小泉今日子は「KK60 ~コイズミ記念館~ KYOKO KOIZUMI TOUR 2026」(以下「KK60」)で1月から5月まで全国を駆け巡り、ツアー終了後は年内の休養に入った。だが、仕事やファンと完全に距離を置いているわけではないようだ。


【関連写真】『続・続・最後から二番目の恋』小泉今日子&中井貴一のリンクコーデ

◆平和への思い

今春、「KK60」の武道館公演(憲法記念日に開催)をめぐり、「キョンキョンが憲法9条を朗読した」という噂が広まった。しかし、事実は異なる。ライブ開始前の客入れ時に、俳優・佐藤慶が朗読した日本国憲法の音源をミックスした曲を流したというのが真相だ。

約2時間のステージを、小泉はわずかな衣装替えを除き、トークを交えながら歌い続けた。コーラスやダンサーにステージを任せて休憩を取ることもなく、60歳の小泉は笑顔で最後まで立ち続けた。平成生まれの筆者は、その姿に深く感動すると同時に、大きな励ましをもらった。

本編の最後に披露したのは、爆風スランプが作った「東の島にブタがいたVol.3」。王様が「隣の国は生意気だ」と戦争を始める中、子豚の三兄弟が「戦争はしたくない」と訴え、島民とともに逃げ出す、という内容だ。

さらに小泉は、「今の憲法は、とってもステキな大切なものだと思っているので、もちろんアップデートする、しなくてはいけないというところも中にはあるのかもしれないけど、やっぱりこの戦争をしないって決めた覚悟のまま、日本は進んでほしいなと心から思っています」と、言葉を慎重に選びながら、思いを打ち明ける場面もあった。

その姿勢はステージにとどまらず、8月29日には、米国によるICC(国際刑事裁判所)・赤根智子所長への制裁の即時撤回を求めるオンライン署名を、「このオンライン署名に賛同をお願いします!」というコメントとともにXで共有した。表示回数は約36万、いいねは約1万2000(2026年9月4日時点)に達しており、小泉の発信が大きな反響を呼んでいることがわかる。

なぜ小泉は、これほど社会情勢に敏感なのか。
その一端は、エッセイ「黄色いマンション 黒い猫」(新潮社、2021年)からもうかがえる。神奈川県厚木市出身の小泉は同著で、自分が生まれたのは戦争が終わってわずか20年後だったと綴っている。商店街に松葉杖をついて立つ傷痍軍人の姿や、米軍厚木基地を出入りする飛行機の音が日常の一部だったと回顧している。

そしてもう一つ、小泉の人物像を語るうえで欠かせないのが、他者への共感性の高さだ。

少女時代には、母の自由な生き方を娘として受け止めていた。裕福な芸能人が高級霜降り牛肉をクイズの景品として受け取る企画に疑問を呈したこともある。世間ではあまり知られていない舞台役者と積極的に関わり、その思いに寄り添ってきた。現在はクマと人間の共生を目指してどんぐりの木を植える「明日の森プロジェクト」にも取り組んでいる。華やかな芸能界に身を置きながらも、立場や知名度に関係なく、人や社会のあり方に目を向けてきたことがうかがえる。

そんな小泉には、政治家転身の噂が絶えないが、その可能性は低いだろう。2015年に個人事務所を設立して独立した小泉は、自分の心に従って行動できる環境を自ら整えてきた。政治家になれば、芸能事務所に所属していた頃以上に、ルールに縛られることになるからだ。
"一人の表現者だからこそできることをやりたい"という思いも強い。

◆「旅人」としてインプット中

半年間の休業が発表されたとき、筆者は"キョンキョンの存在を感じられないこと"への寂しさを覚えた。しかし小泉はSNSを頻繁に更新しており、出演するNHKドラマ「団地のふたり」も放送中だ。

9月19日からはツアーで着用したTシャツを展示する展覧会「ONCE ON - KK ON STAGE,Ed ON TEE -」が開催される。その準備では「スチームアイロン大得意!」とスタジオに駆けつけ、自らアイロンをかけていたという。

さらに、8月26日に発売されたピンク・レディーのデビュー50周年記念トリビュートアルバム「ピンク・レディー伝説 Now and Forever -50th Anniversary Tribute Album-」には「UFO」のカバーで参加。休養中も、過去の作品や休養前に取り組んでいた仕事が次々と届けられている。ファンにとっては、楽しみが尽きない。

8月28日放送のTBSラジオ「サステバ」には、自ら録音した音声を提供し、宮古島でシュノーケリングを楽しんだり、親友とハワイでのんびりしながら、「旅人」を楽しんでいると話していた。

作品のブランドや放送枠、人の肩書にとらわれず、自身の感性で出演作や関わる人を選んできた小泉。2027年はデビュー45周年を迎えるが、どのようなプランを思い描いているのか。今から楽しみだ。


【あわせて読む】『ソロ活女子のススメ』『団地のふたり』…"独身リア充"ドラマが少子化社会に与える影響について
編集部おすすめ