iPod発売から4年間、新潟県にある工場のわずか5人の研磨職人の技術がiPod裏面の鏡面加工を担当していました。
世界的ブランドがなぜ日本の小さな町工場に仕事を依頼したのか。その答えは日本の技術者たちの圧倒的な技術力にあります。
小林研業の社長、小林一夫さんは創業当初からの主力事業だった厨房品の研磨を止め、職人の高度な技術が必要な部品の研磨に転換しました。厨房品の研磨は大量生産が可能な中国の工場に敵わないと判断したためです。
iPodの鏡面加工技術は、小林さんの幾度にもわたる研磨道具の試行錯誤を繰り返した末に完成したもの。
多い時は小林さんを含む5人の研磨職人で月3~4万個のiPodを納品していたそうです。小林研業が納品したiPodは仕上げが美しいのに加え破棄不良が皆無であり、高い評価を得ました。
日本の小さな町工場の活躍は小林研業だけではありません。針が蚊の針のように細い岡野工業の「痛くない注射針」や、バレーボール、サッカーボールなどで世界的なシェアを誇るモルテンの「競技用ボール」、沖縄美ら海水族館の巨大水槽でギネス記録をもつ日プラの「水族館の巨大アクリルパネル」など、日本の工業製品の質の高さは世界的に認められています。
『世界が大切にするニッポン工場力』(根岸康雄/著、ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)には他にも世界で活躍する日本の企業のエピソードが多数紹介されています。手間を惜しまず、「より良いものをつくる」という技術者たちの熱意が伝わってくる一冊。
アジア各国で安価での大量生産が実現している今、日本の強みを再認識するべきなのかもしれません。
(新刊JP編集部/川口絵里子)
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