そんな彼女が、家族との距離感や「自分の言葉」を持つことへの葛藤、そして体型維持の秘訣まで率直に語った。
髪を触られるとつい……この現象に名前を付けたい
——『死神バーバー』では美容師の佐伯美帆を演じています。仕事は頑張っているのに空回りしている、そんな印象の女性ですが、最初に台本を読んだ時の率直な感想を教えてください。
桜井:人間関係がうまくいっていないんですよね。職場でも、彼氏に対しても、親に対しても。人生でちょっとくすぶっているところがあって。でも、人間関係をうまくする方法を実は彼女は知っているはずで。知っていてもできない、素直になれないところだったり、自分の弱さを周りに見せたくないということで強がっている女の子、という印象がありました。
桜井:そうですね。日頃からヘアメイクさんにはお世話になっています。劇中でもありますけど、髪を触られているとつい話しちゃうんですよね。
「あなたが帰ってくる時は、何かあった時だから」
——今回演じられた「美帆」は周囲には弱さを見せられない部分があります。ご自身と重なるものはありましたか?桜井:私、親に対してちょっとカッコつけちゃうところがあって。心配かけたくなかったりして、仕事のことに限らず、悩んでいることもあまり言わないんです。美保純さんが演じてくださったお母さんとの距離感も含めて、うちの家族の距離感と似ているかなって。うちの母は、私があまり困っていることを喋らなくても「あなたが帰ってくる時は、何かあった時だから」と言って、話を聞いてくれたりします。
——桜井さんといえば、お母さんの卵焼きが大好きだと昔からお話されてきました。ご家族で仲がいい印象ですが、何でも話すわけではないと。
桜井:仲はいいんですよ。
「自分の言葉」を持つ人たちへの憧れ
桜井:エッセイが好きなんです。特に大久保佳代子さんと、ヒコロヒーさんと、シソンヌのじろうさん。3人とも、もともと好きな芸人さんで、みなさんエッセイを出されていて読んでいるんですけど、この3人に共通して言えるのが「自分の言葉をちゃんと持って、日常をエンタメにしている人たち」なんです。そういう方々に憧れています。芸人でありつつ、他のフィールドでもたくさん活躍されているし。どうしたらああなれるんでしょうね、答えが見つかりません(笑)。
——お三方とも独自の世界観を持ちながら、自分を客観視できていそうです。
桜井:そうですね。最近こうした取材の時に、自分の大事な作品を、ちゃんと自分の言葉で「こういうところを見てほしい、こういうところが魅力だと思っています」と伝えてこられただろうか、ということをすごく考えるんです。いろんなプロが関わって、ライターさんもそうだし、事務所の方がいろいろ調整してくださったりして、情報はちゃんと世に伝わっているはずなんですけど、自分の言葉の拙さみたいなのを痛感します。
一生役者をやっていくためにも、ちゃんと言葉と向き合いたい
桜井:以前は「まだ若いから」みたいなのが許されていた節があるけれど、30歳も見えてきて、そろそろちゃんと言葉を武器にして生きた方が、自分がなりたい役者であり人間に近づけるかなと。
——ご自身でもエッセイを書いてみたいとは。
桜井:思います。出してみたいです。あとラジオもやってみたいです。ラジオって、家事をしながら聞いたり、ひとりでご飯を食べながら聞いたりすると、誰かと食べているような気持ちになったりして、日常に寄り添ってくれるものだと思っていて。でも、ラジオもやっぱり言葉じゃないですか。だから本当に勉強したいんです。
体型維持のために心がけていたこと
桜井:ストレスが本当に大敵なんです。ダイエットしようと思って、甘いものやめましょう、揚げ物やめましょう、お酒やめましょうとすれば、たしかに一時的な体型管理はできます。でもそれって長く続けられませんよね。「ダメ」って言われるとしたくなっちゃうのが人間で、逆に食べ物に執着してしまう。私は自分のルールとして「ダメ」をやめて、食べていい、飲んでいいけど量を調節しよう、というやり方にしたら、甘いものにあまり執着しなくなりました。
——「これくらいしか」ではなく「これくらいなら」食べていいという変換ですね。
桜井:そうですね。あと運動も「やらなきゃ」ではなく「やりたい」に変わるまで習慣づけることが重要だと思います。人って3週間くらい続けると習慣になっていくらしいんです。だから頑張って3週間続けてみて、「やらなきゃ気持ち悪い」という域までいけたら、あとはもうこっちのものです。
「自分のため」ということに気づけない人は変われない
——そこまでがなかなかできないんですよね。桜井:喝ですか(笑)。うーん、そうですね。結局、それが自分のためだということに気づけない人は変われないと思います。
——おお!
桜井:言われてやっていると、「やらされている」というゴールになってしまうので。私も昔、厳しく管理してもらっていた頃は、「やらされている」という気持ちが強かったと思います。でも、ちょっとずつ体型も変わってきて、メンタルも変わってきて、変わってきた自分が好きになっています。だから、あえてキツいことを言うなら……。変われなくていいなら、やめていいんじゃないですか、と(笑)。
——よき喝をありがとうございます!
桜井:(笑)。幸せなのが一番ですから。もしもご自身で変わりたいと思っているのなら、変わった先にきっともっと幸せが待っていると思って、まず3週間、ぜひ頑張っていただきたいです。
<桜井日奈子>
1997年4月2日生まれ。岡山県出身。2014年、「岡山美少女・美人コンテスト」の美少女グランプリを受賞。2016年に舞台「それいゆ」で舞台デビュー。以降、映画「殺さない彼と死なない彼女」(’19年)など話題作に多数出演。直近ではドラマ「余命3ヶ月のサレ夫」(’26年/テレビ朝日系)ではヒロインを務めたほか、「コンサルタント-死を執筆する男-」(’26年/WOWOW)、映画「SAKAMOTO DAYS」、7月9日(木)スタートの「ラストノート」(’26年/フジテレビ系)にも出演。幅広い作品でそのたしかな演技力と希少な存在感が支持されている。
<取材・文・写真/望月ふみ スタイリスト/有咲 ヘアメイク/Hitomi(Chrysanthemum)>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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