「空港」と聞くだけでなんだかワクワクする。これからどこかへ出かけるのだと思うだけで高揚してくるし、時々、飛び立つ予定もないのに空港に行って買い物や食事をして気分転換をする休日もある。
東京に住んで良かったと思う理由のひとつに、空港への良好アクセスもある。そんな空港の“入国ゲート”を舞台にしたドラマ『大空港~GATE24~』(テレビ朝日系)が毎話、ニヤリとしてしまうほど独特で面白い。

【写真】ドラマ『大空港~GATE24~』の場面カット【3点】

今回、本作がフォーカスを当てているのは空港内の税関と入管だ。この審査をパスできなければ、出入国はできない重要な機関であるのは、周知の通り。一度でも海外へ出かけた経験があれば、必ず通過している。パスポートを見せて、目的を聞かれて「sightseeing」と答えた記憶、懐古してみてほしい。

これまで空港が関わった映像作品はいくつも放送されているけれど、古くは『スチュワーデス物語』(TBS系・1983年)など、ほとんどは『GOOD LUCK!!』(TBS系・2003年)のように物語のメインは上空、つまり飛ぶこと。もしくは『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』(フジテレビ系・2012年)といった飛行機に指令をするセクションなど、やはり空港=飛ぶといった、関係性が強く押し出されている。確かにパイロットとCA、グランドスタッフと職業を並べられると憧憬を感じるし、興味がわいてしまうのは日本人の性だろうか。

この“空港=ドラマ”のリズムを覆したのが『大空港~GATE24~』だ。入国ゲートにそこまでのドラマがあるのか? いや、あったのだ。

まずは本作のあらすじから。


主人公の森万智(趣里)は、メインゲートから遠く離れたGATE 24に勤務する新人税関職員で、妙な観察眼や長けていて造詣も深い。この特技をフルに活かして、出入国違反を隠しながら税関を通過しようとする外国人や日本人に、鋭くツッコミを入れていく。ちなみに口癖は「あの~」。

では、今までどんな人物が審査の目を潜り抜けようと試みたのかというと……例えば人質を家族に見せかけて日本に入国しようと計画していた人身売買組織の首謀者。娘の仇討ちを計画していた老夫婦と娘の親友。誘拐事件に見せかけて、妻と息子の逃亡を阻止しようとしたドメスティック・バイオレンスの父親など、さまざまな犯罪に関わる人物がGATE24にやってくる。事件材料の選出だけではなく、放送時間の終盤で物語にどんでん返しを起こすパフォーマンスは、さすがテレ朝のなせる技。これまで『相棒』『科捜研の女』『ドクターX~外科医・大門未知子~』などガチガチの組織シリーズドラマを手掛けてきた歴史がやはり違う。

これらの人物に対して職員が向かい合っていくのだが、このキャスティングが本当に豪華。入国審査官の早見圭一郎役に、眞栄田郷敦。そして万智の同僚役には板垣李光人、齊藤京子、奥貫薫らが並び、上司には松雪泰子、柳葉敏郎が名前を連ねている。特にスーツに身を包んだ眞栄田が座っているだけなのに、かっこいいのはとても良い。
彼が演じている早見は法務省出身のキャリア官僚で、何事にも動じない、余分なことには介入しないクールな性分。そんな早見が仲間の影響で少しずつ仕事に対して熱量をたぎらせていくのも、見ていて微笑ましい。対するように板垣演じる松山篤志は高卒で職員になった叩き上げであり、仕事に情熱を燃やすタイプ。毎話、真逆のふたりが仕事について小競り合いをしているのも見ものだ。

補足すると、今回この原稿を書こうとして調べていたら、1992年に植木等主演『大空港’92~愛の旅立ち~』が放送されていたらしい。ドラマオタクの私でもさすがに記憶にないけれど、今回を機にまた続いていくといいなと思う。だって面白いから。

(文/コラムニスト・小林久乃)

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