パナソニックはこのほど、ワイヤレスモニター付テレビドアホンの新製品 VL-X70AHSとVL-X70AHFを発売した。同製品は本体にエッジAIを内蔵したAIドアホンで、顔認証と自宅前の見守りなど、ドアホンとAIを組み合わせた機能で自宅の安全と安心をサポートする。


●フラッグシップモデルを9年ぶりにフルモデルチェンジ
 テレビドアホン市場は安定して推移してきたが、パナソニックでは時代のニーズに合わせてその機能が変化してきたという。2000年代はまだテレビドアホンの普及率が低かったため、既存のドアホンの配線を利用して来訪者の映像をワイヤレスの子機で確認できる機能が重要だった。
 2010年代になるとECの普及や共働き世帯の拡大により、外出先からでも来訪者に対応できる機能や宅配ボックスとの連携など、搭載機能は社会課題に対応するものへと変わってきた。
 そして現代においてはニセ警察官詐欺や特殊詐欺、闇バイトによる犯罪が社会問題化し、在宅していても安心とは言えない時代になっている。そのため、以前よりも暮らしの安心や安全が脅かされていると実感している人は多いのではないだろうか。
 同社は自宅のセキュリティに対する不安を少しでも取り除き、不幸な事件を1件でも減らすという目的で、ドアホンのフラッグシップモデルを9年ぶりにフルモデルチェンジした。それが、新製品のAI搭載ドアホンVL-X70AHS(以下、VL-を省略)とX70AHFである。
 両機種とも屋外に設置する玄関子機と室内のモニター親機、ワイヤレスモニター子機のセットで構成されている。X70AHSの玄関子機はX70AHFよりも大きく、外観はX70AHSが高級感のあるアルミ合金、X70AHFは難燃樹脂というのが両機種の違いだが、取り付け器具のサイズと機能面の違いはない。
 また、両機種とも本体を壁の表面にそのまま固定する露出設置に対応しているが、X70AHSは壁の内部に埋め込む埋込設置にも対応。玄関子機の出っ張りが少なく、壁とフラットになるので前述のアルミ合金による外観と合わせてデザイン的に見栄えが良いのがポイントだ。
●サーバーを介さず即時判断できるエッジAIを採用
 新製品の最大の特徴が、玄関子機のカメラユニットにAIを搭載したことだ。
一般的なテレビドアホンの玄関子機にはカメラが付いていて、来訪者を確認することはできる。しかし、誰が来たかはモニターに映し出される映像を見るまで分からない。
 そこで前述のとおり、カメラユニットにAIを搭載することで来訪者の検知はもちろん、玄関子機周辺の動物や車には反応せず、人のみを検知することが可能となった。さらに、この搭載されたAIはクラウドを介さないエッジAIである点も大きなポイントだ。
 通信でサーバーにデータを送り、そこでAI処理をするクラウドAIは処理能力の高さや自由度に優れる反面、通信経路にトラブルが生じた場合、肝心のAI処理ができなくなる。新製品に採用したエッジAIは、クラウドにデータを送らずにその場で処理できる。
 また、クラウドAIはデータ送信のためのアカウントの取得や設定などが必要で、知識を有していないとハードルは高い。
 同社では「エッジAIなら、例えば高齢者でも難しい設定をせずに来訪者を検知してくれるメリットがあります。また、これまでのフラッグシップモデルでは便利な機能を搭載しているのに使われていないという悩みもありました。新製品の開発では誰でも簡単に使えるという点を重視し、その解がエッジAIでした」と説明する。
 ドアホンは単なる訪問客対応だけの機器ではなく、暮らしの中で生活者に寄り添う新しいデバイスになっていくべきと同社では考え、その第一歩となるのが今回の新製品と位置づけている。●AIが来訪者を確認して次のアクションを起こすAI顔認証
 新製品のAIドアホンの特徴をいくつか紹介しよう。
まずは『AI顔認証』。これはAIドアホンにあらかじめ顔情報を登録するもので、スマートフォンの写真でも来訪時のカメラが撮影した画像でも登録が可能だ。登録件数は最大30件で、家族はもちろん友人や知人、エリア担当の宅配業者などの登録もできる。
 顔の登録では正面を向いた顔のみ登録可能で、横顔では登録不可。登録時は顔を無数の点が集まったものとしてデジタルデータ化する顔点群の手法を採用し、認証時は玄関子機搭載の広角レンズの歪みを補正して認証の精度を上げる工夫がされているという。
 『AI顔認証』では、「登録名読み上げ」「自動メッセージ応答」「おかえりメッセージ」の3つの機能がある。登録名読み上げは、室内のモニター親機が顔を登録した来訪者の名前を読み上げる機能。誰が来たかを音声で伝えるので、モニター親機から離れた場所にいても分かる。
 来訪者に対して、自動でメッセージを流して名前と用件を尋ねるのが自動メッセージ応答。未登録の来訪者に対しては「録画を開始します。お名前とご用件をお話しください」とのメッセージが流れる。録画することを来訪者に伝えるので、防犯が期待できる機能である。

 メッセージはいくつかのパターンがあり、宅配応答では玄関前や宅配ボックスへの置き配を伝えることも可能だ。いずれも設定はモニター親機で行う。
 おかえりメッセージは、事前に親が自分の声でメッセージを録音しておけば、子どもが帰宅した際などに玄関子機から「おかえり」のメッセージが流れる機能。親が不在の場合でも在宅しているかのように見え、これも防犯につながる機能だ。
 また、呼び出し前映像機能も搭載している。実はモニター画面で来訪者が呼び出しボタンを押す2~3秒前から録画は始まっており、モニター親機で現在と呼び出し前の両方の映像を同時に表示することができるのだ。
 例えば来訪者が呼び出しボタンを押す前は顔を隠していたり、何かの不審な動きをしていたりしても、その映像をその場で見て、対応により注意を払うことができる。これも防犯対策としては非常に効果的な機能といえるだろう。
●AI自宅前防犯は自宅前の様子をカメラとAIで常に見守る
 AIドアホンの2つ目の特徴が『AI自宅前防犯』。これには「うろつき検知」と「敷地内検知」の2つの機能がある。うろつき検知は、エリア内に約30秒間留まった人物をAIが検知して自動録画する。敷地内検知は敷地に入ってきた人物を検知して録画し、さらに玄関子機から音声で警告したり、スマートフォンに通知したりする機能だ。

 いずれの機能も玄関子機のカメラとAIを組み合わせたもので、人物を認識する仕組みは同じだが、エリア内で約30秒間留まっている人を検知するか、エリアに入ってきた人を即時検知するかの違いと同社では説明する。
 玄関子機に搭載されたカメラが捉える水平画角は170°で、約10m先の範囲までカバー。そのため、自宅近くで立ち話をしている近隣の住人も検知してしまうので、両機能を活用するには事前に検知するエリアを設定する必要がある。
 エリアの設定は非常に簡単だ。モニター親機が捉える外の映像はマスで区切られており、指定したいエリアのマスを押して色を変えるだけ。マスの大きさも変更することが可能なので、自宅前の状況に合わせて細かく設定ができる。
●スマートフォンでも来客対応可能
 三番目の特徴が、『IoT連携』である。これはルーターでAIドアホンのモニター親機をインターネットに接続し、ほかのIoT機器と連携すると、さらに便利な機能が活用できるものだ。連携するIoT機器も含めて、いくつかの例を紹介しよう。
 まずはスマートフォンとの連携。同社の「ドアホンコネクトS」アプリをスマートフォンにインストールし、AIドアホンと連携させるとスマートフォンに映像と音声が伝達され、外出先でも来客対応が可能となる。
 物理的な鍵がなくても解錠できる電気錠のスマートロックは近年、徐々に普及しつつある。
AIドアホンは、このスマートロックとも連携できる。
 スマートロックは基本的には日本電機工業会(JEMA)の標準HA端子をもつ端末機器、またはA接点入力対応の機器が連携可能。前述のAI顔認証で顔を登録した人物をカメラが認証し、さらにスマートフォンのBluetoothで認証が合致すれば解錠できる。
 玄関子機のカメラが見張るのは、あくまで玄関の周辺エリアで、家の周囲まではカバーできない。そこで、家の周囲もカバーして見守るのが、パナソニックの屋外センサーカメラ VL-CX800K(以下、VL-を省略)だ。これをAIドアホンと連携させることで、玄関子機ではカバーできない範囲もCX800Kがカバーする。1台のAIドアホンに最大4台まで接続が可能だ。
 CX800Kの外形寸法は取り付け用の壁掛けアダプターも含め、高さ約178mm×幅162mm×奥行64mm。電源コードも含む重量は約1500gだ。カメラは高感度CMOSセンサーを搭載し、約200万画素での撮影が可能。屋外使用のため防塵防水性能はIP54で、本体内部へのホコリや水の侵入を防ぐ。室内のモニター親機とは有線でも無線LANでも接続ができ、住宅の状況に応じた接続方法を選べる。

 CX800Kは人感センサーを内蔵し、検知範囲内に人を確認するとモニター親機が音を発してカメラが捉えた映像をすぐに表示する。連携しているスマートフォンでは通知がポップアップで表示され、タップするとアプリが起動してカメラの撮影画像が表示される仕組みだ。
 いずれもリアルタイムで外の状況を確認することができ、木の揺れや車のライトなどには反応せず、人だけに反応するという。夜間にセンサーが反応すると内蔵のLEDが点灯し、周囲を明るく照らして犯罪を未然に防ぐ。
 また、単に外の状況を確認できるだけでなく、モニター親機やスマートフォンを通してCX800Kから音声を発し、犯罪者を威嚇することも可能だ。
 IoT機器との連携はこれだけにとどまらない。電話機とつなげば来客対応が電話でも可能で、窓やドアの開閉センサーと連携すると、窓やドアの開閉状態をモニター親機で確認することができる。火災警報器やガス警報器との連携ではモニター親機や玄関子機から警報音が鳴り、音声アナウンスが始まる。
 宅配ボックスに荷物が届くと、モニター親機やスマートフォンに通知する連携も可能。これらのIoT機器との連携は本来の防犯対策に加えて、防災対策や利便性の向上にも大きく貢献するのだ。
●非常通知機能で異常事態発生アラートを発報
 ここまで紹介してきたAIドアホンの特徴に共通するのは、犯罪者の侵入をいかに防ぐかということである。しかし、最近の犯罪では在宅時にもかかわらず侵入を試みるケースもみられる。その際に大きな効果が期待できるのが、非常通知機能だ。
 AIドアホンのワイヤレスモニター子機の背面には、非常ボタンが配置されている。ボタンを押すとモニター親機や玄関子機が大音量で鳴り、侵入を試みた犯罪者を驚かせると同時に家の近隣にも異常を知らせることができる。
 この非常通知機能は、まさに非常事態が起きたときでも在宅者の安全を守るAIドアホンならではの独自機能。ワイヤレスモニター子機は最大6台まで連携でき、別売りで単体のワイヤレス非常ボタンもあるので、各部屋に配置しておくと万が一の場合でも安心だ。
 パナソニックが関東首都圏の一軒家に住んでいる男女800人に対して行ったアンケート調査で、【昔と比べて玄関を開けて対応することが怖くなったと感じますか?】との問いに、57.1%が「感じる」と回答した。
 また、【ドアを開けさせようとする強引なセールスや勧誘、不審な訪問を経験したことがありますか?】に対しては36.8%、つまり3人に1人が「ある」と回答している。これらのアンケートから、一軒家に住んでいる人の多くが来訪者に対して不安を感じていることが分かる。
 近年、財産を狙う窃盗や詐欺の被害額は急増している。防犯対策はさまざまあるが、AIとカメラ、各種のIoT機器と連携して住宅の安全と安心を守るパナソニックのAIドアホンは、これまでの防犯対策から一歩進んだ防犯対策へとシフトできる製品である。
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