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81歳(2026年9月時点)の吉永小百合は15歳で映画俳優となり、戦後の日本映画の黄金期を牽引してきた。
1962年公開の『キューポラのある街』(日活)では経済苦のなか必死に生きる石黒ジュンを、1984年公開の『天国の駅 HEAVEN STATION』(東映)では戦後初めて死刑を執行された女性死刑囚をモデルにした林葉かよになりきり、難役を力強くも、美しく演じてきた。
2008年公開の『母べえ』(松竹)における野上佳代を、今も覚えている人は多いと思う。舞台は日中戦争下。佳代の夫・滋(坂東三津五郎)は思想犯として投獄され、佳代と子どもたちは滋の帰りを待ちながら厳しい環境をたくましく生きる。
2019年公開の『最高の人生の見つけ方』(ワーナー・ブラザース映画)、2025年公開の『てっぺんの向こうにあなたがいる』(キノフィルムズ)など、70代半ば以降も主演が続いている。
『てっぺんの向こうにあなたがいる』では、登山家・田部井淳子をモデルにした多部純子を演じ、富士山をはじめとする山々に登る過酷な撮影に挑んだ。しかし、山が元々好きな吉永は、周囲の心配をよそに自然の中での撮影を楽しんでいたという。
そして、2027年秋公開の『母の待つ里』では、血縁を超えた"心の母"を演じる。大人たちの孤独な心の受け皿となる母と、母を求める息子や娘との交流がどう描かれるのか楽しみである。
◆後期高齢者がアクティブに活躍する今の日本
国の定めでは65歳以上が高齢者、75歳以上が後期高齢者だ。
そうした中、映画やドラマにおけるシニア俳優の役割も変わりつつある。かつて、シニア俳優といえば「家父長制度の長」や「家族に介護されるおばあちゃん」といった定型的な役が多かった。しかし近年は、俳優自身の個性やキャリア、パブリックイメージに寄り添った役が増えている。
92歳(2026年9月時点)の草笛光子は90代にして主演を務めている。2024年公開の『九十歳。何がめでたい』(松竹)で小説家・佐藤愛子を好演。90歳ならではの世の中を見る目と、娘・響子(真矢ミキ)とのリアルな掛け合いが共感を誘った。
2025年公開の『アンジーのBARで逢いましょう』(NAKACHIKA PICTURES)では、ヒロインのアンジーを演じている。天海祐希から「ヨーロッパの貴婦人」と称される草笛にぴったりの役柄だ。
先日、スペシャル版が放送された人気作『しあわせは食べて寝て待て』(NHKほか)では、82歳(2026年9月時点)の加賀まりこが美山鈴を演じた。鈴は麦巻さとこ(桜井ユキ)が住む部屋の大家で、漢方に精通したお節介な女性。チャーミングな魅力を放つ加賀だからこそ、鈴をいっそう輝かせた。
また加賀は、9月28日から始まる連続テレビ小説『ブラッサム』(NHK総合ほか)でヒロイン・葉野珠の1980年代を演じる。最近は、PR活動に励んでいる。
76歳(2026年9月時点)の舘ひろしの活躍も見逃せない。今夏公開された『免許返納!?』(東映)で俳優・南条弘を演じ、舘のトレードマークであるバイクシーンを交えながら、社会問題となっている高齢ドライバーの当事者を体現した。また、2018年公開の『終わった人』(東映)でも、定年退職後に暇を持て余し、妻から疎ましがられる田代壮介を好演。舘は同世代の悩みに寄り添う役を、ユーモラスに演じている。
青年期から親しまれてきた俳優が、シニア期においても主演俳優として輝く姿は、同世代の背中を優しく押してくれるだろう。
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