ステージの真ん中に設置された青く光る「箱」がこれから始まるライブへの期待を否が応でも盛り上げる。サマーソニック2026東京2日目、MARINE STAGEのヘッドライナーを務めるのはAdoだ。
2020年に「うっせぇわ」でシーンに鮮烈に登場して以降、その歌声は日本はもちろん、世界中に響き渡ってきた。これまで2度のワールドツアーを成功させ、今年7月には神奈川・日産スタジアムで2日間にわたるワンマンライブ「Ao」を大盛況のうちに終えた彼女が、サマソニ初出演にしてヘッドラインを飾るのである。ZOZOマリンスタジアムのスタンド席には親子連れのお客さんも目立つ。そんな光景も、このヘッドライナーがこれまで25年のサマソニの歴史のなかでも画期的であることを物語っている。

そうして始まったライブは、冒頭からとても印象的だった。「これは現実?」という言葉とともにスクリーンに映し出されたのは、ヘッドライナーを務めることが発表されて以降ネット上に飛び交った様々な意見。そのなかにはかなり辛辣なものも含まれている。襲いかかってくる言葉たちを受け止め、Adoは「覚悟はあるのか?」と自らに問いかける……そんな強烈なオープニングである。その問いに対するAdoの答えはこうだ。Im ready──準備はできている。その刹那、重いギターリフが鳴り響いた。1曲目はなんと、メタリカ「Enter Sandman」のカバーだった。
箱の中で踊り、歌い叫ぶAdoにマリンスタジアム中の視線が注がれる。このMARINE STAGEにも立ったことのあるヘヴィメタルの重鎮の名曲からライブを始める──それこそまさにAdoの「覚悟」の表れなのだろう。

【サマソニ総括】Ado、メタリカを熱唱──日本人ヘッドライナーとしての覚悟を示した圧巻のステージ


【サマソニ総括】Ado、メタリカを熱唱──日本人ヘッドライナーとしての覚悟を示した圧巻のステージ


そしてそこからすかさず繰り出したのは自身の最初の代名詞となった「うっせぇわ」。第一声が轟いた瞬間にオーディエンスから大歓声が湧き起こる。さらにこれもまたエネルギーに満ちたロックナンバーである「逆光」が畳み掛けられるに及んで、Adoのこのステージが意味するところがはっきりと浮かび上がる。ヘッドライナーの重みも、サマソニ25年の重みも背負って、それを突き抜けていこうというのだ。箱の中を闊歩しながら全身で歌うAdoの姿ははっきりと見えるわけではない。だが、気合いがみなぎっていることはシルエットと声だけでわかる。

ヘヴィなリフとビートが炸裂する「0」、喉が千切れんばかりの絶唱から幕を開ける「Tot Musica」と、その後もAdoは攻め続ける。その「Tot Musica」を歌い終えて倒れ込んだかと思うと、「アイ・アイ・ア」では軽快にダンスしながら歌い、コールアンドレスポンスを生み出してみせる。そしてレーザーが飛び交うなかシンガロングを巻き起こすEDMチューン「Stay Gold」へ……くるくると移り変わる楽曲と声のテンションに翻弄されながら、オーディエンスはどんどんAdoの世界に引き込まれていく。そう、Adoのすごさは単に歌が上手いとか声が強いとか、そういうフィジカルな部分だけではない。
さまざまなクリエイターによる多様な楽曲と多彩な声色を駆使しながら、リスナーを沼のような渦のような奥底へと引き込んでいくところにこそ、この歌い手の凄みがある。その引力のような力はこの日も健在だった。

「私がふさわしかったかどうか、もう、わかりましたよね?」

突如披露された新曲とバンドメンバーのソロコーナーを経て、ここからライブはさらにギアを高めていく。箱から出てきたAdoがステージのど真ん中に立ち、ますます自由に動きながら「綺羅」を歌うのだ。光のなか、くっきりと浮かび上がるAdoのシルエット。ダイナミックなアクションをしながら歌う彼女の姿は開放感に満ちているように見える。そこから一転してドラマティックなミディアムバラード「DIGNITY」(これもサマソニのヘッドライナー経験者、Bzとのコラボレーションで生まれた楽曲だ)を歌い上げると、ワールドツアー「Hibana」や東京ドームでのワンマンライブ「よだか」でも披露していたシーア「Chandelier」のカバーをエモーショナルに届ける。ステージに横たわりながら歌うその姿に拍手が巻き起こった。そして情熱的なラテンのリズムが涼しくなってきた幕張の空気に火をつける「モンストロ」を経て、地響きのようなリズムが鳴り渡る。打ち鳴らす手とともにオーディエンスと声を重ねて始まるのはその名も「ROCKSTAR」だ。ステージを練り歩きながら歌うAdoの姿は文字通りロックスターのよう。歌い終えた彼女は息を弾ませながら口を開いた。


「フェスで(箱から)”脱走”するのは初めての試みなのでちょっと緊張している部分もあるんですが……」。英語と日本語で挨拶をしたあと、そう言って笑ったAdoは、さらに続けてサマーソニック25周年という節目に自分がヘッドライナーを務めることに対していろいろな捉え方があることを認めた上で、集まったオーディエンスに感謝を伝え、誇らしげにこう言った。「今日、私の歌を聴いて、私がふさわしかったかどうか、もう、わかりましたよね?」。当然オーディエンスは大歓声で同意する。そして日本人としてこの場に立てた喜びを改めて口にすると、Adoは今日までこのステージをつなげてきたアーティストたちに感謝を伝えたのだった。この「わかりましたよね?」という言葉は衝撃的だった。こんなにも胸を張るような言葉を吐くAdoを、初めて観た気がしたからだ。それほどの覚悟をもって彼女はここに来たのだろうし、そしてその覚悟ゆえに、確かな手応えを得ることもできたのだろう。

【サマソニ総括】Ado、メタリカを熱唱──日本人ヘッドライナーとしての覚悟を示した圧巻のステージ


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そして早くもライブは最後の曲に突入する。その楽曲は「唱」。Adoの歌声がスタジアム全体を巻き込んで最高の一体感を作り出し、ライブはひとまずの終幕を迎えたのだった。その後アンコールでステージに戻ってきたAdoは、ギターリフが空気を震わせる中、「Are you ready?」と再びこの日の1曲目と同じ「Enter Sandman」を歌った。
今度は箱の外でのびのびと体を動かしながら。同じ曲だが、ライブの冒頭とはまったく違う雰囲気を帯びたその響きに、この90分間の大きさを思い知る。「Thank you サマーソニック! ありがとうございました、Adoでした!」という最後の声の晴れやかさが、彼女がたどり着いた心情を雄弁に物語っていた。

Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)

#サマソニ#summersonic
SUMMER SONIC 2026
ヘッドライナーとしての出演でした。ありがとうございました。
正直に、アンコールのお声をいただけるとは思っておらず、、アンコールが聞こえた時は本当に胸が熱くなりました。
アンコールと、そして1曲目にはカバー曲で今回初めてMetallicaの「Enter… pic.twitter.com/N95cdwdqvi— Ado (@ado1024imokenp) August 16, 2026

SUMMER SONIC 2026 公式サイト
https://www.summersonic.com/
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