日経平均株価が最高値を更新するなど株高が続くなか、普通の会社員でも純金融資産1億円を突破する「いつの間にか富裕層」と呼ばれる人が増えている。1億円をつくるには、ただ節約して投資するだけでは足りない――。
元ゴールドマン・サックスの投資家・田中渓氏が強調するのは、「逆算」と「時間の使い方」、そして自分の“稼ぐ力”を育てる視点だ。給料を日本円でもらい続けること自体がリスクになりつつある今、資産形成の出発点は、まず「1億円ある生活」を具体的に思い描くことだという。普通の会社員が富裕層に近づくために、本当に必要な考え方と行動習慣を聞いた。

富裕層を目指すための一歩

普通の会社員なのに“資産1億円”に到達できる人の特徴とは?元...の画像はこちら >>
多くの会社員が給与収入を大黒柱とし、資産形成に励んでいる。この状況に『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』を上梓した田中渓氏の見立ては非常にシビアだ。

「今、資産を日本円でもらう給料に頼りきるのは、実質『FXで円に全振り』しているのと同じで極めてハイリスク。インフレと円安の今、自分が『すでに大負けしている』という現状の危うさを自覚する必要があります」

そのうえで、富裕層を目指すための一歩として「逆算」の重要性を説く。

「まず“1億円ある生活”を強烈に想像してみてください。そうすることでおのずとロードマップが見えてきます。実際に計算すると、年収500万円の人なら手取りから生活費を引いて、自由に使える額なんて年間100万円程度です。すべて投入しても1億円に達するまでに数十年かかってしまう。

かといって、ボラティリティの高い投資にいきなり手を出して、専業で命を懸けているプロに勝てるわけがありません。だからこそ、手間をかけない長期の投資を続けながら、空いた時間で自分の『稼ぐ力(人的資本)』を育てることが大事なんです」

すべてのカギを握る「時間の使い方」

そのためには、人生のリソース分配、つまり「時間の使い方」がすべてのカギを握る。

「自分で時間をコントロールする枠組みをつくれば使える時間は増えます。
夏休みの宿題だって8月31日に慌てて始めても、それなりの終わらせ方ができるように、時間をカチッと区切ってしまえば、やり切る能力が人間にはある。これを日々の仕事に応用し、時間を強制的に区切って仕事を終わらせるのが『タイムボクシング』です。

最大のコツは、タスクの種類を分けること。14時に会議、15時に作業、16時に会議と細切れに交ぜると、タスクの切り替えに時間が削られ、集中できません。私は人と会う日と作業する日は完全に分けてます」

“稼ぐ力”を最大化する使い方

普通の会社員なのに“資産1億円”に到達できる人の特徴とは?元GS投資家が実践する「時間を強制的に区切る」最強の時間術
写真はイメージ
蓄積した“稼ぐ力”を最大化する使い方とは。

「社内での評価を上げるのはもちろん大事ですが、昇給には限界があります。やはり年収は業界と場所による部分が大きい。定期的に転職エージェントと話す『ビジネス人間ドック』で市場価値を把握することもおすすめです。今であれば会計や法務、AIを『薄くなめておく』だけで年収は優にアップします」

富裕層の共通点

田中氏はこれまで見てきた富裕層の共通点として、もれなく「ギバー」であるという事実を挙げる。

「人脈や情報を惜しみなく周囲に与えるからこそ、回り回って、あとから莫大な金額やチャンスとなって戻ってくる。彼らは圧倒的な行動量で打席に立ち続けているだけなんです。

『市場からの退場』さえしなければ資産形成の過程での多少の失敗なんて、ただの授業料。すべては成功の過程なんです。
1000円からでもいいので、今すぐ投資のリングに立ち続けることです」

10年後の立ち位置を分けるのは、己の行動量の差なのだ。

【投資家・ラジオパーソナリティ 田中渓氏】
1982年生まれ。元ゴールドマン・サックス投資部門日本共同統括の投資家。著書に『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)

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※2026年6月23・30日合併号より

取材・文/週刊SPA!編集部

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