日本でも、高齢者を狙う特殊詐欺や、暮らしの不安につけ込む消費者被害が続く。行政や警察の啓発だけで、すべての家庭へ継続的に情報を届けるのは難しい。そこで重要になるのが、住民や顧客との接点を持つ地域企業の存在だ。資金や発信の面から対策へ加わることで、企業の社会貢献は単発の寄付を越え、課題を知り、人と人をつなぐ活動へ広がっていく。
住宅リフォームを本業とする株式会社やまもとくんも、埼玉県地方創生事業「特殊詐欺総合対策の推進」を対象に、企業版ふるさと納税による寄付を行った。これを受け、令和8年7月21日(火)午前11時から11時15分まで、埼玉県知事室で「企業版ふるさと納税寄附者に対する感謝状」が贈呈された。出発点となったのは、山本雅俊代表が寄付先を選ぶため、支援を求める人たちのメッセージを何万件も読み込んだ経験である。病気、学費、家庭環境、事業の再出発。短い文章の向こうに、それまで経営者として触れることのなかった生活の現実があった。
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感謝状の事実以上に、この寄付を物語としているのは、山本氏自身の見方が変わった過程である。企業の寄付は、金額だけを切り取れば広告活動と受け取られることもある。
何万件もの声を読み、実際に支援へ踏み出す中で、山本氏は「最初に動く人」の意味も知った。一人が支援を表明すれば、その姿を見た人や企業が協力し、当初の想定を超える輪が生まれることもある。「旗を上げる人がいなければ、賛同したくても動けない人がいる」。この気づきが、寄付を一度きりで終わらせず、地域貢献へ広げる原動力になった。
この「最初に動く」という考えが、特殊詐欺対策への支援にもつながった。被害を防ぐには、警察や行政だけでなく、地域の企業が注意喚起や仕組みづくりを支える必要がある。住宅リフォーム業界にも、情報不足につけ込む悪質な契約が存在する。困ってから救うだけではなく、被害が起きる前に相談先と正しい情報を届けるという点で、地域貢献と本業は重なっている。
外へ向けた支援を会社の活動として続けるには、社内の納得も欠かせない。寄付を始めた当初は、「それだけの金額を使うのであれば、事業への投資や社員への還元を優先すべきではないか」という意見も上がった。
支援を「先に与える行動」と捉える背景には、山本氏のもともとの気質もある。プレゼントやサプライズで人を喜ばせることを好み、顧客へリフォーム工事を贈る企画を行ったこともあった。寄付活動を重ねるうち、その姿勢は目の前の一人を喜ばせるだけでなく、周囲の行動まで変え得るものへと意味を広げていった。
その姿勢を埼玉県の地方創生事業へつないだきっかけは、知人の経営者から他県の取り組みを聞いたことだった。よい事例を聞いて終わるのではなく、自らの地域へ持ち帰り、行政や関係者へ相談する。偶然の出会いを一度で終わらせず、仕組みとして広げようとする動きに、山本氏らしさが表れている。
地域への還元を継続する条件は、本業の健全さである。社員への報酬、顧客への施工品質、地域への支援のどれか一つを犠牲にすれば、活動は長続きしない。山本氏は、事業を伸ばすことと社会へ返すことを別々に考えず、会社への信用が次の支援を可能にする循環をつくろうとしている。
今回の感謝状は、その循環へ踏み出した事実を示すものであり、社会貢献の完成を意味するものではない。
取材を通じて、山本氏の社会貢献は寄付額そのものより、見えなかった課題を知り、次の行動へ移す姿勢に価値があると感じた。本業と地域支援の循環がどこまで周囲を巻き込み、継続的な仕組みへ育っていくのか。その歩みを見守りたい。
会社名 株式会社やまもとくん
本社所在地 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル
電話番号/FAX番号 0120-55-6406 / 03-5962-9758
業種 建築業・リフォーム業
登録許可 一般建設業許可 東京都知事 許可(般-7)第160131号
URL https://yamamoto-kun.co.jp/
【取材/執筆:Y.U】








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