2半荘を打って、1位が3rdステージへ、2位が2ndステージへ進める、Mトーナメントの1回戦。

H卓には、

日本プロ麻雀協会、御崎千結が登場した。


名字は「みさき」名前は「ちゆう」と読む。あだ名は「みさきち」。

所属する団体のリーグ戦、雀王戦では上から2番目のA2リーグに所属。女流リーグでは最上位のAリーグにいる。

ここまでの紹介だけでも相当の実力者であることが分かるが、加えて、

23期プロクイーン、女流プロ麻雀日本シリーズと、直近で2つのタイトルを獲得している。

今、勢いに乗っている打ち手だ。

タイトルをとった時期がMトーナメントの選考をするタイミングより少し遅かったこともあって、実は、御崎がMトーナメントに出場する予定はなかった。

しかし、辞退者が出たことで、その枠から出ることになったのであった。

「電話で出場の連絡を受け、ビックリして電車を乗り間違えた」

と話す御崎。

急遽出られるようになったことを自身への追い風に変えて、Mの舞台で暴れ回る――

かと思いきや、2本勝負の1戦目は4着。

2半荘目も、東1局に8000点を放銃し、後がない状態になってしまう。

ピンチだ。


東2局、御崎は親番で、

起死回生の6000オールをツモって、戦線に復帰する。

ただ、まだ安心できるような点数状況ではない。

御崎がトータル2位以上になるためには、少なくともこの半荘、1着でゴールテープを切らないといけない。

だからこそ、御崎はトップ目に立ってからも果敢に攻めていく。

東3局、

七対子のイーシャンテンとなっていた御崎は、

「ポン」

発をポンする積極策に出た。

動きが取れない七対子イーシャンテンよりも、発を鳴いてトイトイ含みのメンツ手リャンシャンにする方が、アガリまで近いという判断だ。

さらに、7索を引いたあとも、

出来メンツを壊して8索をポン。

発のみのイーシャンテンから、トイトイのイーシャンテンに切り替えた。

しかし、そこへ、

親番のたろうから、リーチが飛んでくる。

御崎は、

たろうに通っていない3筒を引いて、現物の中を打った。

「リーチ」

!!??

角からもリーチがかかった!!

まずい状況だ。

御崎はここで、

ツモ山に手を伸ばさず、長考の海に沈んでいった。


上家の角が切ったリーチ宣言牌の4筒は、御崎の鳴ける牌だ。

だが、チーして出ていく5筒は、リーチ者二人に通っていない。

御崎は、ここで、

「チー」

4筒を鳴いて、5筒を切り飛ばした!

下家のたろうにも、上家の角にも8筒は通っている。また、両者ともタイミングは違えど4筒を捨ててもいるので、5筒は比較的通しやすい牌だ。

4筒をチーしない場合でも、何か別の牌を引いてきたところで「まだマシな」5筒が打牌として選ばれる可能性は高い。

ならば、角の一発を消した上で、テンパイがとれる方がいい、という判断だ。  

とはいえ、トイトイ本線だった手を発のみにして、シャンポン待ちで二軒に無筋を切るのはなかなか勇気の要るアクションだ。

この5筒は無事通過。

さらに、

下家のたろうに通っていない4萬も、

そろっと切って、通し、

たろうが持ってきた9索で、

御崎がアガり切った!

あまりにも大きな1000点のアガリ!!

続く東4局は、

たろうがソウズ模様の仕掛けをしてきたことから、

ドラ3のイーシャンテンになっていた御崎は、左端にある9索を、

いったん手に留めて、4萬を打った。

ソウズが2枚余っている下家のたろうに、4索と9索を両方勝負するのは無謀だ、という考えだろう。

実は、

たろうは、手が悪かったことから、ブラフ気味に仕掛けて、他家のミスを誘っていたのだった。

ただ、この手から無茶は出来ないので、御崎と村上に通っていない6筒をおさえて、手から9筒を切った。


この「手出し9筒」を、御崎は見逃さなかった。

たろうのブラフを見破った御崎は、次の手番で、

さっきまで止めていた9索を事も無げに河へと放ち、マンズも受け入れられるイーシャンテンへと手を切り替えていく。

そして、

2索を持ってきて、タンヤオ三色ドラ3のハネマンテンパイを果たした!

待ちは3索のみと「狭い」。

しかし、左端にある2索と右端にある4索の間を「広く」とっておくと、なんとなく「広い待ち」になったようで、ツモれる気がしてくる。

もちろん、御崎はカチャカチャ牌を並びかえてテンパイ気配を出さないよう、ツモってきた牌をサウスポーだからそのまま左端に置いただけであるが、

御崎は、残り1枚の3索を、

「ツモ」

広い広い待ちかのように、アッサリと引きアガった!

ツモタンヤオ三色ドラ3、3000-6000のアガリだ!

これで、勝ち抜け濃厚となったわけだが、度肝を抜かれたのは、南2局、

下家のたろうからリーチが入っている状況で、タンピンドラ赤赤のテンパイが入った御崎は、

「リーチ」

大トップ目から追っかけリーチを放ったのだ!

どのみちダマテンにしても押し続けるのなら、18000以上を確定させることで、この卓の首位通過を狙った格好だ。

また、ここでアガれば脱落ラインからは大きく離れられる。そして、仮にたろうに一回放銃したところで、まだまだ御崎は有利な位置にいる。

リスクを怖がりすぎない、まさに「ポジティブ」な選択。

突然決まったMトーナメントの舞台でこの判断が出来ることからも、御崎には抜群の勝負度胸があることが分かる。

「ロン」

たろうから3筒をとらえて、18000は18300。

「連荘クイーン」恐るべし。

このアガリもあって、オーラスはトータルトップ目の村上をハネマンツモで逆転できる位置につけて、

南4局は、

条件を作り上げるメンホンリーチを放つも、

ここは試合巧者の村上が、御崎のキー牌を見せないようにしながら、手にしっかり収めて、

流局。


村上が1位通過。御崎が2位通過。たろうと角は残念ながら敗退となった。

試合後のインタビューで、東3局の「1000点愚形テンパイで二軒リーチに向かった」場面について、

「竹やりでリーチに戦う」

と面白く表現した御崎。

やはり、プレッシャーはなさそうだ。

それにしても、大胆かつ変幻自在な戦いぶりは見事だった。次の試合も楽しみにしたい。

御崎の次戦は、

7月6日(月)にB卓(19時スタート予定)だ。

この卓には、連盟の黒沢、最高位戦の日向、という、各団体の顔とも言える女流プロがいる。協会の御崎との対戦が今から楽しみだ。もちろん、百戦錬磨の「忍者」藤崎がスルスルと勝ち抜けていくパターンもあるだろう。

このように、様々な組み合わせの試合が楽しめるのも、Mトーナメントのいいところである。


(C)Mリーグ (C)AbemaTV,Inc.

ゆうせー ゆうせー 麻雀戦術研究家。福井県出身。京大法学部卒。Mリーグの観戦記者歴8年。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている。元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。 好きなアーティストは吉澤嘉代子。 この著者の記事一覧はこちら
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