相合い傘を恥ずかしいと思わなくなった瞬間から、自分は大人になった、と思う。

そんな相合い傘について人に聞いてみたところ、「恥ずかしくない」と平気に思えるようになるのは年齢と比例するようだ。


恥ずかしさを感じなくなるその理由を聞いてみれば「仕事ですることもあるから」「慣れた」と言う声から、「相合い傘しても誰もはやさないから」などなど。
大人になるに従って、周囲も冷めた反応になる。そのおかげで恥ずかしさも軽減するらしい。

確かに相合傘にときめくのは若い頃だけだろうが、相合い傘は浄瑠璃などにも出てくるほど古式ゆかしいもの。
傘の下で肩や手が触れあったりぶつかったり。外界から隔てられ傘の下で二人の世界が生み出される相合い傘。すっかり慣れてしまった人にもまだ慣れない人にもおすすめの、相合い傘推奨の傘を発見した。

それが京都の傘屋さん、リーベンさんから販売されているその名も“ツインアンブレラ”。

一見すると普通の折りたたみ傘なのだが、開傘してみると直径は長辺が104センチ、短辺が93センチ。丸い傘が目立つ傘業界の中で、こちらはちょっと珍しい楕円形をしている。

この傘が販売が開始されたのは、2006年春。
2人並んで歩こう、と言うコンセプトの傘だが現在では相合傘だけでなく「介護にも使える」「子供と一緒に並んでも濡れない」とお客さんからの評判も上々だとか。

さらに使い方によっては大きな鞄&リュックサックと言った荷物を濡らさず移動できるなど、幅広いシチュエーションで利用できそうだ。
もちろん横長に使えば大人が2人並んでも充分に歩くことができるので、肩が触れると恥ずかしい。なんて恥ずかしがりやの人でも安心してどうぞ。

ところで、リーベンさんはさまざまなアイディア傘を販売されていることでも有名なお店。

お店の人気&おすすめ傘を伺ってみたところ、傘の表面にプラスチックカバーが付けられ、電車の中でも水が滴らない“エチケットジャンプ傘”や、急な突風にも対応する“風が抜ける傘”など。相合傘よりも、実用性の高い傘が人気のよう。

とはいえ、これからやってくるのはしとしと雨が続く梅雨の季節。うっとうしい時期を鬱々せずに乗りきるなら、実用性だけではつまらない。

急な雨の際に鞄からそっとツインアンブレラを取りだせば、きっとちょっと甘酸っぱい気持ちになれるはずだ。
(のなかなおみ)
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