『キングオブコント2024』で王者に輝いたラブレターズ。テレビ映えするポップなネタもたくさん持っている彼らだが、結成当初からコンスタントに開催してきた単独ライブこそ、彼らの本拠地だ。

チャンピオンになってからの単独ライブの変化とは? また、栄冠を手にした彼らの、次なる大きな野望とは?

【写真】コント王者の貫禄も? ラブレターズ、撮りおろしショット

■優勝して自由度も無駄も増した単独ライブ

――お2人はほぼ毎年単独ライブを開催されていますが、2024年に『キングオブコント』王者になってから行われた昨年の単独は、それまでとは違う感覚でしたか?

塚本直毅(以下「塚本」):そもそも単独ライブでは自由なことをやりたいと思っていたんですが、どうしたって賞レースを意識せざるを得なかった。それが本当に純粋に、好き勝手できる場所になった感覚ですね。2人でネタの相談をしていても、「もっとわかりやすいように」「笑いやすいように」と考えたあとで「もうそんなんいっか!」となったりして。自由度が増しました。

溜口佑太朗(以下「溜口」):単独ライブ後に反応を見て「このネタなら賞レース行けるかも」という話し合いをしなくてよくなって、不純物がなくなった感じ。優勝後は、ろ過されたものを単独で見せられている気がします。

塚本:観にきてくれた芸人仲間も、毎年「今年はあのネタ(が賞レース向き)だね」とか言ってくれていたんですよ。でも、単独ってそのためにやっているわけじゃないのになって思ってた。それがなくなったのはデカいですね。観にきてくれたお客さんも本当に楽しそうだし、感想もシンプルに「楽しかった」になって、それでいいよなって思うんですよ。

溜口:確かにね。

塚本:元々無駄が好きなので。
有田(哲平、くりぃむしちゅー)さんの『耳笑』というAudibleの番組に出させていただいたとき、有田さんが1人で「セールスの電話に対応し続ける」という音声コントを7、8分やっていたんです。それがまったく意味のない会話で。「ああ、こういう笑いめっちゃ必要だ」と思ったんですよ。テレビや賞レースでは難しいけど、単独だったら自由にできる。

溜口:デメリットとしては、単独ライブで好き放題やりすぎて、テレビでできるネタが一切なくなっちゃった(笑)。そこの塩梅を今測っている状態ですね。

――逆に言えば、テレビでは決して観られないネタが観られる場所。

溜口:そうですね。無駄にお金かけたり、固有名詞がめちゃくちゃ出てきたり。

塚本:「この時間、何だろう」と思うようなネタとか。

溜口:初めてお笑いを観にきた人に「こんなことやっていいんだ」と衝撃を与える内容になる可能性もあります。

――お2人の単独ライブといえば、コントとコントの間を、短いコントで繋いでいくのが特徴ですよね。
つまり、開演から終演まで、ノンストップでコントをやっていることになる。


塚本:なんとなく続けてきてしまってますね。

溜口:やりたくないと言えば、やりたくない。

塚本:マジでやりたくない。ほんとに疲れるから。

溜口:ネタが7本あったらその合間を6本のコントで繋ぐので、倍の数やってることになる。

塚本:無駄なコント。

溜口:映像で繋ぐ人も多いですけど僕らは苦手なので、やれることを探していったらこれになったというだけの話で。あと、先輩のシティボーイズさんが初めてコントの合間を映像で繋いだ人たちという話があって、だとしたら後輩の僕らは違うことをやらなきゃいけないということで。昔は着替えで繋いだりもしていたんですよ。

――先輩のザ・ギースさんのスタイルですね。

溜口:そうです、ギースさんと同時期、いや、なんなら僕らの方が早かったんじゃない?

塚本:絶対早かった。


溜口:なのに勝手に特許申請されてて!

塚本:まさかちょい上の先輩にパクられるとは(笑)。

溜口:だからまあ、一番の武器で繋げるならそれがいいよねと今の形になったわけで、続けていけたらと思います。

――合間のコントは、それぞれのコントを作った後に作るんですか?

塚本:そうです。本編のコントで手一杯なので、溜口さんの力も借りて、話し合って作っています。

溜口:本当にこれは大変ですから。1回で2本の単独が観られると思って観てほしいです。

■蓮見翔を見出したのは俺たちだ!

――近年のラブレターズの単独では、ダウ90000の蓮見翔さんが作るコントが必ず1本ありますよね。

塚本:蓮見くんが大学出て1、2年目くらいからやっているので、もう5年目かな?

――先見の明ですね。

塚本:そう、これは太字で書いといてください。

溜口:早かったよね。蓮見翔を見出したのは俺たち。……悔しいっすよね。
今、本当にいろんな方が蓮見くんとお仕事をされて、みんな自分が見つけたみたいな顔してますけど、僕らは昔から蓮見翔のネタが面白いといろんなところで言っていたわけで。

塚本:僕らはずっと観てますよ。

溜口:毎回すごいクオリティのものを出してくれるので、ありがたいですね。

塚本:めちゃくちゃ助かってます。そこでちょっと色が変わるし。毎回僕らに当て書きしてくれるので、僕ら世代のこととか、子どもがいる親目線のあるあるとか書いてくれるんですよ。若いのになんでそんなこと知ってるんだろうと思います。

溜口:僕らが普段使っている言葉で書いてくれるから、セリフが覚えやすいんですよ。あと、蓮見のネタをやると「溜口さんすごい」「お芝居もいけるんだ」と思われるから、ありがたい。

塚本:僕からしたら、「蓮見のネタが一番面白かった」と言われないようにするという戦いもあります。実際、言われたこともありますし。でもそのおかげで、単独でできたネタで7年ぶりに『キングオブコント』決勝に行けたので、鍛えさせてもらってますね。
マリオカートのゴーストみたいに。

溜口:年齢、一回り下だけどね。

塚本:でも大先生だから。

溜口:そりゃあ蓮見人気にあやかりますよ! だって、僕ら(タモリを見出した)赤塚不二夫だから。最後まで面倒見てくれよって思ってます。

――もう一つ、溜口さん作のコントもありますね。

塚本:溜口さんのコントはただ楽しいだけです。僕からしたらすごいですよ、あんなコントを書けるなんて。

――お2人のラジオ(『ラブレターズの階段腰掛け男』/TBSポッドキャスト)で、コントを芥川賞と直木賞に分けるお話がありましたよね。塚本さんが書くコントは純文学的で芥川賞っぽいと言われていましたが、それでいうと溜口さんのコントはエンタメ=直木賞的ですね。

溜口:そうですね。ただ、僕は普通に正統派コントを書いている感覚なんですよ。
先日、事務所ライブで僕作のコントを披露したら、ゲストのお抹茶(元トンツカタン)が「自分の単独ライブに活かせそうです」と言ってきて。僕はダウ90000とかに影響を与えたかったのに、いつも変なネタをやっているお抹茶に響くネタだったのかと。でもうれしかったですね。今回も塚本さんとも蓮見くんとも毛色の違うネタを入れられたらと思います。

――そんなバラエティに富んだネタをそろえて、今回は初の4都市ツアーですね。大阪、名古屋、東京、そして初の仙台。

溜口:大阪、名古屋の方はファミリー感が強くて、一度来てくれたらもうそこからずっと来てくれる方も多いし、開演前に音楽が鳴ったらもう拍手してくれたりして、熱量がすごいんですよ。

塚本:あれうれしかったな。名古屋は、僕の出身の静岡が近いので、(優勝ネタの中にも登場した)ジュビロ磐田のサポーターの方がユニフォームを着て観に来てくれて、僕らをきっかけにお笑いを好きになりましたと言ってくれる方がいたりして、めちゃくちゃうれしいですよ。

溜口:東京にいても、「離れた場所に応援してくれている人がいるんだ」と思うだけですごく励みになるんですよ。だから仙台の方にもぜひ来ていただきたい。

塚本:これはぜひ。

――溜口さんはヤクルトファンとしても活躍されていますが、ヤクルトファンの方が単独に来たりも?

溜口:まあ……。

マネージャーさん:いらしてますよ! グッズを身につけた方をお見かけします。

溜口:よかった。ヤクルトファンはあまり表に出さない、控えめな方が多いんですよ。9~10月は一番大事な時期ですけど、合間を縫って神宮から赤坂まで駆けつけてほしいですね。

■“シティボーイズ超え”を目指して

――最大の目標であった『キングオブコント』優勝を果たし、単独ライブもより自由になって、これからのラブレターズはどこへ向かうんでしょうか。

溜口:まあ、名誉も得て、地位も上がって。

塚本:背だけ低いままで。

溜口:あとは下げる作業じゃないですか? 我々は偉くなったら終わりなので。ずっとチャレンジャーなんですよ。『キングオブコント』への挑戦を終えて、ようやく自分たちのスタイルとかやりたいことの輪郭がくっきりしてきた感覚があるので、明確に「ラブレターズといえばこれだよね」というのをディグる作業をこれからはしていきたいなと思います。

塚本:確かにね。シティボーイズさんがいい見本ですけど、やっぱりワクワクする、面白いおじさんになりたいじゃないですか。あの人たち、年齢を重ねるごとに面白くなっていくんですよ。

――大きな目標が事務所にいるわけですね。

溜口:でも、シティボーイズを超えないと、この事務所にいる意味がないですから。将来的にはそこを目指します。

――後輩も増えてきて、先輩として事務所を引っ張っていく場面も増えてきたかと思いますが。

溜口:シティボーイズは超えたいと思ってますけど、後輩には超えられたくないんですよね。いい結果を出されると嫌。

塚本:なんかすごいこと言ってるよ?(笑)

溜口:「やっぱ超えられないっす」とか言われたい。まあでも次世代のエースは、十九人と破壊ありがとうなので、彼らが活躍して、新たに事務所に入りたい人が出てきたらうれしいですよね。

塚本:そうだね。あと最終兵器のシンボルタワーさん(※芸歴20年ながら、事務所には最近所属した若手芸人)も。

溜口:僕ら、事務所に若手6組なので、トニセンとカミセンに分かれてるんですよ。ザ・ギースさん、阿佐ヶ谷姉妹、我々がトニセン、十九人、破壊ありがとう、シンボルタワーがカミセン。

――シンボルタワーさんはコンビ歴がかなり長いですが、カミセンなんですね。

溜口:シンボルタワーさんは三宅くんです。十九人が岡田くんで、破壊ありがとうが森田くん。強いですよ、うちのカミセンは。特に三宅くんが。

――これからの事務所全体の活躍も楽しみです。話は戻りますが、単独ライブについて、最後にこの記事を読んだ方に呼びかけを。

塚本:行こうか迷っている方は、まずこの記事をリポストしていただきたい。周りの人に声をかけていただきたい。それくらい、我々は仙台にツテがない!

溜口:そんなことやったら距離置かれちゃうよ。どんな内容か、とか言わないと。

塚本:僕らの単独は90分間、全部話がつながっている作品のような感じになっているので、演劇好きな人にも観ていただきたいです。一旦観て、次行くかどうか判断してもらえればと思うので、まずは劇場にぜひ。

溜口:全部話がつながっているというとハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、敷居は低いので。全部バカバカしい、くだらないネタですから。老若男女の方に笑っていただけるはずです。あと、「ラブレターズの単独ライブ行った」と言ったらマジで通ぶれる。

塚本:今ラブレターズっていうのは、確かにちょうどいい塩梅かもしれない。

溜口:「あえてそこ行くんだ?」と、かませると思いますので。キングオブコントチャンピオンの単独ライブだから、絶対に外れないですし。あと、大竹涼太マネージャーも受付にいますんで、『ゴッドタン』(テレビ東京)が好きな方もぜひ。

塚本:1回生で観たほうがいいよな。

溜口:「思ってたよりちっちゃいんだな」と思うだけでもいいので。ずっと楽しい時間なので、ぜひいらしてください。

(取材・文:釣木文恵 写真:明田川志保)

 ラブレターズ単独ライブ2026『溺愛』は、9月29日~10月4日に赤坂RED/THEATER(東京都)、10月6日に誰も知らない劇場(宮城県)、10月8日・9日に名古屋市中村文化小劇場(愛知県)、10月11日に新世界ZAZA HOUSE(大阪府)にて開催。

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