これまでにJAXAの宇宙飛行士に応募して落選するも、特別に応援メッセージをもらったことがあるほか、テレビ番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)に「宇宙博士ちゃん」として出演を果たすなど、注目を浴びています。
そんな陽生くんの力を伸ばしたのは、父親である大森治幸さんの「全力リアクション」でした。
「子どもの発想に『いいね』と答えると、ポジティブな親子関係につながります。『何を言っても認めてもらえる』という安心感は子どもの情緒を安定させ、自分を信じる力を育てると思う」と治幸さん。
2026年5月には陽生くんと共著で、書籍『みるみる自走する! 子育てはリアクションが9割』(新潮社)を出版しました。
親から全力の「いいね!」を伝えることで、子どもが自主的に好きなことに打ち込んでいく。そんなリアクション育児で大切な7つのアクションを伺いました。
■行動1:子どもの話を否定せずに聞く
子どもの話に耳を傾ける家庭は多いでしょう。治幸さんは、親の都合や考えを優先したくなるときでも、まず子どもの声に耳を傾けるそうです。
例えば、計算好きの陽生くんに「興味があるなら、塾に行ってみる?」と提案した時、「そういうのじゃないんだよ」と否定されたことがありました。親なら「せっかくの機会だから」と勧めてしまいそうな場面でも、治幸さんは陽生くんの思いを優先し、本人が望まない限り通わせなかったといいます。
計算好きだけど、それはあくまで遊びの延長。
■行動2:親から積極的に質問する
親子関係は、子どもからの質問に答える「一方通行」に偏りがちですが、治幸さんは親から質問する「相互通行」を実践しているそう。計算好きの陽生くんに、「車のナンバーを素因数分解できる?」と提案して、遊んだこともあるのだとか。
「親から質問するのは、子どもが興味を持つ土俵に積極的に乗り込むようなもの。質問が難しい時は興味のある分野に出掛けるのでもいいと思います。僕は幼い頃に電車が好きで、母と弁当を持って踏切に出かけ、1日中見ていたことがあります。子どもからすると最高の一日ですよね。そうやって、なんでも一緒に楽しむことを心がけています」
■行動3:褒めるより「いいね」を心掛ける
「小学生くらいの子どもは、両親や教員からの評価を気にする」と小学校のスクールカウンセラーからアドバイスを受けた治幸さん。
「自分は子どもを評価する立場にあるのか」と疑問に感じ、褒める代わりに「いいね」することを思いつきました。「あなたの発想、私は好きだよ」と気持ちを伝えるのです。
「『いいね』するときも、お祝いに食事に行くときも、子どもとは対等な関係性を大切にしています。例えば息子が試験に合格した時にはすし屋に行くんですけど、ご褒美という言葉は使いません。
■行動4:失敗は笑い飛ばす
子どもはたくさんの失敗をするけれど、「その量は大人の方がはるかに多いはず」と治幸さん。だからこそ「失敗を責めるのではなく、次につながる声掛けをしたい」と言います。
「子どもが失敗したら、親の失敗談を語りながら、一緒に悩んで笑い飛ばして、おおらかな気持ちで接してあげたいですね」
■行動5:子どもの一番弟子になって、一緒に楽しむ
親子は時に、主従関係に陥りがちです。治幸さんは、子どもの「先生」ではなく、「一番弟子」になることを心掛けているそう。
「最近、ボーカロイドを子ども経由で知りました。全然知らなかったから、『どういうテーマを歌うの?』と尋ねたら、ていねいに教えてくれました」
■行動6:言葉遊びで家族団らんを盛り上げる
言葉遊びを取り入れると、家族団らんの潤滑油になるといいます。
世界史好きな陽生くんと一緒に「二国川柳」に取り組んだ時は、お題として出された2つの国の川柳を即興でつくる遊びに興じました。例えば、チリとアルゼンチンなら、「両国は 昔スペイン 植民地」という具合です。
「子どもとちゃんと接していれば、本当に親がしんどい時は分かってくれます。子どものやりたいことを全てかなえることが難しくでも、妥協点を互いに見いだすと、できないなりの関わり方が見つかると思います」
■行動7:子どもと一緒の時間はスマホを我慢
「僕を放って、スマホに夢中になっている」と子どもががっかりしないよう、子どもと一緒の時間はスマホを触らないようにしている治幸さん。
「でも、妻はスマホを見るんです。
■肯定的なリアクションは、大人にとっても省エネに
治幸さんがリアクションの理想像に掲げるのは、サンシャイン池崎さん。前向きなリアクションと、珍回答を連発して場を和ませるところに惹かれるそう。
「子どものやることに、いいねが言えない時もあります。やっていることが、つまらなく感じるときもある。でも、僕自身がしょうもない子ども時代を過ごしたから、それが理解できるんです。自分の中の檻(おり)を外して、子どもと一緒の目線でアホになり、演じる。そういう心構えを大切にしています」
そんな治幸さんは、陽生くんの苦手なことにも肯定的に返しています。
「うちの子は水泳と鉄棒が苦手ですが、できなくても困らないって一緒になって笑っています。僕自身幼い頃に苦手なことがあったし、大人になってもありますから。
子どものさまざまな行動に対して、毎回リアクションを考えるのは大変な作業。「肯定的なリアクションを習慣化すると、子どもにポジティブに働くだけでなく、大人にとっても省エネ。後から『言い過ぎたかな』という後悔も減るはず」と治幸さん。
天才少年とうわさされる子どもが育つ背景には、本人のやりたいことに全力で寄り添う大人の姿があるのかもしれません。大森治幸さんプロフィール
福井県在住。全国紙の新聞記者を経て、現在は福井県内で公務員として働く。自身も周囲から肯定されて育った経験から、「世間の常識や年齢にとらわれず、どんな興味も全肯定して面白がる」という教育観を持つ。一人息子に対して「勉強しなさい」と強制せず、日常の言動に全力で「リアクション」することで自走力を引き出す新しい子育てを実践中。
この記事の執筆者: 結井 ゆき江
フリーランスの編集者・ライター。中学受験雑誌の編集者として勤務した後に独立。小学校で発達障害グレーゾーンの児童をサポートした経験から、教育分野を中心にライターとして活動する。









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