令和ロマンのくるまが初めて監督・脚本を手がけた短編映画『BREAK SHOT』が、7月31日(金)より渋谷シネクイントほかにて順次公開される。5月16日におこなわれた令和ロマン単独ライブ『RE:IWAROMAN』の幕間映像としてサプライズ上映された本作は、全編をドライブレコーダーの視点で描き、車内に交錯する言い訳や見栄、焦り、人間の滑稽さを、緻密な会話と独特の“間”で映し出すブラックコメディだ。
INTERVIEWくるま × 森川葵
企画の原型と、『BREAK SHOT』が生まれるまで
──企画の初期段階では、中華料理や野球部という案もあったとのことですが、そこから最終的に『BREAK SHOT』の形に至った経緯を教えてください。くるま:企画段階ではいろいろアイデアはあったんですけど、スケジュールの関係と撮りやすさという部分が大きいですね。ロケの時間もそんなに取れないし、初めて撮るならワンシチュエーションで完結するものの方が撮りやすいだろうということで、車内のワンシチュエーションという形になりました。──ドライブレコーダー視点はこの作品の大きな特徴ですが、くるまさんのYouTube企画『くるまの助手席』を連想する方も多いと思います。その点は意識されていましたか?くるま:実は逆で、順番は映画の方が先なんですよ。『オフライン ラブ』や『ボクらの時代』でご縁があった制作会社さんと一緒にYouTubeを始めることになった時に、いろいろな企画案を投げてもらっていて、その中に『くるまの助手席』の案もあったんですよね。映画を作り始めたタイミングだったのでちょうどいいなと思って。そのことを半年以上ずっと内緒にしていたんですけど。
──制作にあたり、こんな感じにしたいとイメージしていた映画はありましたか?くるま:全然そうはならなかったんですけど、ダミアン・ジフロン監督の『人生スイッチ』(スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルが製作を務めた)ですね。自分が好きな不条理の具合みたいなものがあって。芸人が面白いと思うお笑いと、映画のコメディってちょっと違うじゃないですか。国が違うだけじゃなくて、面白さの捉え方や解釈が違う。でもコメディで撮っていない映画の中に、不条理な状況から生まれる笑いというか、自分が“面白い”と感じる瞬間があったりする。いろんな作品から拾っているパーツはあるんですけど、一番やりたいものに近いのは『人生スイッチ』でしたね。
“間”へのこだわり
──森川さんは最初に台本を読まれたとき、どんな印象を持たれましたか?森川:『BREAK SHOT』は登場人物ごとの車内の状況が交差する形になっていましたが、最初に台本をいただいた時は、それぞれの車内でのストーリーがブロックごとにバラバラで書かれていて、それを一つずつ見せていくようなものでした。これをワンカットでやってうまくできるかな、という気持ちと、くるまさんの考えている面白さをちゃんと表現できるのかというプレッシャーもありましたね。
──実際に現場に入ってみて、監督としてのくるまさんはどうでしたか?森川:よそよそしかったですね(笑)。くるま:それはマナーとしてね!森川さんに馴れ馴れしすぎると周りの大人がピリつくと思って。
──印象に残っているディレクションや、他の監督との違いを感じた部分はありましたか?森川:「こうしてほしい」という要望を感情の説明ではなく、「このフレーズをこういう風に言ってほしい」と、すごく具体的に伝えていましたね。車の窓越しに一生懸命、何度も何度も言い回しやテンポについて説明している姿が印象的でした。くるま:高良さんには何回もリテイクして申し訳なかったですね。
即興性を受け入れながら演出を組み立てる
──森川さんは完成した作品をご覧になって、観客として印象に残ったシーンはありましたか?森川:全貌を知らなかったので「こんな風に仕上がったんだ」という驚きがあったんですが 、特に印象的だったのはオダギリジョーさんのシーンですね。私たちの撮影の前にオダギリさんは撮影を終えていて、撮影前から「オダギリさんがすごかった!」という話は方々から聞いていて。その前のめりの勢いが画面にしっかり出ていて、さすがだなと思いました。くるま:オダギリさんは本当に言うこと聞かなくて(笑)。撮影中も大暴れでしたね。森川:さすがですね。そんな生き方をしたいです。
──アドリブへの対応も監督として求められたと思いますが。くるま:そうですね。色々とアドリブをしていただいたので、こちらも普通にやるのもあれだしと思って、途中からカンペを出すようにしたんです。結局本番で使っているのは、オダギリさんがアドリブでボケたことに対して、俺がもう一重ねのボケを書いて言ってもらっているんです。「挟みましょう」ってオダギリさんが言い出したから、「俺が社長だったら挟みますよ。」って書いて。森川:そのくだりありましたね!くるま:よく見るとオダギリさんもそのカンペを見てちょっと笑っちゃってるんですけど、追い詰められておかしくなっているようにも見えるからいいなと思ってそのまま使いました。森川:そんな裏話があったんですね。
漫才がベースにある映画をつくりたい
──今後のくるまさんの監督としての制作活動について教えてください。くるま:今まで芸人として漫才を作ってきたので、その要素を活かした作品を作りたいですね。“映像コント”ではなく、漫才がベースにある会話を意識した映画というものを作れたらいいなと。去年初めて北野武さんの作品を見たんですが、漫才の人が作っている映画だという感覚があって、それが面白かった。まだ始めたばかりで全体像も見えていないんですけど、プロットの状態から稽古して作っていく、即興的な演出を入れていくというのが自分の色にもなるんじゃないかなと。今までの映画にないものがつくれたらいいなという気持ちですね。
──森川さんは、次にくるまさんの作品に出演するとしたら、どんな作品に出たいですか?森川:恋愛ものが気になりますね。この間の単独ライブのコインランドリーのネタがすごく好きで。くるまさんって恋愛トークも結構好きじゃないですか。いわゆるまっすぐな恋愛ものじゃなくて、世の中の人からしたら「そうだよね、普通の恋愛ってそんなもんだよね」って共感できるような、これまでにないひねくれた恋愛ものが作れそうな気がするんですよ。それに出てみたいですね。くるま:その時はお願いします!
他豪華出演キャストからもコメントが到着
劇場公開に寄せて、出演キャストとプロデューサーからコメントが到着した。プロデューサー 雨無麻友子たわいない会話の中に、見栄や焦り、人間の滑稽さがふと滲み出る。そんな人間たちを単純に両断するのではなく、観客自身がその可笑しさや危うさを考えていく映画になっています。漫才師であるくるま監督は、非常に強い言語感覚を持ち、“間”を自ら体現しながら設計していく演出をしていました。観客との空気の読み合いを熟知しているからこそ、“笑い”から逆算して緊張を生み出せる。その感覚が、『BREAK SHOT』では独特のスリルと映画的なリズムへと変換されています。ドライブインシアターでの映画体験をきっかけに、この仕事に就いた私にとって、くるまの映画を世に送り出せることを、とても特別なご縁に感じております。ぜひ劇場で見届けていただけたら嬉しいです。
Interview&Text by Tomoko AsaiPhoto by Ryoma KawakamiEdit by Qetic(Ken Mochizuki)
INFORMATION
© 2026 BREAKSHOT Production Committee, All Rights Reserved.
公式Instagram© Qetic Inc.
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