人生の終わりに、お金について後悔するとしたら何でしょうか。3万件を超える相続に携わってきた相続専門税理士によると、「もっとお金を残せばよかった」と悔やむ人は意外に少ないといいます。
むしろ多くの人に共通するのは、お金の「使い方」をめぐる3つの後悔でした。

『限りある時間を豊かにする 人生最後のお金の授業』(天野隆/青春出版社)から抜粋してご紹介します。
○人生の最後にする「3つのお金の後悔」

これまでに3万件超の相続のお手伝いをしてきましたが、人生の最後にするお金の後悔には、おおよそ3つのパターンがあります。

1つ目は、「お金の使い方を間違えた」という後悔です。

たとえば、大金を手にして身を持ち崩した。家族の仲を壊してしまった。お金に振り回され、自分の人生を見失った──こうした後悔は、お金の本質を理解していなかったことから生まれます。

2つ目は、「もっと自分のために使えばよかった」という後悔です。

老後が心配でお金を使えずに抱え込んできた。自分のために投資することをためらってきた。いざ人生の終わりが近づいたとき、思った以上にお金が余っていたが、使いたくても使い道がない。もう体が動かない──これにはお金の不安が深く関わっています。


3つ目は、「もっと人のために使えばよかった」という後悔です。

寄付をすればよかった。子どもたちに何かを残したかった。社会に恩返しをしたかった。しかしそれをしないまま、時間だけが過ぎていき、あとには虚しさが残った──人生を振り返ってみて、自分のことしか考えていなかったことに気づいたとき、このような思いが湧いてくるのです。
○「生き金」と「死に金」の決定的な違い

お金で後悔をする理由をひと言でいえば、そのお金を「死に金」にしてしまったからです。

お金の使い方は、大きく3つに分けることができます。

生き金、普通の金、そして死に金です。

生き金とは、目的があり、未来につながるお金の使い方です。

自分の喜びのため、目の前の人のため、生きたい人生への投資。そうした使われ方をしたお金が、生き金になります。

また、公益財団法人への寄付、奨学金の支援など、次の世代のために種をまくような使い方も、生き金にあたります。
これは未来の誰かのために、見返りを期待せず使うお金であり、いわば「未来へのギフト(贈り物)」です。

私も寄付をする習慣があり、いくつかの団体を支援しています。私のお金が届いた相手の顔は見えませんし、それがいつどこでどう役立ったかも詳しくはわかりません。
それでも、「どこかで誰かが喜んでいる」と思えることが、生き金がもたらしてくれる喜びです。

普通の金は、目先のため、自分のために使うお金です。

人づきあいに使ったり、体験に使ったり。これも、自分の人生を豊かにするための、まっとうなお金の使い方です。また「ありがとう」と言われたくて寄付をする、自分の評判を上げたくて贈り物をするといった承認欲求に基づくお金の使い方も、ここに含まれます。見返りを求めているとはいえ、誰かが喜ぶのであれば、社会の役には立っています。お金の使い方として、決して悪いものではありません。
○「お金を生かす」使い方を考える

これらに対し、死に金は単なる浪費です。つまり、刹那的・目先のことだけに使われるお金です。


使わないものを買うお金、使っていないサブスクリプション(サブスク)に毎月払うお金も、ここに含まれます。きっと、気づかないまま死に金を垂れ流していることは誰にでもあるでしょう。

私自身、クレジットカードを紛失したのをきっかけに、サブスクを整理した際、有料アプリ、複数の動画プラットフォーム、契約したままで利用していないサブスクが、いくつも見つかって驚きました。知らず知らずのうちに、かなりのお金を払っていたのです。これは典型的な死に金です。整理できてスッキリしました。

そして、使い切れずに遺産になるだけのお金もまた、死に金の一形態です。遺族は喜ぶかもしれませんが、自分の人生という視点から見れば、生かしきれなかったお金です。

武蔵野大学ウェルビーイング学部長・前野隆司教授が研究している「幸福学」では、瞬間的な喜びを「ハッピー」、もう少し長い視点での充実感を「ウェルビーイング」と呼びます。
つまり、お金を生き金にするというのは、一時の快楽ではなく、長続きする幸せのために使うということです。

「財産残して銅メダル、思い出残して銀メダル、生き方残して金メダル」

こんな言葉を教えてくれた知人がいます

3万件超の相続の現場から生まれた、私なりの実感とも一致します。私たちは普段銅メダルを取るお手伝いをしているわけですが、本当に価値あるものは、お金のように目に見えるものではなく、故人の思い出や生き方といった、目に見えないものだろうと思うのです。
そしてそれは、故人を知る人たちに、永遠に受け継がれていきます。

お金を生き金にするか、死に金にするか。それは、自分次第です。

○『限りある時間を豊かにする 人生最後のお金の授業』(天野隆 /青春出版社)

相続専門税理士として、3万件を超える人生の締めくくりに立ち会ってきた著者は、「もっとお金を残せばよかった」と悔やんでいる人は意外に少ないといいます。 多くの人に共通するのは、「お金の使い方を間違えた」「もっと自分のためにお金を使えばよかった」「もっと人のためにお金を使えばよかった」という3つの後悔。 老後資金や健康面のことを考えると、お金をため込みたくなる気持ちはわかります。 しかし、人生には期限があります。そして、お金にも使いどきがあるのです。 では、「いい人生だった」と言える人は、どんなお金の使い方をしていたのでしょうか? 相続現場で見えてきた事実と、多くの人から得た人生の教訓をもとにまとめた、「人生最後のお金の授業」をお届けします。
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