本実証の結果、ローカル5Gによる高画質かつ低遅延で安定的な映像伝送が、スポーツ生中継に求められる映像品質を満たすことを確認しました。
1.背景・目的
スタジアムにおける映像制作では、複数のカメラを用いて多様な視点から試合を撮影し、それらの映像を高画質かつ低遅延で安定的に伝送することが求められています。しかしながら、従来の映像伝送手段では、有線接続によるカメラ設置場所や可動範囲の制約に加え、公衆網と共用する周波数帯を用いた無線伝送において、利用状況や電波環境などの外的要因により通信品質が変動するため、安定した映像伝送品質の確保が課題となっていました。
こうした課題に対し、ローカル5Gは、多数の来場者による通信混雑の影響を受けにくく、用途に応じた柔軟なネットワーク設計・運用が可能であることから、スタジアムにおける映像伝送基盤としての活用が期待されています。
本実証では、既設のカメラ等をローカル5G環境へ統合することで、映像伝送の安定性向上および映像制作環境の効率化・高度化を検証しました。これにより、カメラ配置の自由度向上や運用負荷の低減を図るとともに、複数カメラ映像の安定的な伝送の実現性を確認しました。
さらに、こうした映像制作基盤の高度化により、従来の固定カメラや俯瞰映像に加え、競技者や審判に近い視点の映像活用が可能となります。本実証では、ローカル5Gを活用したレフェリーカメラを含む複数カメラ映像を生中継に活用し、新たな視聴体験の提供可能性を検証しました。
本取り組みを通じて、ファン・サポーターの観戦・視聴体験価値のさらなる向上をめざします。
2.実施概要
今回の取り組みでは、MUFGスタジアム(国立競技場)に構築したローカル5G環境※3を活用し、複数のカメラで撮影した映像をリアルタイムに伝送し、スポーツ生中継に活用しました。 これにより、ローカル5Gによる高画質・低遅延かつ安定した映像伝送の実用性を検証するとともに、レフェリーカメラを含む多様な映像活用の可能性を確認しました。
開催日時:2026年6月
開催場所:MUFGスタジアム(国立競技場) (東京都新宿区)
対象:Jリーグの試合生中継
撮影機材:レフェリーカメラ、ステディカメラ、ジンバルカメラ
実証内容:
・スタジアム内にローカル5G環境を構築
・複数のカメラ機材にローカル5G端末を取り付け、フィールド映像を撮影
・カメラ映像をローカル5Gにより中継制作会社へ提供
・動画配信プラットフォームにおける生中継映像として使用
以上を通じ、スポーツ生中継におけるローカル5G活用の有効性と実用性を検証しました。
※1 ステディカメラとは、歩行や走行など動きながらでも、手ブレを抑えて滑らかな映像を撮影できるカメラ
※2 ジンバルカメラとは、モーター制御によりカメラの傾きや揺れを自動補正し、移動しながらでも滑らかで安定した映像を撮影できるカメラ
※3 株式会社FLARE SYSTEMSのローカル5Gシステムを利用
<実証イメージ>
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ローカル5Gの基地局 レフェリーカメラの装着イメージ
3.本施策の特徴
・ローカル5G活用による映像制作環境の効率化
フィールド上を移動するカメラ映像は、臨場感の向上に寄与する一方、高画質かつ低遅延な映像の安定伝送を実現するための通信環境の確保が課題となっていました。本取り組みでは、ローカル5Gの活用により、複数カメラ映像を同時かつ安定的に伝送可能な通信基盤を構築しました。これにより、映像伝送の柔軟性向上と、映像制作の効率化に寄与しました。
・レフェリーカメラ映像を活用した視聴体験の向上
ローカル5Gを活用し、Jリーグの試合生中継においてレフェリーカメラ映像の活用を実現しました。これにより、選手に近い視点やピッチ上の臨場感ある映像を提供し、ファン・サポーターの視聴体験向上に寄与しました。
4.各社の役割
NTT:全体コーディネート、映像技術支援
NTT東日本:実証の企画・運営、ローカル5Gの技術選定
FLARE SYSTEMS:ローカル5Gの設計・構築・運用
5.今後の展開
今後は、スタジアムにおける高画質・低遅延な映像の安定伝送に向けた通信環境の確保という課題に対し、ローカル5Gの整備・活用を推進してまいります。今回の取り組みで得られた知見をもとに、複数カメラへの適用拡大や映像制作機器との連携強化を進め、伝送品質および運用面のさらなる高度化を図ります。これにより、スタジアムにおける映像制作の高度化・効率化を実現し、視聴者の映像体験価値のさらなる向上をめざします。
さらに、ローカル5Gと親和性の高いDXソリューションを組み合わせることで、スタジアムや大型施設における新たな価値創出を実現し、社会全体の体験価値向上に貢献してまいります。