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今回のデビューシングルには「I’m Here」と「勝ちに行く、今」の2曲とそれぞれのインストゥルメンタルを収録。いずれも吉田が作詞に参加した作品だ。初回盤には「挑戦お守り」が付属し、10月29日には東京・サンシャインシティ池袋、11月3日には愛知・名古屋某所でリリースイベントが予定されている。
「吉田の場合、今回が初めて歌声を披露する機会ではない点が興味深いところです。これまでSNSなどでギターの弾き語りを披露しており、コロナ禍の外出自粛期間をきっかけに独学でギターを始め、阿部真央やあいみょんへの憧れから歌うようになったとされています。そのため、今回の音楽活動は突然始まったものではなく、これまで続けてきた取り組みが、メジャーデビューという形につながったと見ることができます。吉田自身が作詞に参加しているだけに、どのような言葉を歌に込めたのかという点も、聴く側にとって大きな楽しみとなりそうです」(音楽ライター)
そんな吉田の試みは、かつて日本で親しまれた「スポーツ選手による歌手デビュー」というエンタメ文化を令和の現代に改めて想起させるものとなった。スポーツ選手の歌手デビューにおいて、最も活況を呈したのが昭和のプロ野球界だ。王貞治が年間55本塁打を達成した翌年の1965年に「白いボール」でレコードデビューを果たしたほか、80年代には原辰徳が「どこまでも愛」でデビューし、甘いルックスと歌声で話題を集めた。さらに、落合博満は現役時代から10曲以上のシングルを発表。
「昭和のプロ野球界では、球界のスターがマイクを握ることが一流の証でもありました。小林繁さんの『亜紀子』が10万枚超えとなったように商業的な成功を収めた例もあります。当時はオフシーズンになると選手が集まる歌合戦番組が放送されるなど、野球選手と音楽の距離が非常に近い時代で、グラウンド上とは違う素顔を見せる趣向が当時のファンに広く受け入れられていました」(スポーツ紙記者)
マイクを握ったのは球界のスターだけではない。格闘技界からは、ボクシングの世界王者たちが次々にレコードを発売。具志堅用高やガッツ石松、竹原慎二、内藤大助らがリング上の鋭さとはギャップのある歌声を披露した。また、女子プロレス界ではビューティ・ペアやクラッシュギャルズが試合会場をライブ会場に変えるほどの人気を博す。さらに相撲界でも増位山の「そんな夕子にほれました」や琴風の「まわり道」が大ヒットを記録し、力士の豊かな声量と甘い歌声が定着した。
「アスリート歌謡は単なる企画にとどまらず、スターの人間味を伝えるカルチャーとして長年親しまれてきました。しかし、現在はCD市場の縮小や選手の自己プロデュース方針の変化もあり、スポーツ選手が歌手デビューする事例は減少しています。それだけに、老舗レーベルの徳間ジャパンからメジャーデビューを果たす吉田の本格的な音楽活動は、令和のエンタメ業界においても非常に珍しい試みとして注目されています」(ベテランの芸能記者)
ネット上でも「吉田沙保里さんの歌声が楽しみ」「作詞まで自分で手がけるのはすごい」「昭和のプロ野球選手みたいで懐かしい展開」といった声が上がっている。
かつて昭和や平成を沸かせたアスリート歌謡の歴史に、新たなページを刻む吉田沙保里。
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