「65歳以上はクビって本当ですか」「私の契約は終わりですか」
今年8月以降、日本中の郵便局で期間雇用社員と呼ばれる、月給や日給制の契約社員や、アルバイト、パート社員が支店や労働組合の担当者を質問攻めにしている。
日本郵政グループは8月に突如、期間雇用社員に「来年4月1日以降、65歳以上の人とは契約更新しません」という内容の説明書を配布、“クビ”を宣言したのだ。
日本郵政グループは約41万人もの職員を擁するが、期間雇用社員が職員の約半分の20万人を占める。しかも、この制度の対象になる65歳以上が2 万人もおり、全社員の5%がいなくなる計算だ。
じつは65歳以上をクビにする規則は3年前に決められていた。2007年の郵政民営化で、それまでの任用(公務員)関係から雇用契約への移行に伴い、日本郵政グループと、郵政グループの最大労組であるJP労組は労働協約を結んだ。その際、期間雇用社員は65歳に達して以降は契約更新しないという決まりが盛り込まれていたのだ。しかも、その実行予定は今年10月1日からとなっていた。
対象者への説明責任があるはずだが、こうした労働協約が結ばれていたことを末端の現場職員のほとんどが知らなかった。民営化以前は年齢制限自体がなかったこともあり、驚いた高齢社員は「寝耳に水」で労組に殺到した。
じつは、支店の労組幹部もまた寝耳に水で、混乱に拍車をかけただけ。JP労組は、期間雇用社員の組織率向上を経営目標に掲げていた手前、そんな協約を結んだと積極的にアピールするわけにはいかなかったという事情もある。
かたや日本郵政グループも8月中旬まで高齢社員の契約更新打ち切りをおくびにも出していなかった。
だが、「7月の遅配騒ぎで10月の実施は不可能。年末年始のお歳暮・年賀状でまた遅配が起きれば経営陣は更迭だ。そこで事前周知不足を理由に半年先送りしたのだろう」と労組幹部は推測する。
いずれにせよ、賽は投げられた。
だが、65歳以上の高齢期間雇用社員の9割強は郵便事業会社に集中している。郵便は20万人の社員のうち、期間雇用は11万人で、クビになる2万人の9割だと、社員の1割近くが消える計算になる。
現場の幹部はこう口を揃える。
「遅配騒ぎで明らかなように郵便事業は合理化し過ぎて慢性的人手不足。しかも、短時間・低賃金労働が不人気で若者を採用できないから、年寄りだらけになった。人員削減をして、後任を補充できなかったら郵便事業はパンクする。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)

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