頑張って働いても、物価上昇に手取りが追いつかない。そんな時代に家計を守るカギが「固定費の見直し」です。
一度手をつければ節約効果が長く続き、無理な我慢もいりません。この記事では、固定費を見直すことで得られる家計への効果や、費目ごとの具体的な節約方法をわかりやすく解説します。
固定費の見直しがもたらす家計への効果

家計の支出は「固定費」と「変動費」の2つに分けられます。固定費は、毎月おおむね決まった額が定期的に出ていくお金のこと。家賃や住宅ローン、水道光熱費、通信費、保険料、サブスク(サブスクリプション)の利用料などが代表例です。

一方の変動費は、そのときの使い方によって金額が上下する支出を指します。食費や日用品費、被服費、交際費、レジャー費、医療費などがこれにあたります。

そして、このうち固定費を見直すと、以下のような家計へのメリットが期待できます。
○1.一度見直せば節約効果がずっと続く

固定費は毎月決まって出ていくお金のため、契約やプランを一度見直せば、その後は毎月自動的に支出が抑えられます。変動費と違い、毎回節約を意識しなくても効果が続くのは大きな魅力です。しかも固定費のなかには金額の大きい費目もあり、そうした費目を見直せば、支出を大幅に減らせることも少なくありません。
○2.貯蓄や投資にお金を回せる

固定費を見直して支出を抑えれば、その分だけ手元に残るお金が増えます。
浮いたお金は、将来に備えた貯蓄や資産形成のための投資に回すこともできるでしょう。特に、家賃や住宅ローンなどの住居費、通信費、保険料などは見直し効果が大きく、これらを重点的に整理することで、まとまった金額を捻出しやすくなります。
○3.家計の見通しが立てやすくなる

固定費を見直して節約すれば、「毎月決まって出ていく金額」を今より小さく抑えられるうえ、その全体像もはっきりとつかめます。金額が見えてくれば、収入から固定費を差し引いた額をもとに、使えるお金や貯蓄に回せる額を計算しやすくなります。こうして家計全体の流れが見える化され、先々の資金計画も立てやすくなるでしょう。

固定費ごとの具体的な節約方法

ここからは主な固定費について、それぞれどのように見直せば節約につながるのか、具体的な方法を紹介します。
○・住居費

固定費のなかでも、住居費は特に金額の大きい費目です。賃貸なら、更新時の家賃交渉やより安い物件への住み替えが有効でしょう。引っ越しには初期費用がかかりますが、長い目で見ると総額を抑えられる場合があります。

持ち家なら、住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済で負担を軽減できる可能性があります。
○・通信費

家族それぞれがスマートフォンを持ついま、通信費は家計の大きな負担になりがちです。大手キャリアから格安SIMや格安スマホに乗り換えれば、料金を大幅に減らせます。
乗り換えに抵抗がある場合も、不要なオプションの解約や家族割・セット割の活用により、月々の支払いを抑えられることがあります。
○・保険料

保険は一度加入すると、基本的に保障内容が自動では変わらないため、そのままになりがちです。ライフステージや働き方が変わったタイミングで必要な保障を確認しつつ、保障の重複や不要な特約は整理しましょう。

自動車保険は複数社を比較し、割安なダイレクト型(通販型)に切り替える方法もあります。
○・光熱費

電気やガスは、料金プランや契約会社の見直しで節約できることがあります。時間帯で単価が変わるプランや電気・ガスのセット割などを活用しながら、暮らしに合った契約を選びましょう。

また、古くて消費電力の大きい家電は、省エネ製品へ買い替えることで節約効果が上がります。
○・サブスク

動画配信やアプリなどのサブスク、ジムや習い事などの定額制サービスは、使わなくても毎月自動で引き落とされます。利用頻度の低いものは、解約や公共施設への切り替えを検討しましょう。あわせて、無料期間の終了後も有料のまま放置しているサービスがないか、明細で確認することが大切です。
住宅ローンの負担を見直す際のポイント

家計の固定費のなかでも、大きな割合を占めるのが住居費です。持ち家の場合、住宅ローンの負担を軽減するために、どのような見直しができるのでしょうか。
住宅ローン専門金融機関である日本住宅ローンの担当者に聞きました。

「住宅ローンの負担を見直す方法として代表的なのは繰り上げ返済です。毎月の返済負担を軽減できることに加えて、将来の利息負担を減らし、総返済額を抑える効果も期待できます。一方で、繰り上げ返済を優先しすぎると、手元資金が減少してしまい、ライフプランの変化や病気、介護などによる急な支出に対応できなくなる可能性があります。そのため、当面の生活費や将来の支出に備え、一定の手元資金を確保しておくことが重要です。」

「そのほか、住宅ローンの借り換えも有効な選択肢となります。一般的にはより金利の低い住宅ローンへの借り換えが想定されますが、現在は金利上昇局面のため、変動金利を選択した場合、将来の金利上昇によって、毎月の返済額が上昇する可能性があります。また、借り換えにあたっては手数料や登記費用などがかかるため、金利差だけでなく、諸費用も含めた総返済額での検討も重要です。」

「こうした選択肢に加えて、毎月の住居費負担を抑える方法として、住宅版の残価設定型ローンも有効な選択肢になります。残価設定型住宅ローンは、将来の住宅価値(残価)をあらかじめ設定し、残価部分を除いた金額を返済していく住宅ローンです。このローンを利用することにより、毎月の住居費を節約することができ、将来への貯蓄や投資に資金を回しやすくなることも期待できます。当社においても、2026年7月より「おうちの残価設定ローン」の取扱いを開始しておりますので、まずは返済軽減の効果をシミュレーションでご確認いただきながら、さまざまな選択肢の中で比較検討していただければと思います。」

固定費は、毎月の負担が小さく見えても、年間では大きな金額になります。まずは取り組みやすい費目から確認し、住宅ローンなど金額の大きい支出は、諸費用や総支払額、将来のライフプランまで含めて慎重に比較しましょう。無理なく続けられる家計の仕組みをつくることが、物価高に備える第一歩です。


武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら

日本住宅ローン株式会社 にほんじゅうたくろーんかぶしきがいしゃ 日本住宅ローン株式会社は、日本を代表する大手ハウスメーカー4社と大手金融機関が共同で出資した住宅ローンを中心に取り扱う金融機関。全期間固定金利である【フラット35】を中心として、様々なローン商品を展開。特に、【フラット35】保証型商品においては、業界初となる借入期間40年(通常は35年)の「フラット極40」を開発。さらに、同商品を活用し、2年後以降いつでも無料で変動金利に切り替えることができる「2年待てるローン」を提供するなど、先進的な取り組みを数多く実施している。また、住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)が提供するシニア向け商品「リ・バース60」をいち早く取り入れ、「MCJご自宅活用ローン"家の恩返し"」(新築)(借換+リフォーム)として提供しており、取扱実績はNo.1を誇る。2026年7月には「残価設定型ローン」の発想を住宅ローンに応用した革新的な借換商品「おうちの残価設定ローン(借換)」を開発した。https://www.mc-j.co.jp/ この監修者の記事一覧はこちら
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