のれんの減損損失計上で赤字転落 スカイチケットの「アドベンチャー」それでもM&Aは推進

格安航空券やホテルなどの予約サイト「スカイチケット」を運営するアドベンチャー<6030>は2025年6月期に、のれんの減損損失の計上などで営業赤字に転落した。

それでも、企業成長や企業価値向上の重要な取り組みとして、M&A戦略を変更する気配はない。

今後はどのようなM&Aを推進するのか。

減損損失約22億を計上

アドベンチャーは2023年に子会社化したネット専業の旅行会社である旅工房<6548>による雇用調整助成金の不正受給が発覚したのを受け、発表を延期していた2025年6月期決算(2025 年8月13日開示予定)を2025年10月31日に公表した。

それによると売上高は253億7000万円(前年度比13.3%増)と増収を維持したものの、営業損益は11億5500万円(前年度は14億8900万円の黒字)の赤字に転落した。

赤字転落は旅工房による不正受給事案に対する特別調査関連費用や、旅工房買収時に発生したのれんの減損損失をはじめ、海外孫会社ののれんの減損損失などを計上したのが要因。

旅工房によると2025年3月に労働局からの通知を機に、2021年から2023年にかけて受給していた雇用調整助成金について不正受給の疑義が判明。

これを受け、特別調査委員会を設置し、調査を実施した結果、休業中であったにもかかわらず稼働指示が出され、虚偽の申請が行われていたことが明らかになったという。

減損損失については、旅工房については2025年6月期末時点での株式の市場価格が簿価を大きく下回っているため、のれんの減損損失として16億7100万円を計上。

さらに海外子会社である Adventure APAC Pte. Ltd.が保有している Silkway Travel Asia Pte Ltd.、URCOMMUNICATIONS PTE. LTD. 、Hello1010 Sdn. Bhd.の株式について、当初想定されていた収益が見込めなくなったため、のれんの減損損失として5億1500万円を計上した。

M&Aは成長の重要なエンジン

アドベンチャーでは2025年6月期決算の発表を延長している状況を踏まえたうえで、2025年9月に「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」を公表。

この中で「M&Aは持続的な成長と企業価値向上を加速させるための重要なエンジン」との基本方針を改めて確認。

今後実施するM&Aの対象は、旅行事業関連に加え、生活に関連する事業領域、特にグローバル×成長可能性が高い事業を優先するとした。

具体的には国内主力事業の領域では、体験、アクティビティ予約サービス、特定領域特化型の旅行代理店、トラベルテックなどに関連する企業を対象とする。

グローバル領域では、各国のオンライン旅行会社、旅行代理店、現地交通、観光アクティビティ事業者、トラベルテックなどの分野で、自社の主力事業と親和性の高い領域では、グルメ、レストラン、イベント、エンタメ関連などの分野で関連企業を探索する。

10年間で14件の企業買収を実施

アドベンチャーはM&Aに前向きで、上場した2014年12月以降に適時開示したM&Aは、2015年1件、2018年には5件に達した。

2019年にツアー企画のラド観光を子会社化した後は、コロナ禍の影響もあり2020年のスポーツ用品衣料製造子会社のwundouの譲渡に始まり、2022年の金券ショップ運営のコスミック流通産業まで4件連続で子会社を譲渡。

再び買収に舵を切ったのはレ・コネクションから京都市内の宿泊事業を取得した2022年で、その後は2023年に旅工房、ランドオペレーター事業のアヤベックスを子会社化。

さらに2024年にはシンガポールの旅行代理店Silkway Travelをはじめ4社を子会社化するなど、この10年間で14件のM&Aを実施しており、事業拡大に向けて積極的に買収を進めている。

のれんの減損損失計上で赤字転落 スカイチケットの「アドベンチャー」それでもM&Aは推進
アドベンチャーが2015年以降に適時開示したM&A

2026年6月期は黒字転換

旅行業界はコロナ禍で大きな影響を受け、厳しい状況に追い込まれたが、ここ数年はインバウンド(訪日観光客)の拡大などに伴って、需要は回復傾向にある。

同社によると観光庁の調査では、2024年の延べ宿泊者数は、約6億6000万人泊で前年度比6.7%増となった。日本人延べ宿泊者数は1.0%減少したものの、外国人延べ宿泊者数が39.7%増となったことから、全体の宿泊者数が増加した。

アドベンチャーは、使いやすいオンライン予約サイトを通じて、航空券やホテル、レンタカーなどの多くの旅行サービスや商品を提供するとともに、国ごとに言語や支払い方法を最適化していることを自社の強みとしている。

堅調な需要が見込める業界で同社の強みを活かすとともにM&Aも駆使し、持続的な成長を目指す方針で、2026年6月期は売上高260億円(同2.5%増)、営業利益18億円と増収、営業黒字転換を見込む。

のれんの減損損失計上で赤字転落 スカイチケットの「アドベンチャー」それでもM&Aは推進

文:M&A Online記者 松本亮一

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