「絶対に自分が正しい」と反対意見を退けたり、物事を「0か100か」で判断したりしていませんか。自分では経験に基づいて正しい判断をしているつもりでも、その頑なさが「頭が悪い」「幼稚だ」という印象につながることがあります。


精神科医の和田秀樹さんによると、60歳から先は「頭がよい」の意味が変わるといいます。知識の多さや唯一の正解を導く力ではなく、異なる考えや複数の可能性を認められる柔軟性が、シニア世代の知性を左右するのです。

では、「頭が悪く見えてしまうシニア」には、どのような特徴があるのでしょうか。和田さんの著書『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』(飛鳥新社)から一部抜粋し、年齢を重ねても知的な印象を与える人になるために、見直したい考え方を紹介します。

■「頭が悪く見えてしまうシニア」8つの特徴
これからの人生を豊かなものにしてくれる「シニア世代の頭のよさ」とは、一体どんなものなのでしょうか。

「頭がよいシニア」を目指す前に、逆説的ではありますが、まずは「頭が悪く見えてしまうシニア」とはどんな人なのかを理解しておく必要があります。

私が思う「残念ながら賢い印象を与えづらいシニア」とは、たとえば以下のような人たちです。

・感情のコントロールができず、ところかまわず怒りをぶちまける。

・「絶対に自分が正しい」と決めつけ、反対意見や異論を認めない。

・物事を「0か100か」「白か黒か」という究極の二択でしか考えられず、中庸の精神や柔軟性といったものがない。

・テレビのコメンテーターの言っていることを鵜呑みにし、自分の意見をまったく持たない。

・言いたいことや考えがうまくまとまらない。


・変化を恐れて決まったルーティンのなかに閉じこもり、新しい挑戦に踏み出さない。

・「どうせ自分はダメだから」「もうこんな歳だから」とくよくよし、前向きに何かに挑戦することがない。

・自分に不足しているものばかりに目を向け、悲観的で、人生を楽しめない。

ざっとではありますが、このような特徴を持つ人たちは、残念ながら頭のよいシニアとは言えないな、賢く生きているとは言えないな、というのが私の見解です。

ということはつまり、これらと逆の人物像を目指せば、必然的に「頭のよい人」になっていくということです。

■意固地な人は「幼稚な印象」を与える
人生に対して前向きで、日々を楽しむことが上手。感情が落ち着いていて、ちょっとのことでは動揺せず、風格を漂わせる。そして、自分の軸や意見はしっかり持ちつつも、あらゆる考えを尊重し、理解を示すことができる。

そんなシニアがいたら、人間としての格の高さと、そこはかとない知性を感じませんか? そして、ちょっとしたコツさえ掴めば、誰でもそんな人になることはできるのです。

頭をよくするためにまず大切なのは、柔軟性を持つということだと思います。人間的にしなやかであるということは、シニア世代の方の知性に直結すると私は感じています。

年齢を重ねてきたということは、さまざまな経験を積んできたということです。
そのような豊かな人生経験を持つ人が、意固地になったり、一つの答えに固執したりする様子は、とても知的とは言い難く、幼稚な印象を与えてしまうでしょう。

私たちは学生時代、ただ一つの正解を答えられること、いわゆる「勉強ができる」ことが頭のよいことなのだと教育されてきました。あるいは組織や会社においても、結果や利益を効率的に出すため、ベストな方法を模索してきたことでしょう。

ですからどうしても、たった一つの答えを求めがちで、「あれは間違っていてこれだけが正しいのだ」と決めつけたくなってしまうものです。

そこからは「どちらもあり得るんじゃないの」という選択肢が抜け落ちています。

■「白か黒か」ではなくグレーも許容する
60代以上の世代になったのであれば、そういった姿勢をちょっと見直し、「あっちも正しいかもしれないし、こっちも正しいかもしれないよね」というスタンスをとるようにしてみてください。

白か黒かでジャッジするのではなく、グレーも許容することができ、複数の可能性を認められる人は、人としての成熟度が高く、そして知的な印象を与えます。

たとえば「どうやったら健康でいられるか」「どうやったら病気にならないか」ということに関しても、一つの答えに固執するのではなく、さまざまな選択肢を柔軟に取り入れようとすることは、人生の質に大いに関わってくると思います。
著者:和田秀樹(精神科医)
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。
著書に『80歳の壁』(幻冬舎新書)など多数。
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