「老後2000万円問題」が話題となってから数年が経ちました。しかし、物価上昇や医療・介護費の増加を考えると、必要なお金はさらに増える可能性があります。


本記事では、『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(横山光昭・関口博美 /小学館)より、老後資金の現実と今からできる備えについて紹介します。
○生活費の「2割削減」で不安を解消する

老後資金を増やす方法は、「支出削減」「収入確保」「資産運用」の三つに尽きます。中でも多くの人が取り組みやすく、効果を得られやすいのが支出削減です。

新NISAが始まり、資産運用に目が向きがちですが、家計のあり方を見直し、支出を削減していくほうが、効果は確実に得られます。何よりリスクがありません。

定年間際の方の家計を見ていると、住宅ローンの返済も終わり、子どもが独立したにもかかわらず、現役時代のあり方と何ら変わらない収支の方が大勢います。

大きな支出がなくなった安心感からか、ムダ遣いが膨らんでしまっているのでしょう。
「定年後は生活費が自然に減る」と当て込んでいたのに、老後資金が予想以上のペースで減っていく……。

現役時代に貯めた資金で老後は十分に暮らせそうな方、たくさんの退職金や企業年金を受け取れるのに80歳までに破綻してしまいそうな方。老後の家計のあり方は十人十色、千差万別ですが、支出を見直すことの大切さは改めて認識させられます。

では、老後はどのくらい支出を減らせばよいのでしょうか。総務省の家計調査のデータをもとに結論から申し上げると、一般的に生活費などの支出を「2割」削減できれば、老後資金の不足はほぼ解消できると思われます。


この「2割」という数字を厳しく感じる方もいらっしゃると思います。ですが、実行してみると意外に現実的な数字だと実感できます。

○10年で200万円、20年なら400万円超の黒字に

図①はふたり以上の世帯のうち、65歳以上の無職世帯の家計収支をまとめたものです。

65歳以上全体を見ると、「実収入」から社会保障や税金などの「非消費支出」を引いた「可処分所得」は、23万1198円。一方の「消費支出」は26万4149円のため、収支は3万2951円の赤字となっています。

この消費支出を工夫して2割削減できれば、消費支出は21万1319円となり、収支は1万9879円の黒字に転換します(図②参照)。これが1年続けば年間23万8548円、10年なら約239万円、20年なら約477万円もの黒字となります。

毎月の収入だけで暮らしていけるわけですから、老後資金を取り崩す必要はありません。単純な計算ですが、生活費を削減することの重要性がご理解いただけると思います。

○老後資金は2000万円でなく「3000万円」が目安

一方、仮に2割の支出削減をしなかった場合、65~69歳は毎月5万1287円、70~74歳は同3万7245円、75歳以上は同2万7225円の赤字が続きます(図①参照)。この数字に基づき、65歳からの20年間の赤字の総額を試算すると、約858万円です。

収入を増やしたり、貯蓄を切り崩したりしながら、この赤字をまかなわなければなりません。
医療費や介護費、住宅リフォーム代などがかさめば、さらに数百万円が必要となるでしょう。

私たちは「老後に必要な資金はいくらか」と聞かれたとき、生活費を補填するお金に加え、娯楽や医療・介護、住宅リフォームなどの臨時支出に対する予備費として、夫婦で1000万円ほど準備しましょうと伝えています。

さらに20年分の赤字約858万円を加算すると、少なくとも1858万円以上は準備したいというのが私たちの試算となります。

ちなみに、かつて世間を騒がせた「老後2000万円問題」は、家計調査の高齢者の赤字の平均額が夫婦の場合に毎月5万5000円ほどあり、30年分で計算すると約2000万円になるという話でした。

これに予備費の1000万円を加えると、老後資金は3000万円ほど必要とも考えられます。

一方、収入の柱となる「年金」の受給額は働き方や加入期間により大きく異なります。
先の表(図①)にある65歳以上の社会保障給付は21万3731円。これは平均的な数字ですが、じつはご自身がどれくらいの年金を受け取れるか、全然把握していない方が少なくありません。

まだ受給年齢に達していなくとも、年金加入の実績を記す「ねんきん定期便」を見れば、50歳以上の方は具体的な受給額がわかります。それにより、老後の生活費の使い方も検討しやすくなります。

○『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(横山光昭・関口博美 /小学館)

著書累計400万部超!多数のベストセラーを輩出し、メディア等でも活躍するカリスマFPの横山光昭さんが、同じくメディア等で活躍するFPで妻の関口博美さんと、初めての共著を書き下ろし!6人の子を持つ横山夫妻は、どのようにして育児、教育資金を捻出し、互いの趣味であるお酒やクルマにお金を使いながら、老後資金を増やしているのか。3万件のマネー相談で培った具体的な「マネーテクニック」だけでなく、夫婦が実践する「ウラ技」も惜しみなく公開します!
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