6月から「不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)」が保険で利用できるようになった。
対象は、(1)うつ病もしくは不安障害を合併する不眠症の患者、(2)2種類以上の睡眠導入剤を飲んでも効果不十分だと医師が判断した患者で、不眠症でも重い部類に入る。
CBT-Iは、「眠らなきゃ」という強迫的な思い込みを解消しつつ、ベッド/寝床=安心して眠れる場所という認知を強化する方法だ。薬物療法に匹敵、症例によっては上回る効果があり、開始後数週間で効果を実感できるという。
睡眠導入剤を服用していない、慢性不眠症患者を対象にした複数の試験を総合的に解析した結果では、CBT-I単独vs.薬物療法単独とで寛解率(患者の自己申告による)を比較すると、治療開始8週後、24週後のいずれの時点でもCBT-I単独群が有意に優れていた。
CBT-I単独群とCBT-I/薬物療法併用群との比較では、8週後の寛解率は併用群が高かったが、24週後では有意差はつかなかった。薬の副作用や依存性を考えるとCBT-I単独のほうが安全だといえるかもしれない。
興味深いのは、CBT-I単独群では睡眠時間がおよそ20分短縮したにもかかわらず、患者の「満足度」が高かったことだ。おそらくCBT-Iの一つである睡眠制限法――ベッドタイムを意識的に制限することで逆に深く眠り、より質の良い睡眠を確保できたのだろう。
今回の保険適用では薬物療法との併用になるが、対面のCBT-Iで自分にとって心地よい睡眠リズムをつかんだ後、ゆっくり減薬すればいい。
また、同時に保険適用された日本初の不眠障害治療用アプリ「メドクル(サスメド社)」は、逆に薬物治療歴がない軽症~中等症の不眠症が対象。医師の処方のもとでアプリを入手し、スマホでCBT-Iを原理としたコンテンツを利用するもので、薬物療法と比較して長期的な寛解率と持続率が高い。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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