米ブロックチェーン分析企業TRM Labsが公表した2026年上半期の暗号資産犯罪に関する報告書で、北朝鮮と関連するハッカー集団による暗号資産(仮想通貨)の窃取額が約6億4300万ドル(約1037億円)に達し、世界全体のハッキング被害額の約66%を占めたことが明らかになった。世界で盗まれた暗号資産の3分の2を北朝鮮が奪った計算となり、同国による国家主導のサイバー犯罪の脅威が改めて浮き彫りになった。
報告書によると、被害額の大半は今年4月に発生した2件の大型事件によるものだ。分散型金融(De-Fi)プラットフォーム「Drift Protocol」を狙った攻撃では約2億8500万ドル(約460億円)、イーサリアム系リステーキングプロトコル「Kelp DAO」を標的とした攻撃では約2億9200万ドル(約471億円)が流出。一度の攻撃で500億円近い資産を奪い取る能力を示した形だ。
北朝鮮の上半期の窃取額は前年同期の約17億ドルから減少したものの、TRM Labsは「攻撃能力が低下したわけではない」と分析する。昨年のような超大型事件が少なかったためであり、国家支援を受けたサイバー部隊は依然として世界でも突出した能力を維持しているという。
むしろ注目すべきなのは、その「効率性」だ。世界中で発生した数多くのサイバー攻撃の中で、北朝鮮はわずか数件の成功によって世界全体の被害額の3分の2を占めた。軍事組織さながらに綿密な情報収集を行い、暗号資産システムの脆弱性を突いて一撃で数百億円規模の資産を奪い去る手口は、通常のサイバー犯罪集団とは一線を画している。
さらに報告書は、この数字にはハッキングだけが含まれている点も強調した。フィッシング詐欺や暗号資産詐欺、海外企業へのIT技術者の偽装就職、不正送金や資金洗浄などによる収益は含まれておらず、北朝鮮が暗号資産関連で実際に得ている収益はさらに大きい可能性があるとしている。








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