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1991年9月14日。『老人Z』が劇場公開された。日本ではバブル経済が弾け、街では小田和正の『ラブ・ストーリーは突然に』が流れていた。当然まだスマートフォンも、SNSも、生成AIもなかった。そんな時代に、日本のアニメ史に一台の暴走介護ベッドが誕生した。
テーマはAI×高齢化社会ーーーいまや現実となったこのテーマを、35年前に誰よりも早く、そして誰よりも大胆に描いていたのが本作『老人Z』である。スピード感あふれるメカニックアクションと、油断も隙もないブラックユーモア&ギャグ、そして底知れぬ人間愛が融合した、正真正銘の伝説級SFアニメーションだ。
原作・脚本・メカニックデザインを手がけたのは、東京オリンピックを目前に控えた2019年のネオ東京を描いた『AKIRA』で、世界中のクリエイターに多大な影響を与えた大友克洋。本作では、また異なる形で近未来都市を描き、官僚機構、そしてテクノロジーが軋み合いながら暴走していく様を描き出している。キャラクター原案を手がけるのは江口寿史。軽やかな線のキャラクターが、大友が描く暴走する世界に、絶妙な "抜け感" を与えている。
作画監督に『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の飯田史雄、美術監督に『ふしぎの海のナディア』の佐々木洋。そして作画スタッフとして名を連ねるのは、のちに『パーフェクトブルー』『パプリカ』を生み出す今敏、『攻殻機動隊 S.A.C.』の生みの親となる神山健治、『攻殻機動隊 ARISE』の総監督を務める黄瀬和哉、『人狼 JIN-ROH』の監督を務める沖浦啓之、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の監督を務める鶴巻和哉、さらに井上俊之、森本晃司ーーー。大友克洋×江口寿史×北久保弘之という個性の掛け算に、この化け物じみたスタッフ陣の腕が乗った結果生まれたのが、今なおカルト的人気を誇る本作。その作品性は当時から高く評価され、第46回毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞した。
平成初期に登場した "未来予知" は、AIが日常になった2026年でもまったく色褪せていない。それどころか「セルアニメのアクション作画の最高到達点」とも言われる本作の創造性は、私たちの想像をはるかに超えてくる。1枚1枚人の手によって描かれたセルに宿る、アニメーターたちの魂と創造力。神々の集結が生んだ、いまもなお未来を感じさせる世界を堪能してほしい。
今回さらに、1991年に『老人Z』が制作当時に解禁された特報映像も、当時のまま公開。
(C)1991 TOKYO THEATRES COMPANY Inc./KADOKAWA CORPORATION/MOVIC CO.,LTD/TV Asahi Corporation/Aniplex Inc.
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