糖質のとりすぎで脂肪肝になると、糖尿病になる危険性も高まる。では脂肪肝を改善するにはどうすればいいのか。
栗原毅著『栗原式 すごい糖尿病の自力克服法』(エクスナレッジ)より、脂肪肝を改善し血液をサラサラにする「肝臓にいい食べ物・食べ方」を紹介する――(第3回)。
■糖尿病でもお酒は飲んでいい
糖尿病でもお酒は飲んでかまいません。また一般的に、アルコールは肝臓に悪いといわれていますが、肝臓に悪いばかりとは限らないのです。
私は40年以上、肝臓病を専門にしてきましたが、その経験から「適量のお酒は健康によい」という結論にたどりつきました。
1日あたりアルコール量換算で40mg以下であれば、お酒を飲む人の死亡率は、飲まない人よりも低くなる傾向がみられます。このことは数々の権威ある研究が明らかにしています。
その理由の一つとして、適度な飲酒が血行をよくして、動脈硬化の予防につながると考えられます。
実際、適量の飲酒には虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)を抑制することが示唆されています。
■中びん2本まではOK
2024年の厚生労働省の見解では「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を1日男性40g、女性20g以上(いずれもアルコール換算)としています。
このアルコール換算量は、ビールなら中びん2本(中ジョッキ2杯分)、日本酒なら2合、ワインならグラス3杯、ウイスキーならダブル2杯、350mLの缶酎ハイ(7%)なら2本分に相当します。
ただし、適量には個人差があります。アルコール量40gは、あくまでも一般的な適量です。

遺伝的にお酒に強い人は適量が多くなり、遺伝的に弱い人は適量が少なくなります。
その目安となるのが肝機能値のASTが30を超えないことです。脂肪肝の指標となるALTは糖質のとりすぎで、ASTはアルコールの飲みすぎで上昇します。ASTが30以上なら適量を超えています。自分の適量を守れるのであれば、とくに休肝日を設ける必要はありません。お酒は自分の適量を守って楽しみましょう。
■アルコールより危険な「甘い飲みもの」
お酒は、ご自分の適量を守っていれば、肝臓には悪くありませんし、糖尿病でもアルコールを楽しむことができます。
ところが、アルコールよりも危険な飲み物があります。それは「甘い飲みもの」です。
せっかく食事で適正糖質量を守っていても、砂糖などが入った甘い飲みものをとれば、糖質のとりすぎになってしまいかねません。
とくに注意しなければならないのが、甘味料、果糖ブドウ糖液糖です。糖尿病の人には絶対避けてほしいと思います。

果糖ブドウ糖液糖には、液体になったブドウ糖と果糖が含まれています。ブドウ糖は血糖値を上げますが、液体のブドウ糖は吸収が早く、飲んだとたん血糖値を急上昇させ、血糖値スパイクを起こす危険性があります。
もう一方の果糖の危険性は、もうご承知ですね。液体の果糖はダイレクトに肝臓で代謝されるため、脂肪肝のリスクを一気に高めます。
■痛風のリスクも高める
果糖は脂肪肝や糖尿病だけでなく、痛風(高尿酸血症)のリスクになることも知られています。果糖が体内で代謝される際に尿酸の生成を促すからです。
一般に、痛風の原因は、魚卵などに多く含まれるプリン体のとりすぎといわれています。しかし、これについては確たる証拠はありません。
これに対し、果糖ブドウ糖液糖が尿酸値を上げるのはまちがいありません。
このような危険性があるのにも関わらず、果糖ブドウ糖液糖は、スーパーやコンビニで売られているさまざまな飲みものや調味料に含まれています。しかも健康によいといわれている商品にも含まれています。
今や果糖ブドウ糖液糖を使用していない食品を探すほうが、むずかしい時代なのかもしれません。
しかし、これを避けるには、商品のラベルを一つひとつ見て確認するしか方法がありません。しかし、脂肪肝から糖尿病、さらに動脈硬化による合併症を防ぐには、これらの食品から距離を置いたほうがよいでしょう。
■血糖値の上昇をゆるやかにする「酢」
酢と納豆の組み合わせは脂肪肝や糖尿病の予防にすすめたい食品です。私が雑誌などで紹介したところ、脂肪肝や糖尿病の数値が改善したという報告がたくさん寄せられました。
酢が食後血糖値の上昇をゆるやかにすることはよく知られています。酢には血糖値スパイクを抑える働きがあります。
一方、納豆は食物繊維が豊富で、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれています。
とくに水溶性食物繊維は、食べると水に溶けてゲル状になり、糖を包み込んで吸収をゆるやかにします。つまり、納豆にも血糖値スパイクを防ぐ働きがあるのです。
■最強の血液サラサラ食品
さらに納豆には、ナットウキナーゼという成分が含まれています。ナットウキナーゼは、たんぱく質分解酵素の一種で、血液をサラサラにします。そのサラサラ効果は強力で、血栓を溶かす作用も確認されています。

血栓を溶かし、血糖値スパイクを防ぐ酢納豆は、最強の血液サラサラ食品です。
私の患者さんたちは、ほぼ全員が食べています。
酢納豆の作り方は簡単です。納豆1パック(40~50g)に対して、酢を大さじ1杯(15mL)入れて、かきまぜればできあがりです。
ただし、納豆に付いてくるタレは使わないでください。タレには果糖ブドウ糖液糖が添加されているからです。
もう1つ添加されているカラシは加えてかまいません。塩味がほしいという人は、しょう油を少し垂らすとよいでしょう。
もう1つ、酢納豆は食べ方の大事なポイントがあります。それは食事の最初に食べるということです。酢納豆ファーストですね。
食事をとるとき、最初に食べるのが酢納豆です。
酢納豆もよくかんで、ゆっくり食べましょう。あたたかいごはんに納豆をかけると、熱で酵素の一種であるナットウキナーゼの活性が低下します。その意味でも、酢納豆だけを先に食べるほうがよいのです。
■高カカオチョコレートで血液サラサラ
おやつに食べるお菓子のなかにも、血液をサラサラにする食品があります。それはチョコレートです。ただし、やや苦みが強い高カカオチョコレートに限ります。
高カカオチョコレートは、カカオの含有量が高いチョコレートで、ダークチョコレートと呼ばれることもあります。
高カカオチョコレートは、カカオの含有量がパッケージに記載されていますが、70%以上のものを選びます。含有率が高くなるほど苦みが強くなりますが、カカオの香りも強くなるので、チョコレート本来の味を楽しむことができます。
カカオに含まれるポリフェノール(カカオポリフェノール)という成分には、動脈硬化の進行を抑える効果があります。つまり、高カカオチョコレートには、血液サラサラ効果があるということです。
高カカオチョコレートを食べると、糖尿病が30%、心臓病(虚血性心疾患など)が37%、脳卒中(脳血管障害)が29%も減少するという研究があります。

■1日5回食べるといい
私の糖尿病の患者さんのほとんどは、前述した酢納豆と高カカオチョコレートを食べています。
1日に食べる高カカオチョコレートの量は、25gが適量です。板チョコは2かけで約5gなので、1日10かけ食べられる計算になります。
1度に25g食べるよりも、5gずつ分けて食べるほうが、血液をサラサラにする効果は高まります。
カカオは食物繊維が豊富なので、おなかがすいたときに高カカオチョコレートをおやつとして食べれば、血糖値がゆるやかに上がり、空腹感がおさまりますが、血糖値スパイクは起こりません。
おすすめなのは、食事の前と食間、5回のタイミングでとることです。食事の少し前に高カカオチョコレートを食べると、カカオの食物繊維の働きで、その後にとる食事による血糖値の上昇がゆるやかになり、食後血糖値のピークも抑えられて、血糖値スパイクを防ぎます。
■腸には100兆個もの細菌がいる
最近は腸活ブームですが、血液をサラサラにして動脈硬化を予防するのにも、腸活は効果があります。
腸活とは腸内環境を整える活動のことですが、だいたいのことはみなさんもご存じだと思います。
腸の中には約1000種類、100兆個もの細菌がすみついていて、さまざまなグループが集まって、勢力争いをしています。
その中に、体によい働きをする細菌群(善玉菌)と、体によくない働きをする細菌群(悪玉菌)がいて、善玉菌が優勢な腸内環境にすることで、健康がもたらされるという考え方です。
近年は腸内細菌の研究が進んでいて、脳にも腸内細菌が影響を与えていることまでわかっています。
■腸活は「口の中」から
さらに、口の中(口腔)と腸も関係があります。口腔内にも常在菌がすみついていますが、それらの細菌は腸内細菌と関連しているのです。
腸活には食事と運動が大事だといわれています。具体的には善玉菌のエサになる水溶性食物繊維が豊富な食品をとり、適度な運動を継続することで腸内環境は改善されるとされています。
腸活によい食品といえば、発酵食品です。中でも手軽に腸活ができる発酵食品として、ヨーグルトや乳酸菌飲料が人気です。
ただ、これまで述べてきたように、ほとんどの乳酸菌飲料には、果糖ブドウ糖液糖が添加されているのでヨーグルト、それも添加物が入っていないプレーンヨーグルトがおすすめです。
今はいろんなヨーグルトが販売されていますが、2週間ほど食べてみて、体調の変化が感じられるなら、そのヨーグルトの菌が体に合っています。2週間を目安にいろいろ試してみるとよいでしょう。
そのほか、納豆や漬け物なども腸内環境を改善する効果が期待できる発酵食品です。
とくに納豆は、前述の酢納豆にすると最強の血液サラサラ食品になるので、ここでもおすすめしておきたいと思います。

----------

栗原 毅(くりはら・たけし)

医師

1951年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。東京女子医科大学で消化器内科学、特に肝臓病学を専攻し、同教授を歴任、2007年より慶應義塾大学教授。2008年に消化器病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防と治療を目的とした「栗原クリニック東京・日本橋」を開院。『1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法』(日本文芸社)など著書多数。

----------

(医師 栗原 毅)
編集部おすすめ