2026年8月21日、インドネシアの首都ジャカルタ。外務省と国防省の本部に、中国の王毅外相と董軍国防相がそろって姿を見せた。
インドネシア側のスギオノ外相、シャフリ・シャムスディン国防相との「外交・防衛閣僚級協議」に臨むためだ。南シナ海をはじめアジア太平洋の緊張が急速に高まる中、アジアの巨大国家同士が軍事連携と資源確保で歩調を合わせたこの一報は、米国をはじめ欧米諸国に強烈な衝撃を与えた。

その他の写真:イメージ

インドネシアはASEAN最大級の経済規模を持ち、EVバッテリーや次世代エネルギー産業に不可欠なニッケル、スズ、銅、金、ボーキサイトなど膨大な鉱物資源を抱える「資源大国」である。国営通信社アンタラによれば、今回の協議では防衛分野の合同軍事演習の拡大、技術交流の強化に加え、AI、鉄道インフラ、グリーンエネルギー、衛星通信、漁業など幅広い領域で協力を劇的に深める方針が示された。会談後、シャフリ国防相は「中国軍との強固な提携は、インドネシアの防衛能力を飛躍させる時代の一歩だ」と語り、その意義を強調した。

しかし、この華々しい発表の裏側には、東南アジアの富と主導権を巡る激しい地政学的欲望が渦巻いている。中国はこれまでインドネシアの巨大ニッケル精錬事業に巨額投資を続け、同国の鉱物資源市場で圧倒的な影響力を築いてきた。だが、インドネシア政府が環境保護や自国産業育成を目的に輸出規制や採掘割当の厳格化、新たな税制を導入したことで、中国企業から不満が噴出。新華社通信によれば、王毅外相は会談冒頭で「複雑化する国際情勢の中、両国は核心的利益を支え合い、重要鉱物資源で質の高い協力を目指すべきだ」と強い調子で訴え、中国企業の権益保護と安定したニッケル供給体制の確立を求めた。

さらに世界の安全保障関係者を緊張させたのが、両国の軍事的「接近」だ。両軍は今月、台湾東岸沖という極めて繊細な海域で合同演習を強行し、台湾側の激しい反発を招いたばかり。CCTVによれば、董軍国防相はインドネシア国防省で盛大な儀仗隊の出迎えを受けた後、「両国軍には外部の脅威や介入を抑止する広大な協力余地がある」と述べ、東南アジアで米国の影響力を排除し、中国の軍事的存在感を高める意欲を隠さなかった。


一方で、インドネシアが中国に全面的に傾斜しているわけではない。プラボウォ政権は特定の大国に依存しない「自由で積極的な」非同盟外交を掲げる。南シナ海最南端のナトゥナ諸島周辺では、中国の「九段線」とインドネシアのEEZが重なり、中国漁船や公務船の侵入を巡る摩擦が長年続く。こうした事情から、インドネシア海軍は中国との演習だけでなく、日本、米国、オーストラリアなど民主主義諸国とも定期的に共同演習を行い、大国間対立に呑み込まれない絶妙な均衡を保とうとしている。

米中の覇権争いが激化する中、世界屈指の資源埋蔵量と東南アジアの要衝という戦略的価値を併せ持つインドネシアを巡る綱引きは、今後さらに熾烈になることは避けられない。巨大な思惑と資源を巡る欲望が複雑に交錯する東南アジアの最前線から、国際社会は今後も目を離せない状況が続く。
【編集:af】
編集部おすすめ