2026年9月27日(日)、神奈川県川崎市・川崎ルフロンにて『ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2026』が開催される。
FINEPLAYではITADAKIのメディアパートナーとして、2021年の開催当初から取材し、多くの記事をリリースしてきた。
■ KO-YA / REG☆STYLE
OVER THUMPZ 所属のプロチーム「REG☆STYLE」リーダーであり、ITADAKI 実行委員長。
2017年から2019年にかけて、世界大会 3連覇の偉業を成し遂げるほか、2024年にはパリ五輪のサイドアクトとしてジャンプロープシーンを代表し出演するほか、2025年には『America’s Got Talent』に出演。
現在もなおプレイヤーとして最前線を走る傍ら、次世代や後進の育成にも尽力。レッスンやイベント運営、マネジメントなども担う。
■ YUTTY / YUTTY KINGDOM.
株式会社KOERU 代表取締役。プロダクション「スキルハック」やスクール「Be Color」などを立ち上げ、様々な企画を生み出す。KO-YAと共にITADAKIを立ち上げ、実行委員長を務める。
プレイヤーとしても世界大会で多数タイトルを獲得し、現在も精力的に挑戦。また、裏方としては福岡・名古屋にも活動拠点を広げ、ダブルダッチを広げるために尽力している。
■ Daichi / Waffle
社会人として大手メディアサービスを提供する会社に勤める傍ら、ダブルダッチをはじめとするストリートの現場でも映像クリエイターとして活躍。
プレイヤーとしては、世界大会を2度制したレジェンドチーム『Waffle』をはじめ、数々のタイトルを獲得するほか、2022年『America’s Got Talent』にも出演する。
★KO-YAとDaichiは、同サークル「日本体育大学 乱縄」の2つ違い(Daichiが先輩にあたる)。また、YUTTYがダブルダッチの事業を始めた当初、経験のあるDaichiと共にイベントを運営していたこともあった間柄。Daichi、KO-YA、YUTTYの年齢順。
5年の節目を経て
最初に、ITADAKIとしてなぜ「裏方」にフォーカスを当てることになったのか。その経緯をKO-YAが語ってくれた。
KO-YA:裏方としての思いというのは、表にはあまり出てこない。こうして記事にしてもらうことで「そんな思いでイベントが作られているんだな」と知るきっかけになったりもすると思うんです。実際、パフォーマーの自分が“裏方”としての活動も始めて思うこと、気づいたこともあって。
それから、ITADAKIが特殊なところのひとつは、1つの会社ではなく「OVER THUMPZ」と「KOERU」*の2社のメンバーが中心になっていること、そしてそのほかのメンバーは社会人として働きながら運営してくれていたりして、色々なバックグラウンドを持ちながらも、1つのチームを作っているんです。
こういう部分をぜひ他のカルチャーの人にも知ってもらいたいなと思っていて。
“節目”を迎え、まずは3人に今の率直な心境を訊いた。
YUTTY:率直な心境というと…あっという間でしたね。
楽しかったから(過ぎるのも早かったの)かなとも思いましたが、一方このITADAKIが起点となってシーンを飛び越えたムーブメントを起こしたいと思って立ち上げたものの、描いていたほどにはならなかったことの悔しさも残りますね。
意見がめっちゃぶつかるんですよ(笑)。僕が大暴れ状態になってしまったことなど、色々あり(笑)。「もっとやってくれよ!」という思いがお互いにあったりもして。
KO-YA:色々あったよね(笑)。
YUTTY:普通の会社だったら「じゃあ、もうやめよう」ってなっていたと思うし、続けていてもギクシャクしてしまっていたと思う。でも、みんなの根底にあるダブルダッチへの強い思いがゆえの衝突だったと思うし、むしろそこがあったからこそ、やり続けることができたと思っています。
Daichi:まず良かったと思う点だと、1つ目としては、今まで「ダブルダッチのイベント=OVER THUMPZの皆さんが運営してくださっていた」というところからひとつ外に出たことかなと。
もちろんKO-YAをはじめOVER THUMPZの人もいるんだけど、そこに様々なバックグラウンドのメンバーが入ってチームを組み、その大会が5年も続いたことは、少し前では考えられなかったなと思います。
そして、そのメンバーが「次世代の子たちにもっといい場を作りたい」とか「自分が好きなダブルダッチがもっと広がってほしい」とか、そういう思いで手を取り合ってここまでやったというのは、単純に本当にすごいなと思います。もちろん、様々な方の力をお借りしてのことではあるのですが。
そして2つ目としては、特にKO-YAに対してになるかもしれないけど、今まで表に立って活動していたプレイヤーがこうして裏方のことを知ることで、発信の幅が広がったことですね。
KO-YA:そうですね、ITADAKIのときは僕ら完全に裏方ですから(笑)。
Daichi:イベントを1つ作ることの大変さを、長いこと裏方をやってきた我々が話すのと、現役で影響力のあるKO-YAが言うのとでは全然違うし、なおかつKO-YAは裏方をやりつつオーガナイザーでもあるから、「俺はこういう思いでやっているんだ」と発信力を持っている。
KO-YAが裏方を知ったことによって、ITADAKIとしてというより、業界全体がグッと上がったと感じています。
…で、悔しかったことは、思い通りにいかなかったことが多かった(笑)。正直、もうそこに尽きるかもしれない。みんなそれぞれが思いをもって、もっとみんなが楽しんでほしいとか、出場してほしいと工夫をしていくなかで、時には言い合いに発展したこともあったけれど、実現するには想像よりもハードルが高かったことも多かった。
この5年間で学んだ課題を、今後どう活かしていくかがこれからのテーマだなと感じています。
KO-YA:当初 ITADAKIをやるにあたって、目標に掲げたことが2つありました。
1つは、高校生にフォーカスが当たるイベントがそれまでなかったので、高校生が本気になれる場所を作ること。日本の高校生の熱量って本当にすごいし、高校生が盛り上がったら、未来的に業界がもっと発展・成長していくと思っていたから。
実際、この場所を作ったことでスターも生まれていったと思います。
*NAO AKAGAMI:キッズ時代から注目を集めているスタープレイヤーのひとり。2021年、ショーケース・1on1 BATTLE ともに優勝。その後、別大会の大学生ソロバトルでも日本一に輝くほか、数々の実績を残す。現在はプロチーム『Millennium Collection』の一員として活動。
高校生たちが仲間と本気になって、青春をかけて頂点を目指す場所を作れたというのは、すごく未来につながる大きな成果だなと思っています。
もう1つは、ダブルダッチ業界やストリートカルチャーの業界だけでなく、それを知らない人たちにまで届けられるコンテンツにしたいという目標。これに関しては、まだ届ききっていない悔しさがすごくあります。
我ながら良いイベントにはなったと思いますが、もっとブラッシュアップして、「ITADAKIを見てダブルダッチを知って、始めたんだよね」となってほしかったですが、ここはまだ出来ることがありましたね。
ただ、それでもやってみたからこそ初めて見えてきた色々な課題、やらなかったら知れなかったようなことにも触れられたことは良かったなと感じています。
なぜ「裏方」の道へ?
KO-YA:それから、これは個人的な思いになるのですが… 僕はプロとしてダブルダッチプレイヤーをやりながら、裏方のオーガナイズやプロデュースをやらせてもらうきっかけを得て、本当に視野が広がったし、自分の経験としてそれが本当に大きかったと感じています。
これまで大会やイベントも“出る側”として、僕らが輝くような場所を創ってもらってきていましたが、「裏方の輝きってこんなにかっこいいんだな」ということを知れたんです。イベントを作ってきてくれた人たちへのリスペクトが、より一層深まりました。
自分が出場する他の大会や、他の方がやっているイベントに対しても、より深い目線や広い目線で見られるようになったのは、自分の中で大きく得られたことです。
「プレイヤーとして:表のKO-YA」と「オーガナイザーとして:裏のKO-YA」という2つの顔が掛け合わさって、武器になる瞬間を作れたのは、1つの新しい形なのかなと。表だけやっていても人に響かなかったり、裏だけやっていても人の耳のシャッターを開けられなかったりする。裏と表を同時にやることで、人を巻き込める力というのは、自分自身すごく感じました。
今後、そこに興味を持ってくれる現役のプレイヤーが現れたら、もっともっと業界が発展していくと思うので、自分でもこの立場を発信していきたいし伝えていきたいですね。
このように裏方としての経験が大きかったと話してくれたKO-YAだったが、そもそもプレイヤーとしても活躍していた3人は、なぜ裏方の道へ進んだのだろうか。
YUTTY:僕は大学を卒業して一度就職したのですが、そこで色々なビジネスモデルを見て。色々なことを考え、結局のところ「幸せの総量」みたいなものって、“場所を作っている側”の方がたくさん生み出せているんじゃないかと思ったからですかね。
イベントや仕組みを作ることによって、色々な人の披露の場もそうですが、そこで仕事する人も増えますよね。そこに関わる人たちの色々なドラマも作れる。
自分が競技をプレーすることにどこかで終わりがくるけれど、「ITADAKI」という“箱”や仕組みを作ることで、様々な可能性や夢や、憧れを作ることができる。
それこそ“箱”が残れば、仮に自分が死んだ後にも「あのITADAKIを作ったのって、KO-YAさん・Daichiさん・YUTTYさんたちなんだよ」って語り継がれたりもするだろうなと(笑)。
Daichi:自分は、そもそも初めて裏方をやったのは大学4年生のとき。
当時は大会のゲストもやりつつ、地方によっては大会のスタッフが圧倒的に足りていなくて。そこで、ゲストである自分が出番の直前までずっとスタッフをやっていました。初めてのポジションは照明でしたね。それが最初の裏方経験です。
そして、大学を卒業してからもダブルダッチには関わっていたくて、スタッフとしてもなんとなくやっていました。なので、「ここから裏方をやった」という明確な境界線はあんまりないですね。当時は『Waffle』をやっていたので、自分が出ないときは裏方をやるという状態でしたね。
*Wafffle:Daichiが所属している社会人チーム。過去に世界大会で2度優勝。
そして、自然とタイプが似ていて、昔から面倒を見てくれていたのが、OVER THUMPZのU-SK* さんだったんです。大学2年生の時から、U-SKさんの家に行って、映像制作や撮影を教わって、それもあって就職も映像系に進みました。
U-SKさんから教わったことを自分でもやってみて、かつ業界に還元したいと思ったのが、今の動きのきっかけですね。
*U-SK:OVER THUPZのメンバーであり、現在は大会の映像制作や演出を担当。かつてはプロチーム「J-TRAP.」に所属し、精力的にパフォーマーとして活躍していた。
Daichi:ただ難しいと思うのは、一歩踏み込むと面白く感じるタイミングがあるんだけど、当日だけを手伝ってもらうスタッフの立場だと、楽しさを感じるのが難しい部分もありますよね。
自分もそうだったからこそ、途中からどんどん意見を出すようになりました。
僕らとしては、携わってくれるスタッフの皆さんに「楽しい!」と思わせる仕組みを作ることも大事な役割だと思っています。
逆に、KO-YAが裏方をやろうと思ったのはどうして?
KO-YA:がっつり裏方を経験できたのはITADAKIの規模感ですが、これまでも深夜のイベントやキャンプ企画、学生時代には卒業公演など、みんなで“お祭り”を作るようなことはやっていました。
振り返ると、裏方をやりたいと思った自分の中のキーワードに、小さい頃から『秘密基地』作りが好きだった、ということがあります。お祭り好きというのも掛け合わさり、当日どうしたら盛り上がるかを考えることが好きでしたね。
ただ、当時はそれを「裏方」として意識していたわけではなくて、自分はプロのプレイヤーとしてダブルダッチを続けるということにしか興味がありませんでした。「体が動かなくなったら裏に回る」みたいな考えは一切なく(笑)。
大きな転機はやっぱりITADAKIですかね。実は初回開催は2021年ですが、企画の構想は2019年ごろからあったんです。途中でコロナ禍に突入し、時間が経ってしまったんですが。
そこでYUTTYと「今の高校生たちにフォーカスを当てたムーブメントを起こすことが必要じゃないか?」と、そしてそれが面白いのではないかという話になりました。
プロをやりながら「どうやったら業界が発展するだろう」と他のスポーツ業界を見た時に、野球でいう『甲子園』のように、高校生が本気で盛り上がる場所があるカルチャーは、更に発展していくという確信がありました。
昔から「高校生に向けたイベントは絶対にやった方がいい」と話してはいたけれど、プレイヤーとしての活動に注力していたこともあり、踏み出せずにいた。そんななか、高校生が大学生たちを上回って優勝するなどの発展を見て、「今こそやるべきじゃないか」と自分自身すごくワクワクしたんです。
そして、自分たちの思いを乗せて“祭り”を作る先輩たちの背中を見てかっこよさも感じていたので、俺もやってみよう、絶対にやった方が良いじゃん、と思い始めました。
Daichi:聞いてみたいんだけど、いざITADAKIをやってみて、こんなに大変だと思ってた?(笑)
KO-YA:全く思っていなかったです(笑)。
特に初年度は右も左も分からず、本当に大変でした。心が折れそうになったこともあったけど、自分が言い出した手前、コミットしたからには最後までやらずに終わるのはかっこ悪いし、後悔すると思っていたから。
びっくりドンキーでYUTTYと話して、やるって決まっちゃったから(笑)。
YUTTY:懐かしい! びっくりドンキーで話して、びっくりドンキーで決まりましたよね(笑)。
KO-YA:ただ、結果的に今はみんな裏方をやっているけれど、根本は「何かを変えたい」「こうだったらいいのに」という思いで突き進んだ結果として裏方に辿り着いただけで、何かを変えたいと思ったら裏方をやるしかない、というわけではないと思います。
けど、その裏方を面白いと思える人が今の「ITADAKI」を作り上げてくれている。そう考えると、「表」や「裏方」という言葉を使ってきましたが、その境界線も特にないなと感じました。
Daichi:結局は“ものづくり”だと思うんですよね。もし僕たちがダブルダッチに関わっていない人間だったら、ただの「表と裏」になっていたかもしれないけれど、あくまでダブルダッチというカルチャーの一部の“ものづくり”として、作り上げるものがパフォーマンスなのかイベントなのかの違いだけだと思うので、境界線なんてないと思います。
「ITADAKI」のこだわり
そんなITADAKIは、オープンスペースでの開催や、エンタメ要素をふんだんに取り入れた大会として、他と一線を画したフォーマットとなっている。そのこだわりと意図について訊いてみた。
KO-YA:一番は“人間味”が出てほしいなと思っています。
選手たちがどのような思いでダブルダッチをやっているか、ITADAKIに出ているのか、そういう熱や声を届けられるイベントにしたいと思っています。
ショーケースの前後に全チームMCとの掛け合いの時間があるのですが、あの時間もそういう意図から設けています。
そして、ダブルダッチ業界以外の人たちがキャストに入ることで、お茶の間にも届けられる可能性が広がったり、単純に違うジャンルの人が入ることで、視点が変わって面白い幅が広がる。そこへのこだわりもあります。
ただもっとやりたいこともあるのですが、実現に向けたハードルが高く断念し、悔しい思いをすることもあります。本当ならもっと事前から選手に密着して、そのストーリーを見せられたら、応援する皆さんももっと深く入って楽しめるし、自分自身にも落とし込めると思うんです。
ここは追求していきたいと思っています。
Daichi:やっぱり、初めて見るものをいきなり理解するのは難しいと思うんです。特にダブルダッチはまだまだ珍しい部類に入ると思うので、楽しむ方法を1つでも多く提供することが大事ではないかと思うんです。
「ダブルダッチすごいですよ、面白いですよ」と見せるだけじゃなくて、それにプラスしてキャストとして他のカルチャーの方がいることで、そのキッカケを作ることができると思っています。
キッカケがあるからこそ、この大会や高校生たちの姿が更に多くの人に届いて、それが高校生に還元されるきっかけになればと思っています。
“エンタメ性”が絶対の正解ではないけれど、何かのキッカケを作る場にしたい。高校生がもっといいところで活躍して、全体が上がるきっかけに繋がればいいなと思ってチャレンジしています。
YUTTY:会場として初年度から川崎ルフロンさんにお世話になっていますが、もともと最初から、ダブルダッチを多くの人に届けることもテーマとしていたので、そういう背景もあってあのようなオープンスペースの場所で開催しています。
正面からだけでなく、色々なところから見るダブルダッチというのも面白いですよね。
未来をになう高校生たちへ
シーンの未来を担う高校生たちへ──最後に、業界を駆け抜けてきた3人から、高校生たちへの思いや願いを訊いた。
YUTTY:自分で部活動を作ったり、団体を立ち上げたり… 自分たちでムーブメントを起こせるような子が増えてきたら嬉しいですね。
ここ最近、ちょっとずつ自発的に応援しているムーブメントも生まれてきて、僕たちが求めていた「仲間像」を体現してくれていると感じますし、なんだかダブルダッチの“原点”を思い出させてもらいましたね。
そういう熱い仲間同士の姿が、今後もっと増えていけばいいなと思います。
Daichi:僕からは、まず「シンプルに楽しんでくれ」ということですね。出場する子はそれだけでいい。何にも気にしなくていいから、全力で楽しんで、仲間と青春をかけてほしい。
その上で、将来自分が何になりたいかを考える時期だと思うので、ダブルダッチに関わる中で「あの人かっこいいな」「あの仕事どうやってやっているんだろう」と、何かを作るキッカケや自分の大切な経験として、今を全力で楽しんでほしいなと思います。
KO-YA:1つは、仲間と「本気で目標を目指す」という経験をいっぱいしてほしい。それによって気づくことや成長することがたくさんあるから。
そしてもう1つは「自分が主役なんだ」ともっと輝きたい思いを持っていいということ。「俺が主役になってやる」という気持ちを持って挑んでほしいし、その舞台は僕たちが全力で作ります。
開催概要
イベント名:ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2026
日時:2026年9月27日(日)
会場:川崎ルフロン
主催:ITADAKI 実行委員会
共催:INTERNATIONAL STREET FESTIVAL 実行委員会、川崎市
主管:有限会社OVER THUMPZ、株式会社KOERU / スキルハック
後援:一般財団法人日本ジャンプロープ連合
協力:川崎ルフロン、日本学生ダブルダッチ連盟
メディアパートナー:FINEPLAY
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