「もうやるつもりはなかった」10年ぶりのアイドル復帰

「達成感はあったものの、やっぱり本当に好きなんでしょうね。好きという思いが強かったから、心が動いたのかなと思います」

そう語るのは、NMB48卒業からおよそ10年を経て、アイドルとして再び活動を開始した藤江れいなだ。石田晴香プロデュースの新グループ・unFinale Tokyoで5月23日に再デビューした彼女は、9月5日にはソロデビュー曲「途中」を初披露した。
AKB48やNMB48での活動に「達成感があった」と振り返るが、彼女の心境には、どんな変化があったのか。藤江れいなの過去、現在、未来について、率直に語ってもらった。

○“旦那”石田晴香から突然のオファー「気づいたら心が動いていた」

――AKB48、NMB48を卒業してから時間が経った中で、もう一度アイドルとしてステージに立とうと思った一番大きな理由は何だったのでしょうか。

アイドルとしては、2007年から2017年まで丸10年活動してきて達成感があったので、もうやるつもりはなかったんです。2026年は辞めてから10年目のタイミングで、AKB時代に親友で、ファンの方にも「旦那と嫁」と言われるくらい仲が良かった石田晴香というメンバーがいるんですけど、その子が「アイドルをプロデュースします」とSNSに投稿したので、冗談で「よーし、私の出番か!」とリプを送ったら、その日にオファーが来て(笑)。「本当に入らない?」と言われて、最初は一度断っていたんです。

さすがに年齢を考えて、もう30代だし、今からアイドルをやるという選択肢は自分の中にはないかもしれないと話していたんですけど、「私もアイドルをやるよ」と言ってくれて。いろいろ話しているうちに私も楽しくなって、「やってみようかな」と、気づいたら心が動いていたんです。当時の楽しかった思い出を振り返ったときに、またあのステージに立って、自分の名前を呼ばれる瞬間を味わえる。またうれしい時間をみんなと作れるかもしれないなという思いから、再び始めることにしました。

――石田さんからの言葉で気持ちが高まっていったとのことですが、心のどこかにアイドルへの未練や「またいつか」という気持ちはあったのでしょうか。

もともとアイドルが好きだったのと、歌が好きだったということもあって、卒業した後もいろいろなライブを見に行っていました。
それこそ、もともといたAKB48やNMB48のライブも見に行って、気づくと自然に踊っていたりして(笑)。達成感はあったものの、やっぱり本当に好きなんでしょうね。好きという思いが強かったから、心が動いたのかなと思います。

――ファンの方からも大きな反響がありましたよね。とはいえ、一度アイドルを卒業した経験があるからこそ、再び始めることへの不安はありませんでしたか。

その点で心配だったのは、体力面くらいでした(笑)。アイドルを辞めてから運動を一切していなかったので、本当にそこだけ心配で。いざレッスンが始まったら、毎日筋肉痛になって、しゃがむ振りなどが本当にきつくて、体がパキパキいうんですよ(笑)。でも、やっぱり慣れですね。3カ月が経って、ようやく体力も戻ってきて、25~30分くらいのライブもスムーズにこなせるようになってきました。

○年下メンバーから教えてもらっている面のほうが大きい

――10年の経験があるからこそ、年下のメンバーの方に還元できるものもありますか?

でも、10年空いた分、アイドルの文化も相当変わっていると思うんです。今は教えられるというより、教えてもらっている面のほうが大きいですね。


――どんな面に変化を感じますか?

もともとAKB48はいわゆる地上で、今のunFinale Tokyoはいわゆる地下と呼ばれる部分だと思うんです。そこでも相当違いがあって、地下アイドルの文化は独特なものが多いので、入った瞬間は「あれ? 思っていたアイドルとは違ったぞ」というのが第一印象でした。

――地下アイドルの文化を「喰らった」と感じたエピソードはありますか?

別に悪い面ではないですけど(笑)、例えばライブが終わったら毎回特典会をするとか。

――より近いということですね。

本当に身近に感じられます。週に4~5回ファンの方と会う機会というのは、今まで本当になかったので。距離感だったり、コールの文化だったり、そこも相当な差がありますね。

●“重大発表”予告に「結婚だろうな」
――9月5日(大阪・なんばHatchで開催の「ナナフェス2026」)で、ソロデビュー曲をリリース・初披露されました。ソロデビューについては「自分でもびっくりなほど、人生何が起きるか分からない年を過ごしています」とX(Twitter)でコメントされていましたが、どんな心境の変化がありましたか。

アイドルを辞めて10年が経って、もう一度アイドルとして再スタートしたときに、自分が歌ってステージに立っている姿がやっぱり好きだったんです。AKB48のときは人数も多かったので、歌割りも限られている部分があったんですけど、今は7人体制になって、自分の歌をちゃんと聴いてもらえるようになって。めちゃくちゃ上手いわけじゃないですけど(笑)、「一応歌える人ではあったんだね」と言ってもらえることが、すごく勇気になりました。
なおさら歌うことが楽しくなって、1人でも歌ってみたいという気持ちが芽生えたんです。そんな新しい自分の心境の変化に、本当に自分でもびっくりしています。

イベントでソロデビューすることを発表したんですけど、みんなが想像していなかった発表だったんですよ。「重大発表をします」と告知していて、ファンの方たち的には「結婚だろうな」みたいな(笑)。コメントでも「結婚おめでとう」みたいに、みんな書いてくれていたんですけど、「良い意味で期待を裏切ってくれた」と言ってくれたので、ファンの皆さんも楽しみにしてくれていると思います。

今回の歌詞の中にも「不器用」など、自分自身を描いている歌詞が多いんですけど、ファンの皆さんも私の不器用な面は相当知っているので、楽しみにしてくれている一方で、心配してくれている部分も大きいと思いますね(笑)

AKB48時代の経験も歌詞に「今の自分があるのは過去の自分があるから」


――ソロデビュー曲では、初めて作詞を手がけられました。詞を拝見しましたが、非常に素直に自分の気持ちを描かれているなと感じました。作詞するにあたって、工夫した点や苦労した点を教えてください。

ソロデビューするからには、自分自身の思いや今の心境をみんなに知ってもらいたいという気持ちが大きかったので、やるのであれば自分で書きたいという思いが強くて、今回初めて挑戦させてもらいました。まず、作詞も自分でやりましたと発表したときに、ファンの方は私のSNSもよく見てくれているんですけど、すごく誤字脱字が多くいので、「歌詞は大丈夫か」とすごく言われました(笑)。ただ、その点に関してはしっかり大人の方にも見ていただいたので、大丈夫だと思います!

何歳になっても、周りに何と言われても、自分がやってみたいと思ったとき、その日からやってみてもいいんだよという、背中を押すような曲になったらいいなと思って、今回はそこを意識しながら書きました。

――歌詞を通じて自分をさらけ出すことに抵抗はなかったですか?

やっぱり恥ずかしさはありましたね(笑)。「この歌詞が本当に正しいのかな?」とか、「実際に聴いてもらったときに、どう受け取られるんだろう?」という思いはありました。
でも今回、作曲のイイジマケンさんがすごく爽やかな曲にしていただいているので、聴いたときにすごくしっくりきて、自分が思い描いていたものが出来上がったなという気持ちになりました。

――藤江さんにとって、アイドルというお仕事はどんな存在ですか?

難しいですね(笑)。私がもともとアイドルを好きになったきっかけがモーニング娘。さんで、キラキラしていてかわいくて、いつも元気をもっていました。そういう世界にいざ自分が入ってみたら、もちろん楽しいことだけじゃなくて、大変な仕事も多かったんです。AKB48は無茶ぶりが結構多いグループだったんですよ。「そんなことするの?」みたいな。イベントで言えば総選挙だったり、チームが一気に変わる「組閣」というイベントがあったり。

あと『ネ申テレビ』という番組では、ハイパーレスキューに入隊したり、ADさんの部屋の引っ越しをしたり(笑)、本当に幅広いことをしてきたんですけど、その経験があったからこそ、今の自分に生きていることもたくさんあります。今の自分があるのは過去の自分があるからだなということも、今回の歌詞には入れたつもりです。

アイドル復帰でノンアル「相当飲んでいます」

――unFinale Tokyoは「サントリーノンアルアンバサダーアイドル」として、CMやSNSでノンアルコール製品の魅力を発信されていますが、そもそも以前からノンアル製品を飲む機会が多かったのでしょうか?

もともとお酒が大好きなんです(笑)。今ももちろん大好きなんですけど、アイドルの活動を始めてからは歌もあるので、気にするときはノンアルを選ぶようになりました。
レッスン期間などでも重宝しています。

あとはYouTubeで「ノンアルとワンコのいる生活」というチャンネルを開設したんですけど、ワンちゃんを飼っていると、アルコールを飲むことを少し気にする場面もあるので、いろいろな面でノンアルが活躍してくれているなと思うことが多いです。今は相当ノンアルを飲んでいますね。

――ちなみに、お酒は強いのですか?

そうですね。父がもともと強いので、家系的なものなのかもしれません。相当強いと思います(笑)

――どんなシチュエーションで飲むことが多いですか?

女性の友人とカウンターで2人飲みをするなど、しっぽり飲むことが多いですね。

○アイドルとしての目標は「競馬場でライブ」

――ますます忙しくなって、今後のさまざまなシーンでのご活躍が楽しみです。お仕事やプライベートで、これから挑戦したいことがあれば教えてください。

私は競馬が好きなので、今アイドルとして一番やりたいのは、競馬場でライブをすることです。佐賀競馬には「UMATENA」というアイドルグループがいるんですよ。だから私も、競馬×アイドルという組み合わせをもっとみんなに知ってもらいたいなと思います。

――競馬が好きになったきっかけは何だったのでしょうか?

アイドルを辞めたのが2017年で、その年から6年くらいラジオNIKKEIさんで『私を競馬につれてって』というビギナー向けの番組をスタートさせてもらったのがきっかけです。
毎週、競馬実況アナウンサーの方が1人付いてくれて、その方に教えてもらうという番組で、そこからどんどんハマっていきました。今はアイドルの活動で土日のライブが多くなったんですけど、始める前までは毎週競馬場にいました(笑)

――競馬を見ながらノンアルを飲むのも、きっと楽しいですよね。では最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。

10年空いてアイドルの活動を再開して、今すごく言われるのが、「10何年ぶりです」という言葉なんです。例えば特典会で「AKB48のときに応援していました」と言ってくださったり、「小学生のときに見ていました」と言ってくれる子がいたりして。本当に時間が過ぎるのは早いなと思うことが多いんですけど(笑)、改めてアイドルを始めたことで、また歌が好きな人たちが近くに戻ってきてくれたことも、すごくうれしくて。

ソロ活動についても、みんな「応援するよ」と言ってくださっているので、ソロとしては、まだ自分自身がどうなっていくのか未知な部分も大きいんですけど、私の歌が皆さんの心の支えになるような曲をお届けできたらと思っています。

岸豊 きしゆたか フリーのフォトグラファー。オフィシャルスチール業務、イベント取材、インタビューなど、各種の撮影に従事。 インタビュー写真などのポートフォリオはこちら↓ https://sabochiyasodayo.myportfolio.com/ この著者の記事一覧はこちら
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