TVアニメ『葬送のフリーレン』のパネルイベントが、現地2026年7月4日に北米最大級の日本アニメとポップカルチャーのイベント「Anime Expo 2026」内で開催された。第2期が今年1月から3月にかけて放送され記憶も新しい中、メインクリエイターの登壇ということもあり会場はフリーレンファンで満席となった。
北川朋哉監督、監督協力の斎藤圭一郎、キャラクターデザインの小嶋慶祐、マッドハウスの福士裕一郎プロデューサーが登壇すると、大きな拍手と歓声に包まれた。

北川監督は今回がはじめての「Anime Expo登壇」ということで、「SNSで海外の方の反応をたくさん見ていたのですが、Aime Expoにきて皆さんの熱量を直に感じ、海外のファンの皆さまにフリーレンが愛されているということを実感しました」と、海外の反響もしっかりと届いていることについて感謝を述べる。すると、会場からは温かい拍手が起こった。

さっそく、第2期の制作秘話が始まると、まずはキャラクターデザインの小嶋がマイクを取った。自身が総作画監督を務め、激しいバトルアクションが繰り広げられた「神技のレヴォルテ編」の第36話について、「総作画監督として第34話~36話を担当しました。レヴォルテ編のメインキャラクターであるメトーデとゲナウ、レヴォルテの絵は物量が多いのですが、スケジュール内でより良いものができるように頑張りました」と振り返る。モニターにレヴォルテとゲナウの戦闘シーンの作画修正が反映された原画が映し出されると、会場からは感嘆の声が上がった。
「レヴォルテは美しさと雄々しさの両立を意識しています。レヴォルテの獣を彷彿させる動きは動画スタッフさんの仕事によって表現されていたので、自分はそこに美しさと雄々しさを足すように作画修正を加えました」との工夫も語る。そしてそのまま小嶋はライブドローイングに入り、会場に集まったファンはどんな絵が完成するか、期待を膨らませた。その後も時折、スクリーンに絵が描かれる過程がライブで投影されると、キャラクターに命を吹き込まれていくその瞬間に対し、来場者からは感嘆の声が漏れた。

続いて北川監督が、自ら絵コンテを担当したオープニング(OP)映像について「フリーレンのこれまでの人生とこれからの旅路を軸として描いています。
フリーレンと、ヒンメルたちやフランメとの出会いと別れを、花をモチーフに使い、今の仲間であるフェルンとシュタルクとの旅路に繋げていくという狙いで作りました」という制作意図を披露する。
OPの絵コンテとカラースプリクトを映しながら「絵コンテが出来上がったあと、全体の色味や感性画面のイメージとなるカラースプリクトをコンセプトアートの吉岡誠子さんに作ってもらい、光を感じる色彩や筆のタッチを残した、本編とは少し違った質感を設計しました。サビからはカラフルな花がたくさん出てくるのですが、作監の高瀬丸さんが緻密な花を描きゴージャスな映像になっています。花吹雪がたくさんあり大変なOPでしたが、副監督の原科大樹さんが1,000枚以上の原画を描いてくれて完成しています」と、美しい第2期のOP映像の秘話を語った。

続いて福士プロデューサーへ、ファンの間で大きな話題となった、第31話の三日三晩泣きわめくフリーレンのシーンについて質問が寄せられた。福士は「ユーモラスな演出は土屋陽平さんが絵コンテで考えたものです。それをアニメーターの佐藤利幸さんがテンポよく描き、作画監督の原野瑠奈さんが表情を加えることでキャラクターの魅力がさらに増したと思います。スタッフたちもワクワクしながら見ていました」とコメントする。
さらにそういったシーンは他にもあると、同じく第31話で登場したタオルを頭に巻いたフリーレンの原画が登場する。「シナリオ段階ではアイスキャンディーを片手に持ちながら温泉から戻ってくるだけだったのですが、タオルを巻いてアイスキャンディーを食べる動きを先ほどのスタッフ陣により追加され、ここでもフリーレンの魅力が詰まった絵として描かれています」との旨が明かされた。また、斎藤が監督を務めた第1期でも、映像化にあたって内容を膨らませていたと語った。

第2期からは監督協力という立ち位置となった斎藤は、アニメで内容を膨らませた第38話「美しい光景」での聖雪結晶のシーンについてどのような背景があったのかという質問に「このエピソードを第2期の最終回にふさわしい内容にしなければいけないと感じ、どうやったら最終回にふさわしいものになるのかアニメオリジナルの膨らませが必要であり課題でした。
第2期での自分の仕事は監督協力であり、北川さんがどういうシリーズにしたいのかをバックアップする役割。第38話のディスカッションをする中で、北川さんと脚本の鈴木智尋さんが少し混乱している瞬間がありました。そのため、このシーンはエピソードの中でどのような機能を果たすのかを分析し、現在のシナリオではなにが表現されていないのか今後のシナリオではどう表現をしていくべきかを二人に伝えました。一緒に考え、自分から投げかける形ではありましたが、そこから北川さんと鈴木さんが導き出した最終回だったと思います」と話す。
スクリーンに写し出された、実際に会議で使われたホワイトボードの写真と合わせて、たくさんのスタッフが日々悩み考えアニメ『葬送のフリーレン』が作られていることが実感できるエピソードとなった。

イベントも終盤となり、ここで小嶋がライブドローイングで描いていた絵が完成する。第2期で大活躍したゲナウとメトーデが、なんと30分に満たない時間の中で線画ではなくカラー絵で描かれ、それスクリーンの大画面に映し出されると大きな歓声が起こった。小嶋が総作画監督を務めた第38話のゲナウとメトーデの印象的な姿、2人のキャラクター性がしっかりと現れる絵に仕上がった。

そして話題が2027年10月より放送開始となる第3期「黄金郷編」に移ると、福士プロデューサーからメインスタッフの発表が行われた。監督の北川、副監督の原科大樹、監督協力の斎藤、シリーズ構成の鈴木智尋、キャラクターデザインの小嶋と高瀬丸、コンセプトアートの吉岡誠子、音楽のEvan Callという万全の布陣が続投する。
第3期は鋭意制作中とのことで、福士プロデューサーは「現在鋭意制作中で、第2期はよりいっそうパワーアップした第3期をお届けできるよう努力していきます!我々は毎回より良いものを作っていく心意気であり、実際に素晴らしいスタッフたちが集まってきているので手ごたえも感じています。これからもフリーレンの旅路は続きますので、皆さん期待して待っていてくださいね!」と意気込みを披露した。


そして、この「Anime Expo 2026」でのパネルイベントの開催を記念し、1,800人の来場者と第3期「黄金郷編」を楽しみにしている世界中のファンへのお土産として、メインキャラクターデザインの高瀬丸が描き下ろした第3期の中心となるキャラクターの魔族「黄金郷のマハト」のイラストが披露された。このイラストは本イベントの来場者へのプレゼントとなり、会場は第3期への期待と熱気、それを表すような大きな歓声と拍手に包まれた。

イベントの最後に、スタッフ陣からファンに向けてメッセージが送られた。小嶋「第2期のクオリティを超えるものを作っていきますのでよろしくお願いします!」と述べ、福士は「Anime Expoは最高ですしフリーレンのファンの皆様とまた会いたいので、来年は大きなお土産を持って来られるように頑張りたいと思います」と語る。
斎藤は「第3期の黄金郷編は原作でも人気があるエピソードで、壮大でドラマチックなエピソードですので、引き続き期待して待っていてください」と呼びかけ、北川は「第3期も皆さんの期待にこたえられるようにスタッフ一同頑張っていますので、もう少しお待ちください!」とコメントした。ファンからは盛大な拍手が贈られ、大盛況のうちに幕を閉じた。

TVアニメ『葬送のフリーレン』の第3期「黄金郷編」は、2027年10月より日本テレビ系で放送される。

《イベント概要》
◆日時:7月 4 日(土) 18:00~18:50 ※現地時間
◆場所:Anime Expo 2026 JW Marriot Platinum
◆イベント名:Frieren: Beyond Journey's End - Special Event Hosted by TOHO animation
◆登壇者<敬称略>:
北川朋哉(監督)、斎藤圭一郎(監督協力)、小嶋慶祐(キャラクターデザイン)、福士裕一郎(マッドハウスアニメプロデューサー)

【TVアニメ情報】
『葬送のフリーレン』第3期【黄金郷編】
2027年10月放送決定 日本テレビ系にて
第1期・第2期 各動画配信プラットフォームで配信中
原作:山田鐘人・アベツカサ(「葬送のフリーレン」(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
監督:北川朋哉 副監督:原科大樹 監督協力:斎藤圭一郎 シリーズ構成:鈴木智尋
キャラクターデザイン:高瀬丸 小嶋慶祐 コンセプトアート:吉岡誠子 音楽:Evan Call
アニメーション制作:マッドハウス
(C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
編集部おすすめ