アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| ウルフルズ結成20周年ライブ in 武道館「希望、無謀」~ シングル全曲やります!(そうね、だいたいね)~ | 2008.04.12(SAT) at 日本武道館 |
振り返ること、20年前の1988年。大阪は中津の喫茶店“カンテ・グランデ”のバイト仲間が中心になって結成されたウルフルズ。それから4年後にシングル『やぶれかぶれ』でメジャー・デビューした彼らは、実際にやぶれかぶれの心境だったとは思わないが、今ほどブラック・ミュージックが一般に浸透していなかった状況下で、果たして4人は何を思い、世に出て行ったのか。それから悪戦苦闘すること3年。『大阪ストラット(パート2)』辺りからじわじわ支持を広げると、’95年から’96年にかけて、『ガッツだぜ!!』、『バンザイ~好きでよかった~』と続いたビッグ・ヒットによって、その地位を不動のものにした。そんな彼らの軌跡を思い起こしながら辿り着いたのは、東京千代田区にある北の丸公園の日本武道館。全39公演の全国ツアー「KEEP ON, MOVE ON」を終えた彼らが結成20周年を記念してシングル曲のみで構成されたライヴ『希望、無謀』を行うというのだ。
かくして、ライヴは彼らの名を知らしめた大ヒット曲「ガッツだぜ!!」で幕を開けた。“ULFULS”と書かれた電飾をバックに、メンバー4人、そして、彼らのライヴに参加して8年目となるキーボード奏者の伊東ミキオを加えた5人がステージに立つ、至ってシンプルなステージだ。会場を埋め尽くした1万人のオーディエンスの反応も実にソウルフルで、会場を包み込む空気は温かい。そこでは演奏する曲のほとんどがシングル曲ということもあり、通常のライヴと比べ、キーが高かったり、テンションが高かったりと、本人達は相当に大変だったようだが、ソウルにロック、ファンクにディスコ、ブルーズやポップスと、あらゆる音楽の旨味を抽出した楽曲は口当たり軽やかにして、味わいは濃厚。そんな極上のフルコースを前にして、盛り上がらない訳がない。途中、8曲をメドレーで繋ぎ、不本意な内容から封印されていた2曲「マカマカBUNBUN」と「世の中ワンダフル」もサラリとこなしながら、中盤から後半へ。バンドの屋台骨を支え、揺るぎないドラミングを聴かせるサンコンJr.と、その横で寄り添うようにグルーヴを紡いでゆくベースのジョン・B・チョッパー。そして、ロックなリフからファンキーなカッティングまで、幅広いレンジを弾き倒すギターのウルフルケイスケとバンドのマナーを熟知するキーボードの伊東ミキオに挟まれ、ステージ中央でソウルを爆発させるヴォーカルのトータス松本。彼らの演奏には20年のキャリアがぎゅっと凝縮されていて、その説得力は圧倒的と言うほかなかった。
アンコール1曲目では最新アルバム収録の「四人」をバックに、ウルフルズの歴史を振り返る寸劇を披露しながらも、彼らが差し出すのは剥き出しのソウル・ミュージック・オンリー。そこに余計なものは一切ないのが、ウルフルズというバンドの長きに渡る軌跡を物語っていた。そして、何より素晴らしかったのは「情熱 A Go-Go」を始めとする、ここ最近の楽曲がそれこそ「ガッツだぜ!!」といった大ヒット曲と比較しても、全く遜色ないクオリティであったということ。20周年は彼らにとって大きな節目ではあっても、最新アルバムのタイトル『KEEP ON,MOVE ON』が指し示しているように、「ここから先へと続いてゆく道を歩み続けていこう」という彼らの意志がそこには滲んでいた。2度のアンコールを含め、全28曲で3時間強のパフォーマンスは、なるほど“無謀(MOVE ON)”にして、“希望(KEEP ON)”に溢れた、そんな内容だったのではないだろうか。6月にはトータス松本、初のソロ作品『涙をとどけて』がリリースされるが、ウルフルズは止まらない。
(取材・文/小野田雄)