アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| Spitz JAMBOREE TOUR 2010 | 2010.06.29(TUE) at Zepp Tokyo |
スピッツには"貫禄"という言葉は似合わない。繊細さとイタズラ心をずっと持ち続けるこのバンドは、いつもフレッシュな気持ちでライヴに臨む。特にこの夜は久々のオールスタンディング・スタイルということもあってか、演奏もMCもリラックス&グルーヴィー。良い意味でのラフさ満載で、ロックバンドとしてのダイナミズムを充分に感じさせるライヴとなった。
ドラマー﨑山が"グルーヴマスター"となって演奏全体を引っ張る。それを受けてオープニング「僕の天使マリ」から客席とのコール&レスポンスが起こる。どうやらバンドだけでなく、オーディエンスも最初からスタンディングを楽しむつもりらしい。続いて人気曲「8823」が始まると、ツカミはオッケー(笑)。ライヴは突っ走り始めた。
「W杯の日本戦があるので、今日はガランとしてるかもと思ってたから嬉しいです。古い曲、新しい曲を取り交ぜながらやっていきます」と草野。早速、新曲の「ビギナー」だ。三輪が格調を感じさせるギター・ソロを決めれば、パフィーに提供した懐かしい「愛のしるし」のイントロで田村が超ワイルドなディストーション・ベースで暴れる。中でも、ツボを押さえた草野のギターが良い。それでも途中で草野が完全に歌詞をトバすシーンも。「あのー、歌詞じゃなくて、ギターのコードがトンでしまいました。許されることじゃないとは思いますが(笑)」。そんなしょーもない言い訳にも、会場から爆笑が沸く。
「都会の絵の具に染まっちゃたよ」と無理やりこじつけて、太田裕美のカバー曲「木綿のハンカチーフ」を歌った後、さらに郷ひろみの「よろしく哀愁」もワンフレーズ披露すると、会場は沸きに沸く。やっぱり今日のスピッツは、いつもと違うテンションだ。だから草野が「来月で結成23年になります。これで良いのかなと思うこともあります」と切り出すと、観客はシーン。しかし、「俺等、踊って歌わなくて良いのかな?」と草野が続けると大爆笑。ドッカンドッカンやりながら、一方で歌も演奏も文句なし。いつも以上にロックな「放浪カモメはどこまでも」、アグレッシヴな「メモリーズ・カスタム」は史上最高の出来といって良い爆発力があった。
「今日、皆さんからパワーをもらったので、これからもどんどんやれそうです」と感謝を述べて歌った「ヒバリのこころ」には、今のスピッツの全てが醸し出すハイレベルの歌心があった。
「俺等の隠された歴史が明らかになるのは、誰かが脱退して暴露本が出る時。でも、このままお墓まで持っていきそうだな」と田村。「暑くて、ボーっとしてます」と﨑山。「イヤーモニターしてても、今日は盛り上がってるのが分かる」と三輪。「40歳過ぎたらバラードばかり歌うのも良いかと思ってましたが、でもそうはいかない感じです。みんな、すごい! スピッツはこれからも変わらない感じでやってきます」と草野。そんなメンバーの気持ちを代弁するように、ラストの曲は「夢追い虫」だった。
スピッツの歴史は、ずっと右肩上がり。音楽を楽しむ彼らのスピリットは年々若くなっている。いよいよ充実期に入ったバンドの、素晴らしいパフォーマンスを堪能した一夜だった。
(取材・文/平山雄一)