筆者はアクションRPG好きのいちユーザーとして本作に関心を寄せてきましたが、その期待に応えてくれた完成度の高さに加え、「これが欲しかった!」と思える要素にも出会うことができました。
システム面だけでは伝わりづらい、実際にプレイして触ったからこそ分かる要素の数々について、ひとりのゲームファンの視点からお届けします。同じような部分が気になっていた人の参考になれば幸いです。
■全武器を試したくなる絶妙なバランス
『冒険家エリオットの千年物語』には、剣・槍・ハンマー・鎖鎌・弓・ブーメラン・爆弾という全7種類の武器が用意されています。
武器の種類が多いアクションRPGでは、差別化を意識するあまり癖の強い武器が生まれ、「結局ほとんど使わなかった」というケースも珍しくありません。しかし本作では、自然とさまざまな武器を試したくなり、それぞれの長所を実感できる絶妙な調整になっていました。
最初に使う剣は振りが速く扱いやすい反面、リーチはやや短めです。そのため、次に入手する槍を手にした瞬間、「これは便利そうだ」と感じ、しばらく愛用しました。この槍もなかなか優秀な武器ですが、軸がズレると空振りしやすく、操作に正確さが求められる一面もあります。
操作ミスで敵から反撃を受けていた頃、次の新武器であるハンマーと出会いました。近接武器の中では攻撃力が頭ひとつ抜けており、雑魚敵相手なら明らかに撃破に必要な手数が減ります。特に単体の敵相手なら、パワフルで気持ちよく振り回せる武器でした。
ただしハンマーは振りが遅く、複数の敵を相手にすると小回りが利きにくい場面もあります。
また、遠距離武器のバランスも秀逸です。ブーメランは、チャージ攻撃が複数ヒットした時の気持ち良さが格別で、うまく決まるとクセになるほど。弓は矢を消費するため連発はためらいがちになるものの、射程が長く素早く撃てるため、強敵との戦いでは何度も助けられました。
そして、普段は近接武器の鎖鎌も、チャージ攻撃ならかなりの距離まで攻撃が届きます。発動までに溜めが必要ですが、かなりリーチが長く、しかも敵を引き寄せる効果付き。引き寄せた敵を別武器で追撃するなど、組み合わせて戦う上でも便利な武器でした。
ちなみに筆者は、剣から始まり色々な武器を試しましたが、鎖鎌を愛用し始めてから、振りが速く隙の少ない武器を相方にしたいと考え、最終的には剣に戻ってきました。剣と鎖鎌の使い分けは、個人的におすすめしたい組み合わせです。
とはいえ、ベストな組み合わせは人によって大きく変わるでしょう。武器は2種類まで同時に装備できるので、単体だけの使い勝手ではなく、組み合わせを模索するのも本作ならではの楽しさのひとつです。
なお、爆弾は少し特殊な武器なので別枠としましたが、爆発までタイムラグがあるため扱いは難しいものの、基礎攻撃力は全武器中トップクラス。上手く使いこなせれば、最強武器の候補になりそうなポテンシャルを秘めています。
個々人で好みは分かれるかと思いますが、一通り触った実感としては、いわゆる「死に武器」はなく、どの武器にも明確な強みや楽しさがありました。本作を遊ぶ予定の人は、あれこれ試しながらのプレイをおすすめします。
■「触れただけでダメージ」がない快適さ
あくまで個人的な意見ですが、多くのアクションゲームにある「敵に触れただけでダメージを受ける」というシステムに、少々不満を感じていました。
突進や体当たりなどは、明確な攻撃行動なので、接触でダメージを受けるのは理解できます。しかし、ただ立っているだけの敵に少し触れただけで、こちらが一方的にダメージを受けるのは、若干ながらストレスを感じます。
その点、『冒険家エリオットの千年物語』は、通常状態の雑魚敵に接触しても、基本的にダメージは発生しません。もちろん、突進などの攻撃行動中はダメージを受けますが、それは文字通り「攻撃」なので納得です。
「攻撃されたからダメージを受ける」という分かりやすいルールを敷いてくれる『冒険家エリオットの千年物語』のバトルを、ストレスなく楽しむことができました。細かな部分ですが、実際に遊ぶと想像以上に快適です。
ただし、接触ダメージがないのはノーマルまで。
■戦うか避けるかは、プレイヤーの選択次第
本作には、一般的なRPGにあるレベルアップの概念がありません。生命力の上限が増えるといった強化要素は存在しますが、「経験値を稼いでレベルアップし、ステータスが上がる」というシステムはなく、武器の入手や魔石の装備などで主人公は強くなっていきます。
レベルアップがないことに物足りなさを感じる人もいるでしょう。しかし、レベルアップがないことで、プレイヤーに新たな選択が与えられるのも事実です。経験値を稼がなくていいため、「必ずしも敵と戦わなくていい」という自由が得られます。
レベルアップがあるゲームの場合、徐々に強くなっていかないと、いずれ待ち受ける強敵に勝てない恐れがあります。行き詰っても、そこからレベルアップに励めば済む話ですが、道中にせよ行き詰った地点にせよ、レベルアップのために経験値を稼がなければなりません。
その点、『冒険家エリオットの千年物語』は、レベルアップがないため、経験値を稼ぐ必要もなし。ボスを含め、進行上必須となる戦闘は一部にありますが、それ以外は戦うも避けるもプレイヤー次第です。
敢えて乱暴な言い方になりますが、相手が簡単に勝てる雑魚であっても、敵を倒すのは少なからず手間のかかる行為です。
もちろん、敵と戦うメリットもあります。お金や、武器を強化する魔石の素材となる「欠片」が手に入るため、戦った方がのちのち有利になるのは間違いありません。
ただし、お金も「欠片」も、ゲームクリアに必須の要素ではありません。お金や魔石は宝箱からも入手できますし、ボスクラスの敵を倒すと欠片が手に入ります。入手量は限られますが、道中の敵とどれくらい戦うのかは、プレイヤーの自由です。
敵を倒してじっくり強化しながら進むのも自由。最低限の戦闘だけで進むのも自由。その選択権がプレイヤー側に委ねられている点は、とても好印象でした。
■旅の相棒がいる安心感
『冒険家エリオットの千年物語』では、タイトルにある通り「エリオット」が主人公となり、長い長い冒険に挑みます。
王女は城に残りながらも、イヤリングを通じてエリオットと会話し、さらには回復面でもサポートしてくれます。そしてフェイは、実際に冒険に同行し、魔法でエリオットのアクションを拡張するほか、自ら戦闘に参加して冒険を助けることもしばしば。
こうした機能面で役立つのはもちろんですが、それ以上に嬉しいのが、頻繁に発生する会話です。ふたりの語りかけは、その内容も微笑ましいものが多く、探索による疲れをしばしば忘れさせてくれます。
また、攻略のヒントをくれる場面もあるため、物語とゲームプレイの両面で存在感を発揮していました。探索要素が多いため、黙々と進みがちなところ、この華やかさは大きな魅力です。
ちなみに、静かに黙々と遊びたいという人は、冒険中に会話が発生する頻度を設定で変更できるので、そちらをお試しください。好みに合わせて調整できるのも好印象です。
■報酬も内容も魅力的な寄り道要素
『冒険家エリオットの千年物語』は、メインストーリーの進行と並行し、いくつものサブクエストが発生します。
ゲームによっては単純なお使いで終わるサブクエストもありますが、本作のサブクエストはキャラクターや世界観としっかり紐づいており、物語の補完や人物の掘り下げに繋がる内容が多くて見応えも十分です。
また、サブクエストをクリアして手に入る報酬も魅力的でした。
サブクエストの中には報酬がお金というものもありますが、全体の割合としては少なめ。アクセサリーをはじめ、替えの利かないアイテムをもらえることが多く、報酬の面からも見逃す手はありません。
展開する物語も見どころがあり、報酬も美味しいサブクエスト。メインの進行によって受けられなくなるものもあるため、こまめにメニュー画面をチェックし、見落としがないか確認しておくことをおすすめします。
今回は、『冒険家エリオットの千年物語』について、システムの紹介や解説だけでは伝わりにくい「手触りの良さ」を重点的に紹介しました。
武器バランスの絶妙さ、接触ダメージのない調整、レベル上げに縛られない自由度、孤独感のない冒険、そして見逃したくないサブクエストの数々と、いずれも本作の冒険をより魅力的なものにしてくれる要素ばかりでした。
『冒険家エリオットの千年物語』は、2DアクションRPGに欲しかった「これこれ!」が詰まっているゲームだと、個人的に強く感じた作品です。現在、体験版が配信中なので、良質な見下ろし型アクションRPGが好きな人は、まずは体験版を通してその魅力に触れてはいかがでしょうか。


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