累計発行部数2000万部超(電子含む)、30年もの長きにわたって多くのファンに愛され続けている少女漫画界の巨匠・篠原千絵の大人気コミック『天は赤い河のほとり』が、この夏初のアニメ化。突如古代オリエント世界に召喚された少女夕梨(ユーリ)が、自らの手で運命を切り開いていく愛と戦いの本格歴史大河ロマンとは! 今回は主人公の少女・ユーリ役の橘 美來と、彼女を匿ったヒッタイト帝国第三皇子であるカイル役を演じる加藤 渉に、本作の魅力や役を演じた感想などについて語ってもらった。


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――出演が決まったときのお気持ちからお聞かせください。

橘 まだまだお仕事経験が少なかったので、「本当かな?」ってビックリしたのが一番の感想です。夢かもしれないと思って誰にも言えなかったんですが、二週間ぐらい経ってようやく本当なんだって実感が湧いてきて。そこからは少しずつ嬉しさを噛みしめることができるようになりました。

加藤 実はオーディションのときは原作未読のままカイルを演じたんです。そのまま役が決まったので、「え? 本当ですか?」みたいな、ちょっと信じられないような気持ちになりました。

――お二人が役を射止めた決め手は何だったと思っていますか?

橘 それについて詳しくは聞いてないんです。でもまだそんなに収録経験のない私だからこそ醸し出すことができる初々しさやフレッシュさみたいなところをユーリに対しても反映していきたいの
かなと感じていたので、そうした要素を入れ込みながら演じていこうと思いました。

加藤 僕は満場一致でカイルに選ばれたそうです。オーディションでは、けっこうな数の軍勢を前に声をかける「全軍出陣!」というセリフがあったんですけど、それが良かったとは言われました。なので、たぶんその「全軍出陣!」で選ばれたんだと思います(笑)。

――連載終了から24年が経った今もなお熱烈なファンがいる大人気作品です。
役が決まったとき、プレッシャーと喜びのどちらが大きかったですか?

橘 もちろんプレッシャーも喜びもあったんですが、なかなかオーディションに受からずにいた中で決まった役ということで、ホッとしたっていう気持ちの方が大きかったです。応援してくれている皆さんにやっとお返しができるということで、私なりのユーリを一生懸命演じようと思いました。

加藤 僕は喜びの方が大きかったです。収録でもそうしたプレッシャーを感じるかなと思っていたんですが、隣にいる橘さんがもっとガチガチだったんです。それを見ていたら緊張もほぐれて、気楽にやらせてもらうことができました(笑)。

橘 加藤さんの役に立てて良かった(笑)。やっぱり現場に出ると周りはすごく素敵なキャスト陣ばかりで、大丈夫かなって不安があったんです。

加藤 でもガチガチだったのは序盤だけでしたよ。だんだん慣れていったし、主役のユーリとしての器量も感じました。

橘 本当ですか? ユーリと共に成長できたということで良かったです(笑)。

■橘 美來を虜にするユーリの愛らしさ

――原作や台本を読んで感じたこの作品の印象について聞かせてください。

橘 ユーリとカイルの空回りがちな恋の駆け引きだけじゃなく、ヒッタイトという国をユーリがかき乱していくその姿にすごくワクワクさせられました。
ユーリの活躍に目を奪われていくうちにどんどん物語の世界に入り込んでいく、そんな歴史ものとしても魅力的な作品ですよね。

加藤 絵が素敵すぎです。あまりにもイラストが美しすぎて、『天は赤い河のほとり~書簡~』の表紙イラストについてはタブレットの待ち受けにしているくらいです。それと僕は歴史好きだったりするので、政治劇だったり皇位継承を巡る物語も大好きなんですよ。ロマンス要素まで加わった大好物の物語にがっぷり四つで関われることに、すごく喜びを感じていました。

――お二人が演じるユーリとカイルはどんなキャラクターなんでしょうか?

橘 ユーリはある日突然、数千年の時を超えて古代オリエントに召喚されてしまった女の子です。自分が信じた先へまっしぐらに突っ走っていく、その突き進む力は誰にも負けないと思っています。時にはトラブルも呼んでしまいますが、そこもまた愛らしいんですよ(笑)。思わず「こらっ!」って叱ってしまいそうになるときもあるけど、でも許しちゃうみたいな。私自身もそんなユーリに虜になりながら演じさせていただきました。

――加藤さんから見てユーリってどんな女の子だと思いますか?

加藤 主体性をちゃんと持っている子ですよね。躊躇なく考えを行動に移せる反面、カイルに対して遠慮したり、奥ゆかしさを見せたりもして。
押し引きの両面でそれぞれの魅力を見せてくれるキャラクターだなって感じています。

――カイルはどんなキャラクターなんでしょうか?

加藤 カイルはユーリが召喚されたヒッタイト帝国の第三皇子ですね。最初の頃はユーリ視点で物語が進んでいくので、お調子者感のあるプレイボーイに見えると思うんです。でも内情がドロッドロな帝国、それもお兄さんが二人いるのに次期皇帝最有力候補という自分の立場を誰よりも自覚しているのもカイルなんですよね。そうした振る舞い一つひとつにも実はちゃんと意味があって、裏にカイルの真意が隠れていたりするんだっていうのは、本編を視聴していく中で皆さんにも感じ取っていただける部分だと思います。

橘 カイルは国に対する責任感がものすごく強い人だなという印象があるんですが、ユーリと出会って彼女に惹かれていくにつれて、心の中での国への想いとユーリへの想いのバランスが少しずつ変化していくんです。完成された人物に見えたカイルが、ユーリによってどんどん不器用に崩れていくところに可愛い人間味を感じますし、見ている皆さんも惹かれていくんじゃないかなって気がしています。

――それぞれ役を演じるにあたって、どんなところに気を付けながら演じましたか?

橘 ユーリについては、真っ直ぐに自分が信じた道を疑わないところが彼女の魅力だし特徴だなと思ったので、そこを意識しながら演じていった感じです。

加藤 カイルはオーディションのとき、より雰囲気を出せるかなと思って自分の地声よりも低いところを使ってみたんです。それで役が決まってしまったので、「この声で本編をずっとやらなければならないんだ」という覚悟をするところからのスタートになりました(笑)。ディスカッションはたくさんしましたね。皇子様感みたいなものを出そうとしたところ、「色気が多すぎます」との注意がありましたので、足し算ではなく引き算を考えながら演じさせてもらいました。


■加藤 渉が面白みを感じた高貴なカイルとの距離を縮める工夫

――特に演じていて難しかったことというと?

加藤 固有名詞が難しすぎです(笑)。まず父上がシュッピルリウマ(1世)さん、兄がサリ・アルヌワンダさん、ロイス・テリピヌさん、さらに弟たちも難しい名前でしたし、地名なんかもどれもこれも言いづらくて。アクセントについてもみんなで検討したりと、これらを全部流暢にしゃべらなければならないというのはすごく大変でした。

橘 私はユーリの心情に寄り添いながら演じていただけなので、そこまで戸惑ったり難しいって感じたりしたことはなかったかな。

加藤 ユーリはアクセントとか知らなくて当然だしね。うらやましい(笑)。

橘 でも物語が進むにつれてユーリも難しい地名や人名を口にする機会が増えていきましたので、「言えるかな」ってすごく震えたりもしたんですが(笑)。共演者の皆さんと一緒に、「頑張るぞ」って士気を高めながら収録をさせてもらった感じです。

――逆に演じていて楽しかったことは?

橘 ユーリが「カイル皇子~」って二人のラブラブな関係を見せつけるために演技するシーンがあるんですが、そこは台本にもハートが書かれていて。いつもと違うユーリということで、「お、来たぞ」ってなりました(笑)。

加藤 「ちゃんとこのハートを意識してやってください」みたいなディレクションがありましたよね(笑)。

橘 それどころかハートがないセリフにも「ハートを付けてください」って指示されたりして。
「やっちゃいましょう」みたいな感じのノリで、ギャグっぽくユーリを演じたシーンはちょっと楽しかったです。

――カイルを演じていて楽しかったところは?

加藤 僕は気の小さい人間なので、皇族みたいな振る舞いをしたことが今までなかったんです。なので役者として、生まれながらに持っている品位や、尊大に見えない高貴で自然な立ち居振る舞いをどう工夫して表現するかということには面白みを感じていました。特に僕はちょっと猫背気味だったりするので、収録中に背筋を伸ばしてカイルらしさをイメージしながら演じるように気を付けましたね。そんなふうに、僕とはあまりにもかけ離れているカイルとの距離感を縮めていくアプローチを試行錯誤するのは楽しかったです。

――ユーリとカイルの掛け合いで気を付けたことは何ですか?

加藤 なんか基本的にすれ違っているんですよね、二人ともずっと。

橘 そうなんですよ。なので会話では、モノローグの中のユーリの心情だったりを意識しながらお芝居をさせてもらいました。

加藤 カイルはユーリにちゃんと配慮しているのに、ユーリは「どうしてそういうことする?」みたいな行動を取るし、カイルも心の内で思っていることを言わずにユーリに対して素っ気なくしちゃうし。ずっと面倒くさい二人だなって思っていました(笑)。

橘 (笑)

加藤 そんな二人にも「ああ、ちゃんとようやく真心から会話ができた」ってフラストレーションから解放される瞬間が訪れるので、そこはぜひご期待ください。

――最後に放送を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。


橘 収録でキャストの皆さんの声が入ることによって作品世界がすごく広がった印象があります。アニメとしてさまざまな要素が加わったことで、物語への没入感を感じられる素晴らしい映像になっていますので、ぜひたくさんの方に見ていただけたらと思います。

加藤 手前味噌ですけど、自分が演じたカイルについて「いい芝居してんな」って映像を見ていて思いました(笑)。周りがキャリアのあるキャストばかりということもあって、自分の演技が見劣りするかもっていう不安はあったんです。でも音響制作チームの皆さんのお力もあって、ちゃんとカイルとしてこの物語の中にいられるなって感じられたので安心しました。個人的にも大満足な仕上がりの作品になっていますので、僕自身も放送を楽しみにしていますし、皆さんにもこの面白さを存分に味わっていただけたら嬉しいです。

橘 美來(たちばなみらい)
3月5日生まれ。ミュージックレイン所属。主な出演作はTVアニメ『魔王様、リトライ!R』(オルガン)、『IDOLY PRIDE』(長瀬琴乃)、『LUCA』(ネネ)、ゲーム『アカシッククロニクル~黎明の黙示録』」(ジミー、マーシャ)ほか。

加藤 渉(かとうわたる)
7月17日生まれ。主な出演作はTVアニメ『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』(ジュリアス ・フォン・パリスタン)、『怪獣8号』(市川レノ)、『ダンジョン飯』(カブルー)、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』(愛城恋太郎)ほか。

(C)篠原千絵/小学館/アニメ「天は赤い河のほとり」製作委員会
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