9月9日、SKE48が37枚目のシングル『ため息未来』を発売する。その選抜メンバーに復帰した入内嶋涼は、人知れぬ苦悩を隠して活動してきた。
彼女はいったい何に悩んできたのか。今回メディアに初告白した。

【写真】37thシングル『ため息未来』で選抜入りした入内嶋涼【5点】

アイドル8年目を迎えた入内嶋涼は、かつてない崖っぷちに立たされていた。こんな感情に陥ったことはなかった。今年4月のことだ。SKE48・Team Sはオリジナル新公演「ずっと君を探している」公演の準備に追われていた。

その新公演は、昨年、新チーム体制になってから初めて行われるオリジナルのものだった。自分はどのポジションになるのか――。

その公演は定員12名で行われる。Team Sは全15名。ということは、3人は初日に出られないことになる。結果、初日公演は15人全員で出演することになり、入内嶋も出演した。
だが、その3人と交代で出演する、別の3人の枠に入った。

入内嶋 それが本当に悔しくて。まさか自分がそうなるとは思っていなかったんです。新公演のレッスン期間中、落ち込みすぎて、まわりのメンバーともあまりしゃべれなくなりました。

予兆はあった。入内嶋はこの2年、シングル曲の選抜メンバーから外れていた。

入内嶋 私が初めて選抜メンバー入りしたのは『告白心拍数』でした。その次のシングルが発売さる前、私はスタッフさんに呼ばれました。普段はない面談なので、そこで察しました。次は外れるという報告だろうなって。案の定そうでした。

私は“嶋民”(とうみん=入内嶋のファンの総称)の方たちに支えられてきて、握手会では長蛇の列もできていました。
その結果、選抜メンバー入りできたと思ったんです。

なのに、次のシングルで選抜メンバーから外れた。落ち込みはしたが、くよくよしていても仕方がない。次の一手を考えた。

入内嶋 私は個人仕事にも力を入れようとしました。生き物が好きだとアピールをして、個人のお仕事をいただくようになりました。それでも、選抜復帰にはつながりませんでした。この2年、私は気分が落ちていました。

SNSの更新頻度は落ちた。ファンに送るメールでは「何を頑張ればいいか、わからない」と弱音を吐いた。そこでは嶋民たちが温かく受け止めてくれた。だが、現実が変わるわけではない。
活動自体が面白く感じられなかった。

入内嶋 与えられた仕事をするだけでした。自分ってアイドルだっけと感じるくらい気分は落ちていて、卒業ばかり考えていました。いつにしようかなって。今回、選抜メンバーじゃなかったら辞める覚悟は決まっていました。

そんな中、新公演のレッスンが始まった。悩んでいようが、スケジュールは容赦なく進んでいく。ある日のことだった。

入内嶋 全体曲の振り入れが終わって、1曲目から本編ラストの曲までを通して踊ることになりました。それが2日間あったんですけど、2日目のことでした。ポジションのかぶっているメンバーも交互で踊ってみようかということになったんです。どっちがいいのか見られているなと思い、これはヤバいなと焦りました。


比べられているの感じて、ようやく尻に火がついた。

入内嶋 そろそろ本気にならないと変えられるって、雰囲気で悟りました。また、代わったメンバーの踊りがすごかったんですよ。スタッフさんが「入れたほうがいいんじゃないか」っていう空気になったのがわかりました。その日、家に帰って、ベッドに入り、愛猫たちを撫でながら決意しました。「私、頑張るからね。私のこと考えててね」って。

迎えた翌日。レッスン場からSKE48劇場に場所を移して、初めて通しレッスンを行うことになっていた。客席にはダンスの先生らスタッフのみを相手に、本番さながらに踊る日だった。前日から生まれ変わったこの9期生は、自分を追い込んでいた。

入内嶋 私は誰よりも目立ってやろうと思い、踊りました。
ポジションが端っこだったとしても今できる全力を出しました。髪を振り乱して、汗を大量にかいて踊りました。すると、スタッフさんが「いいね。さあや、変わったね。どこにいてもさあやが見えるよ」と褒めてくださいました。パフォーマンスを褒められたのは初めてのことでした。

その日、初日に出演するメンバーが曲ごとに通達されたという。

入内嶋 すべての曲で私の名前が呼ばれました。私は安堵で泣きました。

それは、彼女が自分で何かの殻を破った、初めての経験だった。

入内嶋 今までの私は自分に制限をかけていました。自分はできないと思っていたんです。
特にダンスではそうです。ダンスが上手なメンバーや表現が得意な子にはもう敵わないやと思っていました。アイドルだったら、歌かダンスで誰かの目に留まる人になりたかったけど、そうはなれなかった。でも、私はやっと殻を破りました。同期の鈴木恋奈ちゃんもビビっていました。

こうして迎えた初日公演は、ファンの間でも入内嶋のダンスが変わったと話題になった。それくらいの豹変ぶりだった。

入内嶋 公演の定点映像を観ていると、このいい表情をしている人、誰だろうと思ったら、自分なんですよ。そんなこと、今までありませんでした。今まではいかに振りを間違えないか、迷惑をかけないか、みんなに馴染めるか……そんなことばかり考えていたのに、今はもう違います。踊ることが楽しいんです。私のファンじゃない方からの視線も感じるようになりました。こんな感覚、初めてです。ちょっと遅いですね(笑)。

この新公演のレッスン期間、悩みを打ち明けられる相手がいなかった。何でも話せるメンバーはすでに卒業していた。たまに連絡を取ることはあっても、もう立場が違うからすべてを話しているわけではなかった。

入内嶋 ある日、私が泣いていると、ほののさん(相川暖花)とくまさん(熊崎晴香)が話を聞いてくれました。私は自分の置かれている状況を打ち明けました。すると、「頑張れば、見てくれる人はいるから。信じてやってみて」と言ってくださいました。

見てくれる人はいた。新公演期間の奮起により、9月9日に発売される37thシングル『ため息未来』の選抜メンバーに入内嶋は復帰を果たした。

入内嶋 選ばれたのは新公演期間に頑張りもあったからだと思います。自信がありました。自信がついたから、公演では余裕が生まれました。次はこういう表情をしてみようとか、遊びを入れてみようとか。MCでも積極的にしゃべれるようになりました。いろんな場面で成長できました。

ファンばかりではなく、家族もまた選抜復帰を喜んだ。

入内嶋 家族には電話で一人ずつ報告しました。お父さんは「当たり前だろ。やっと入ったのか?」なんて言っていましたけど、一人で泣いているのを私は知っています(笑)。家族は新公演の私を生で観て、娘の変化に驚いていました。「素で涼が楽しんでる。作り笑顔じゃない」って。私の笑顔を一番よく知っているのは家族ですから。

選抜メンバー入りでさらに自信を深めた。しかし、まだやりたいことは残っている。

入内嶋 まずはこのシングルをいろんな場所で披露したいです。音楽番組にも出たいですね。今はパフォーマンス中に表情をころころ変えることを目標にしています。同じ表情だと観ていて楽しくないですから。あと、私は神奈川県出身なので、SKE48として横浜アリーナに立ちたいです。

父の勧めでオーディションを受けるようになったアイドルは、紆余曲折を経て、27歳にして殻を破った。ファン、家族、そして、あの日、約束をした猫も、彼女が次に何をしてくれるのかを心待ちにしている。

入内嶋涼(いりうちじま・さやか) 1999年5月13日生まれ。神奈川県出身。2018年加入のSKE48・9期生。Team S所属。

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