日米韓3カ国が、北朝鮮による暗号資産(仮想通貨)窃取を単なるサイバー犯罪ではなく、核・ミサイル開発を支える資金源そのものと位置付け、対策を新たな段階へ引き上げた。米国務省は27日、ワシントンで25、26日に日米韓のサイバー作業部会を開催し、北朝鮮による暗号資産窃取や資金洗浄への対応強化で一致したと発表した。
今回の会合で最大の特徴は、政府機関だけでなく暗号資産業界やサイバーセキュリティー企業など民間セクターとの合同会合を初めて実施した点だ。北朝鮮の攻撃対象が暗号資産取引所やブロックチェーン関連企業など民間企業に広がる中、「政府だけでは防ぎ切れない」との危機感が背景にある。外交、金融、サイバー、防衛、さらに民間企業までを含めた包括的な対抗体制の構築が本格的に始まった格好だ。
会合では、北朝鮮による悪意あるサイバー活動やマネーロンダリング(資金洗浄)、制裁逃れへの対応を巡り、法執行機関同士の連携や対北制裁の履行強化が重要との認識を共有した。また、北朝鮮の完全な非核化を目指す方針も改めて確認し、暗号資産窃取対策が核・ミサイル開発阻止と一体不可分であることを鮮明にした。
米国務省によると、北朝鮮は今年だけでも約5億7500万ドル(約930億円)相当の暗号資産を盗み出した事例が確認されている。米ブロックチェーン分析企業TRM Labsは、2026年に世界で発生した暗号資産ハッキング被害額の76%が北朝鮮系組織によるものと分析しており、制裁下で外貨獲得手段を失った平壌がサイバー空間を「国家財政」の一部として利用している実態が浮かび上がっている。
各国が特に警戒するのは、攻撃手法の急速な高度化だ。会合では、北朝鮮のIT技術者が人工知能(AI)を活用し、自然な外国語による接触や偽装履歴書の作成、ソーシャルエンジニアリング(心理的誘導)を駆使して企業内部へ浸透するリスクについても議論された。従来のコンピューターシステムへの侵入だけでなく、「人間」を標的にした工作活動へと重点が移りつつあるとの認識で一致した。
さらに3カ国は、北朝鮮のサイバー脅威に対する認識を欧州や東南アジア、アフリカなどへ広げる取り組みも強化する方針を確認した。北朝鮮のIT技術者やダミー企業は世界各地で活動しており、盗み出した暗号資産は複雑な資金洗浄ルートを経て核・ミサイル開発資金へ転用されるとみられているためだ。
日米韓が目指すのは、ハッキングを「防ぐ」だけではない。盗んだ暗号資産を追跡し、換金や資金洗浄を封じ、核・ミサイル開発へ流れる資金そのものを断つことにある。北朝鮮とのサイバー攻防は、もはやコンピューター犯罪対策ではなく、安全保障と国際金融秩序を守るための新たな戦いへと発展しつつある。








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