では“名古屋風おでん”“室蘭おでん”など、地方性のあるおでんが全国に知られるようになり、おでんは一種類じゃないんだ。と、気づく人々が続出した。…
