レビュー

「空気」を読むことを当たり前とし、場の雰囲気を壊さないよう必死に「空気」を読んだ経験がある人は少なくないだろう。
島国で閉鎖的なシステムを持つ日本において、「空気」は絶対的な支配力を持っている。

本書によると、空気には「宗教的拘束力」に近いものがあり、集団の和(=空気)を乱さないことが「真理」であるかのように扱われる。
そんな「空気」は、ときに暴走し、異論を唱えられない雰囲気をつくり出す。不正の隠蔽は、そのわかりやすい例だろう。しかし、そのような状況もやがて外部からの圧力や失敗によって崩壊し、「空気」は霧散する。ところが、それが「空気」が生み出した状況であるからこそ、「あのときは仕方なかった」と誰も責任を取らず、教訓として次に生かされることもない。
では、そんな「空気」に支配された社会を、私たちはどう生きていけばよいのだろうか。本書では、「空気」の正体に迫るとともに、心地よく過ごすための装置として活用するコツを、脳科学の側面から解説している。
著者は、数多くの著書を持ち、メディアでも活躍する脳科学者の中野信子氏だ。本書は2020年に出版されベストセラーとなった『空気を読む脳』に加筆・修正を施した新版である。
日本において、「空気」を無視して社会生活を送るのは難しい。しかし、「空気」とは何かを知り、うまく利用することで生きやすくなるはずだ。「空気」に違和感や息苦しさを感じている人にとって、大きなヒントとなる一冊である。

本書の要点

・「空気を読めないやつを攻撃しても良い」という論理が通用するのは、日本が一国一文明であることが背景にある。異分子が「空気を読まない」ことは、共同体の暗黙の領域を破壊し、反逆と同等とされる。
・「空気」の支配力の源は、「責任の所在の不可視化」「論理の無効化」「臨在感的把握」で構成されている。
・「褒めて育てる」子育てには注意が必要だ。子どもの能力を褒めるのではなく、努力や時間の使い方、工夫を評価することが重要である。



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