スーパーファミコン全盛期、『ゴエモン』シリーズは豊富なアクションとダンジョンギミック、そしておかしな江戸時代風世界観で当時の子供たちに強烈な印象を与えました。
その中でも、『がんばれゴエモン3 獅子重禄兵衛のからくり卍固め』(以下『からくり卍固め』)は『ゼルダの伝説』シリーズのようなダンジョン謎解き要素を含んだ傑作として知られています。…っていうか、『からくり卍固め』は『ゼルダの伝説』のパロディという声も!?
◆アクションに「謎解き」が加わる
『からくり卍固め』に言及する前に、その前作である『がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス』、そしてそのまた前作の『がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻』に触れる必要があります。
この1と2は、ファミコンから大幅に性能が上がったスーパーファミコンのグラフィックをフル活用したアクションゲームとして知られています。上下左右と奥行きの表現も備わり、派手なSEも加わって爽快なバトルが画面の向こうで繰り広げられました。一方で、初見ではクリアが難しいほどの難易度もあり、子供たちは『ゴエモン』に触れることで自ずとコントロール操作の腕を磨くことができたほど。
『ゆき姫救出絵巻』と『奇天烈将軍マッギネス』には時間制限があり、特に『奇天烈将軍マッギネス』はそのあたりがかなりシビアでした。ボス戦で回避行動優先の戦い方をすると、いつの間にか時間切れになってしまうという事態も。
ところが、『からくり卍固め』はアクション性こそ踏襲しつつも、ダンジョン内での制限時間がなくなりました。代わりに待っているのが「謎解き」です。
カードキーや特定の武装がなければ通れない場所が登場し、しかもそれを獲得するまでいくつものフロアに分岐するダンジョンを歩き回らなければならない……という内容に仕上がっています。
その上、前作まで存在した中間地点マーキングアイテムの「これぞうくん」は、『からくり卍固め』ではダンジョンマップの取得に役割が変わっています。つまり、ゲームオーバーになったら再開は最後にセーブした場所=ダンジョン開始前から。この仕様で心がへし折れてしまった子供も少なくなかったはずです。
◆ちりばめられた「ゼルダっぽさ」
そして、『からくり卍固め』といえば1991年11月に発売のスーパーファミコンソフト『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のパロディと思われる場面がいくつも登場する点で知られています。
たとえば、このシーン。何となく『神々のトライフォース』に似てるような……。
そして、図書館で入手できるフィールドマップ。これはもう、『神々のトライフォース』そのまんまじゃないか!?
ニワトリが出てきたり、北に行けば山岳地帯があったり、障害物を破壊することでようやく行けるエリアがある点も『神々のトライフォース』を匂わせます。しかしその一方で、横スクロールアクションの中の謎解きは『神々のトライフォース』ではなく、どちらかといえば『メトロイド』を思わせます。
また、『からくり卍固め』でも前作同様のゴエモンインパクトに乗ったバトルシーンが。
◆シリーズ史上最もカッコいい黒幕
『からくり卍固め』の黒幕は、タイトルにもある通り獅子重禄兵衛というキャラです。
この獅子重禄兵衛、『ゴエモン』シリーズ史上最もカッコいい悪役と言ってもいいビジュアルで、しかもそんな彼の顔がスーパーファミコンのグラフィック性能を借りて緻密に描写されています。そのために、シリーズの歴代黒幕の中でも特に強烈な印象を我々に残しました。
獅子重禄兵衛は、一体何者なのか? その答えはエンディングで明かされますが、この記事ではネタバレ防止の意味で伏せることにします。ただし一つだけ……タイトルにある『からくり卍固め』がどのような技なのか、作中でも分からずじまいに終わってしまいます。
実はこのゲーム、それ以外にもだいぶ端折っているというか、「今までの流れは一体何だったんだ!?」と感じてしまう展開が多々あります。最終ステージに行くには、全部で8枚ある暗号プレートを集める必要がありますが、これは1つのダンジョンを攻略する毎に1枚ずつ集まる……のではなく、シナリオの途中で一挙に3枚も手に入る展開が施されています。また、ダンジョンもやたらと手の込んだ謎解きが仕込まれているものもあれば、道なりに行くだけで呆気なくボス戦に到達できるものも。
そうした「シナリオの中のムラ」は否めませんが、『ゴエモン』シリーズらしいアクション性と謎解き要素を両立させた内容はまさに名作と呼ぶに相応しく、2026年の今でも色褪せずに光り輝いています。


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