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タモリも大活躍!『今夜は最高な日々』で読む80年代

2010年9月22日 11時00分 ライター情報:近藤正高

70年代にインタビュアーとしてテレビ番組に出演したさい、照れくさいので後ろ姿で撮ってもらったという著者。裏表紙のイラスト(和田誠・画)には、そんなあくまで裏方に徹する著者のパーソナリティがあらわされている。

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来月で放送開始から29年目に入る「笑っていいとも!」。この番組タイトルは、あるジャズミュージシャンの口癖に由来するという。

高平哲郎*著『今夜は最高な日々』によれば、それはこういうことらしい。
ジャズのツアーでその日の演奏を終えたジャズマンたちは、宿舎に向かうバスのなかで、ツアー・コンダクターかバンド・マネージャーから明日の予定を告げられる。明日の朝が早いと、彼らはたいてい「エー」といやな顔をした。だが、テナーサックス奏者の中村誠一だけは、スケジュールを伝えられた瞬間、明るく「いいとも!」と答えたという。
「いいとも」の開始当初からかかわっている著者が書くだけに、ここから番組のタイトルがついたというのは信憑性がある。

*高平哲郎氏の「高」は正しくは、いわゆるはしご高ですが、機種依存文字のため、本稿では「高」の字を使っています。

300ページを超えるボリュームの本書には、著者がこれまで――本書では1980年代を中心に語られる――出会った人びとについて、上記のようなエピソードが随所にちりばめられている。
著者は1970年代、創刊当初の雑誌「宝島」の編集にたずさわったのち、アイランズという事務所を設立、編集やラジオ・テレビの構成の仕事を中心に手がけるようになる。タモリとの出会いは70年代半ば、新宿のスナック「ジャックの豆の木」でのこと。その後80年代に入ると、「いいとも」や、本書の題名の元になった「今夜は最高!」といったタモリの番組を担当することになる。
もっともテレビ番組の構成の仕事は、「宝島」をやめてから生活を維持するため、仲間から誘われるがままにはじめただけで、いまだにこの肩書きにはなじめずにいるという。
そのせいなのかどうか、「今夜は最高!」で著者が台本を書いたコントは、オチがないとよく言われたそうだ。だが、オチが書かれていなくても、タモリは毎回アドリブでその場をまとめてみせた。
そのうちに、オチがあってもなくても、ディレクターはカメラを止めないで回し続けるようになる。これというのも、コントがひととおり終わってからタモリが何を言うか、どう切り回していくかを撮るためだった。タモリのおかしさを引き出そうという工夫である。
じつはこの演出方法には元ネタがある。それは、映画「社長」シリーズにおける、森繁久彌と三木のり平のシーンだ。このシーンでは監督はカットの声を出さず、2人にアドリブでやりとりをさせたという。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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